ウエダアオイさんの「くちびる」とカッティングについて語りたい
ギターのピックストロークというと、単純なところでは
「↑ ↑↓↑ ↑↓」「↑ ↑ ↑↓↑↓」
のように弦を全部ピッキングを上下させながら、空ピックを挟んでリズムをつけていくと思います。
そこに強弱をつける、シンコペーションを取り入れるとさらにリズムのパターンが増えてきます。
さらにもう一歩進めると、音を短く切るカッティングや、和音じゃない弦の擦り音をブラッシングで挟む事でバリエーションがどんどん増えてくるのです。
ウエダアオイさんのラジオ配信で「くちびる」という曲を聴いて、カッティングって大事だなと思ったので語りたいと思います。
「くちびる」とは
ウエダアオイさんのYou Tubeで2023年4月21日にMVが出された曲です。
【MV】くちびる-ウエダアオイ
君がいなくたって
僕は上手く笑えてるだろ
君がいなくたって
朝日は今日も眩しいだろ
君からの通知は今日も無いけれど
愛しさばかりは今日も残っている
(間奏)
君がいなくたって
僕は上手く笑えてるだろ
君がいなくたって
僕が死ぬこともなかったよ
君からの通知なんてもう待ってないよ
愛しさなんてもう思い出にしちゃったよ
君の唇の味も
匂いもしまい込んで見てないけど
君のために開けたピアスは
今日も傷になって
残っている
(間奏)
僕がいなくなって、君は誰と笑っているの?
僕とは違って、たっぷりの愛をあげてんだろ。
寂しくなんてない
代わりがいないと思うなよ
君が捨てた荷物は
君が思うより
価値があるんだ
君の唇の味も
匂いも誰かに染めてもらうから
君のために開けたピアスも
塞いでゼロにしてやるから
まず歌詞から見ていきますと、間奏が2回挟まって時間が経過している3段階の情景が見えてきます。
間奏までの間は、別れの直後の呆然とした状況。一夜明けて朝日が眩しいという状況にも心は動かず、連絡が無い状況でもまだ好きな気持ちが残っている抜け殻のような状況を明るく歌い始めています。
振られた直後って現実感無くて、幻覚が見えそうになってヤバイヤバイと思った事もあるので、このふわふわした感じも感情移入出来てしまいます。
間奏明けからは、強がりの時期に入ります。もう全然、全然気にしてへんねや、って事を歌いながらも唇の味も匂いもしまい込んでいるだけでまだ持っているし、ピアスの後は傷になっているし、サビのところのPVは泣き顔です。
また間奏になり、その後は元カレへの怒りと吹っ切れた感想になっていきます。自立しながら、唇の味や匂いの上書きや、ピアスの穴も埋めてやる、という決別の締めくくりになっています。ウエダアオイさんの歌詞は、けっこう悪いものや駄目なものも受け入れてそのまま続く印象なんですけど、この「くちびる」では決別まで行ってるので珍しいハッピーエンドの曲なのかも知れません。
「いや最初にひどく振られててハッピーも無いわ!」というツッコミが来そうですけども。
でも振られた後って歌詞の真ん中の部分がズルズルずるずる引っ張って長引くじゃないですか?ウエダアオイさんも配信の語りで、10年引っ張った元カレの話を何度かされてますし、僕も11〜21歳頃まで引っ張りまくった片想い?が有るので、明るい曲調から泣き笑いの画像も含めて、振られた直後や片想いを拗らせている人に是非聴いてもらいたい一曲です。
カッティングの大事さを再認識
【#縦型配信 】体に悪いものは心の癒し【#6 】
※ 6:25ぐらいから「くちびる」
昨年秋から本格的にウエダアオイさんの曲を聴き始めた時から、アルバム「20」以降の新曲はYou Tube頼りになるので、「くちびる」も何度も聴いていましたが、「ウエダアオイのリビアナイト♯6(体に悪いものは心の癒し、というサブタイトルも最高)」で演奏されているのを観て、改めてカッティングの良さを再認識しました。
ウエダアオイさんのギターの上手さについては、お客さんの評価だけじゃなくてライブの他の演者さんからも言われるそうです。一番の特長はパターンが多いという所で、ピックストロークの技術を網羅した上で、爪弾きのハンマリングやプリングの装飾、ベース移動が組み合わさっているので、ピックでジャカジャカ弾くだけに比べて「あんな風には弾けない」と思わせる奏法なのです。しかもベース移動や装飾アルペジオも間奏じゃなくて歌いながらの部分でも演られているので、それはもう他のシンガーソングライターからも上手いと言われる訳です。ポジションずれや弾きミスが無くなったらもう神レベルに達すると信じています。
そして上での説明で、ネイルの爪を利用した爪弾きの細かいテクニックが特徴というところでサラッと流れて行きましたが、ストロークの奏法は網羅しているという部分が大事になってきます。シンコペーションやカッティングですね。ピックでストローク弾きしていると、そこだけがギターの楽しさになる訳です。
一般の人の弾き語りはそもそもストロークのパターンが少ないし、強弱もAメロは弱くサビは強くみたいな感じしか弾けない訳です。シンコペーションは、ワンセットのストロークパターンの中に強い部分を挟んでリズムをつける物で、カッティングはさらにジャンジャカジャーンって感じに弾いている間に、ジャッと短く切った音を入れたり、全体的に短い音のリズムで跳ねるような伴奏にしたり出来ます。
ネック側の押さえを浮かして音を短く切ったり、ダウンストロークの時に手刀部分を当てて音を切ったりするのですが、ネック側でFやBのようなバレーコードだとやりやすいです。
そんなカッティングのリズムがバチバチに使われているのが「くちびる」になるのですが、改めて見てみるとミドルポジションのコードでネックの中程で弾きながら…またベース移動してる…?!これ普通に弾くより難しくしてますよ。またしても。
曲の中ではAメロの
♪君が居なくたって のところで伴奏が
タッツタッタンタン みたいなリズムになっているのが、カッティングのリズムです。ゴンチチの曲の「pine-bamboo-apple」でも使われているリズムに似ていますね。カッティングでリズム取っている曲で他にパッと思い出すのは、山崎まさよしさんの「手をつなごう」とか、明るい雰囲気なので、これを失恋の痛手のシーンに持ってくるのがウエダアオイ流なんだと思います。
コード譜難しい問題
耳コピはベースを基準に和音の当たりをつけていくのでオンコードは解りにくいのです。目コピは昔より全然動画観られる環境とはいえ、弾いているギターはけっこう見切れるので目コピで追いづらいので、弾き語り出来る日はちょっと遠いです。Uフレットにリクエストしてみましたが、どこまで解析されるのか不安になってきました。解析アプリだとオンコード多用のベース移動の多い伴奏は再現度低いのはココアシガレットで身に沁みました。
コード教えて欲しいという他のファンの方も居るという話ですが、メジャーレーベルのシンガーソングライターのファンだった身としては、それは有料でしょう…と思ってしまうのです。とはいえ、出版されているスコアブックも本人監修以外はけっこう違っていることが有りますけども、ともかく出版はこのご時世でハードル高過ぎるので、オンラインデータでも良いので、有料でも良いのでスコアブック出して貰えると凄く嬉しいです。いや、弾き語り丸見せ有料動画データを出して、「これ見て目コピしてや!」っていうドSな展開でも嬉しいです。見切れずにネック全部ずっと映してもらう動画…プロでも嫌かも知れません。
またしても青民(ウエダアオイファン)にすら読まれないであろうヤバい感想文を書いてしまいましたが、もし目に止まって興味のある方は、一回一曲聴いてみて欲しいです。
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