ウエダアオイさんの「嘘つきのラブソング(acoustic ver.)」を語りたい
久々にYouTubeで新作リリックビデオが出ましたね!ウエダアオイさんの「嘘つきのラブソング」、春頃から配信で頻繁に歌われていた曲で、やっぱり次に出る曲はコレでしょう!ってところでした。
動画はこちら
歌詞について
ごめんね 僕は 君が夢に見る純情少女より
綺麗事 隠し事 秘め事が多すぎる
あの夜 言えなかったこと これからもずっと言わないこと
歌に乗せて 素知らぬ顔で 伝えていいかな
(間奏)
細長い深い瞳で笑う君
「大好きだよ」恥ずかしげなく 抱きしめる君
大した事ない手料理を 平らげる君
「お前なんか」って 突き飛ばしてくれたらいいのに
狭いキッチン 顔に似合わぬ 十ミリ超えの壁 大人ぶるな
汚い欲求 綺麗な歌で誤魔化して 語る免罪符
「僕よりもいいひとが」なんて 笑わせるなよ
そのまま返してやるよ 強がりなんかじゃないよ
こんな好き者 隣りにいたら 笑われちゃうよ
だから離れて 嘘だよ
(間奏)
生温い夜 汗ばむシーツ 揺れるカーテン
昼下がり暗がり二人 差し込む光
「大好きだよ」震える声と 見せない泣き顔
名前のない曖昧な愛で 寂しさ紛らせて
溶けちゃいそうな唇で 未来に蓋して
散らかった部屋 吐き溜まりシンク ドロドロの僕ら映す鏡
「君だけだ」なんて言わないで
そっくりそのまんまも返せない
わがままなんて聞こえがいいね ただの気持ち悪い独占欲
大好きだよ 離れないでよ 縋ってきてよ
(間奏)
ごめんね僕は 君が夢に見る純情少女より
綺麗事 隠し事 秘め事が多すぎる
こんな好き者 隣りにいたら笑われちゃうよ
だから離れて
本当だよ
今回の歌詞は解釈に自由度が高いように感じます。読み手の好きなように思い入れて良いと思うんですが、僕なりに語っていきたいと思います。
ショート動画のキャッチコピーが有りますが、
・離れてほしくないあの子に伝えたい曲を作りました
・あの子には聞かれたくないラブソングをかきました
・切ない顔したクズのうたをかきました
同じ曲の紹介なのに意味あいがだいぶ違いますね?
解釈の自由度を上げて幅広く楽しめそうです。
「嘘は僕と君どちらの どの部分なのか」考えてみました。
1・歌詞を素直に読んだパターン
僕は純情少女じゃない、最初に離れてって言った時は嘘、君だけだって言われても僕の人生観は違うのが隠し事、別れの理由は僕が隣にいると君に迷惑でしょ?て理由を告げているのは嘘つき、最後に離れてって言ったのも嘘つきだから本心じゃない、というパターンだと…
「離れてほしくないあの子に伝えたい曲」になりますね。哀しい純愛としての味わいがあります。
2・僕がだいぶ悪いパターン
幸せカップル生活の描写にいきなり「お前なんか」って突き飛ばして欲しい思いが出ているのは、君が悪いことして別れたという形での別れ方をしたいのに、「君には僕よりももっといいひとが居るよ」って綺麗な感じで別れ話が出てしまう。実際体の相性は良いけど付き合っても幸せな結婚望まれても無理だからやっぱり別れようと思いつつ、僕が悪い形での別れ方になるのは嫌なので、僕は君に似合わないから身を引くよ、という形で君に罪悪感を被せて別れたパターン。「切ない顔したクズ」の解釈ですね。
3・嘘が多層構造で複雑なパターン
半同棲みたいな生活で深い仲になっていて、君は僕を純情少女と思って一生一緒に、結婚も視野に入れて考えているようだけど、僕は純情少女じゃなくて一生一途とか無理やなぁと感じている。だから僕は君の隣に居るのは恥ずかしい存在、君のためにならないから離れてという嘘の理由での別れを告げる。一面ではそれは本心だけど、もう一面では離れないでよ、縋ってきてよと思っているけど、それを隠しているという構造。相反するどうしようもない感情を詰め込んだ歌詞という解釈で「あの子には聞かれたくないラブソング」ということ。
聴く人の状況や好み、人生観によって楽しんで良いと思います。同じ曲、同じ歌詞でも長年聴いてると受け取りも変わる事も有るんですが、そういう気付きがある曲って名曲だなと思います。この曲もそうなるポテンシャルを感じます。
あと歌詞で最初解らなかった「十ミリ超えの壁」ですが、読んでいくうちにタバコのタールじゃないかと思いました。吸わないので銘柄はよく分かりませんが、子供の頃にお使いで買っていたので知ってるのを調べたら、セブンスターが8ミリ、ショートホープが14ミリでした。
歌唱について
今回も感情豊かに歌声のバリエーションが多いです。歌い出しで息を吸ってから始まるのも最初の聴き所。囁きから、泣き声になりそうなところをそうは行かずに朗々と響かせるあたり、聴いていて声の良さを活かしてると思います。最後の締めの大事な「本当だよ」が、ちから無い声なのが別れの辛さが際立って伝わってきました。
ギターについて
今回のギターはスリーフィンガーストロークの前半のようなアルペジオを右手でミュートして、ストロークに対しても右手ミュートで、曲全体を通しての右手でのリズムが作られています。
※右手ミュートは右利きの場合で、ウエダアオイさんは左ギターなので左手になります。
ストローク自体の響きは低音も高音も両方出ていますが、全弦を強く弾くピックでの音の響きじゃなくて、中音域があまり聴こえない、低音域中心のところに高音要素を足すような音色です。ピックだと弦全体弾きか低音側弾きまたは高音側弾きかの弾き方しか出来ないので、真ん中弱めの音色は爪弾き特有の音色でアオイさんの弾き語りの特徴になっていると感じます。まぁ、そんな聴き方してる人は殆ど居ないとは思いますが…。中音域の音は歌声が出ているあたりなので被らないようにしているのかも知れません。
他にギターの聴き所として、今回の間奏でのギターソロはストロークでのコード弾きソロになっています。弾き語りでソロをどうするかという問題は有りますが、「おーべいべ」では単音弾きにならないように和音を構成しながらのソロ弾きになっていて、「何者」ではアルペジオでのソロになっていました。コードストロークでのソロ弾きが出てきて、弾き語りでのギターソロのバリエーションが全種類出揃った形になりました。
そんなところで「嘘つきのラブソング」について語ってきました。このドロドロ感のある引き摺った失恋歌はアオイさんの大きな特徴と思いますので、一度しっかり味わってみることをお勧めします。