リラリピツアーが無い世界が少し怖い
思い返せばあの日からずっとずっとずっと誰にも正解が分からない世界の先頭を切って歩いていたんだ。武器も防備もない、自分の声とギター1本だけ握りしめて。不鮮明な未来を微塵も疑わずに信じ続けてそれを言葉にして体現して、なんの根拠もないただの”ファン”という不確かな存在のこちら側に向けて発信し続けてくれたんだ。そんな人が ”再会” と銘打った今回のアルバムツアーは、私の想像していた景色より何倍も何百倍も何千倍も遥か上の景色を見せてくれた。
毎日に色がついた。とても久しぶりの感覚だった。アルバムがあってツアーがあって自分が行く日を目指して毎日やるべき事をこなして日々をコツコツと進めていく、あーこの感覚だ。これだ。たった数日の数時間の為に人はここまで気力に満ち溢れるんだ。頑張れたし生きられた。数年前まではこれが普通でこれが日常だったのにこんなに新鮮な気持ちになれるんだって、噛み締めても噛み締めても足りなかった。
高橋優という人間が音楽と出会っていなかったら、大学を卒業して秋田に帰っていたら、札幌で歌い続けてそのままだったら、バイト先で社員になってたら、誰かと将来を誓い合ってたら、たまたま飛行機が早まってライブ会場に居た事務所の人に見出してもらわなかったら、途中で音楽を手放してたら。わたしが生まれてなかったら、生きてる途中で居なくなってたら? -なにかひとつでも違ってたら今が無かったと思うと。全部が繋がって今があるんだと思うと。もう、どうにもこうにも”奇跡”とかいうおかしくて壮大な言葉でしか収集がつかなくなってしまう厄介な思考。
嬉しそうに愛おしそうに笑って、気持ちよさそうに頭振って、最高にキラキラした目で客席を見渡す顔が忘れられない。忘れたくない。
この先この人にはできるだけ綺麗な景色を見ていて欲しい、その景色を見て心の底から笑っていて欲しい。できるだけでいいので。そして自分がその景色のほんのちょっとの一部になれたら尚さら幸せだ。そんな余計なことばかり考えてしまうツアーだったな、余計な気持ちだけが毎日健やかにすくすくと育ってしまってどうしようもない。
こちら側から見える世界を想像するひとと、そちら側から見える世界を想像するひと、何度も同じ景色を見て何度も同じ気持ちになっていたように思う。平和とか愛とかってよく分からないけどもしかしたらこういうことなのかな。なんて思ったりしちゃうくらいこの半年間、最高に楽しくて本当に幸せでした。
このツアーに関わった全ての人がそうでありますように。