高橋優 弾き語りツアー 2023-2024 「ONE STROKE SHOW ~一顰一笑~」静岡公演レポ


いつも飲んでるお茶が注がれて、そのコップからホカホカの湯気が上がるのがしっかりと見える。え、近い。私あの湯気なんか見えたことないよ。ブザーが鳴って、眼鏡のその人が下手からパッと出てくる。もう近い。え、近い…あこっち来た…近い近い近い…あ、あ、おじぎ…つむじ…今日も綺麗…あああ、あ、あ、座っても近い、ていうか、モニターでギターなんも見えないし顔の真ん中にマイクがある…え、これめちゃくちゃ近いね??????る物理的な近さに脳がオーバーヒートしかけている間に高橋優はお茶を飲んで息をホッと吐いてギターを手に取り前を向く。ああ、始まる、始まっちゃう、目を開け、脳細胞を起こせ!!!


未だ見ぬ星座
物理的な近さにパニクっている間に時間はどんどん進んでいく、いや待て!しっかり脳に焼き付けるんだ!と姿勢を正した。〈信じるものが馬鹿を見るとしても〉からの気迫が凄まじくて思わず背もたれに3ミリくらい埋まった。一点を見つめて歌うその目が強すぎて消え去りそうになった。最後のシャウト少し変えてた。これはこれで良い、とても良い。

未だ見ぬ星座でギターがワーワー鳴っていて、陽はまた昇るの前にスタッフさんがギターの不具合直しに来てくれてたんだけれども高橋優、全くそれに気付いて無くて「ね~ほんとにね~…ッ?!ゥワッッッ!!!びっくりした!!!!」完全にひとりだと思ってたから…ハァハァ…ってむちゃくちゃ目まん丸にしてビックリしてた。そのビックリした高橋優にビックリした。

陽はまた昇る
始まる前に「聞き苦しかったら言ってね?ギターがちょっと暴れてるみたい…」と言ってから始まる陽はまた昇る、もうなんかギターソロが違う意味でむちゃくちゃ暴れ回ってて手に汗かいた。どこに居たって同じくらいの熱量と思いが伝わって来るのは当たり前の話なんだけれど、なにしろいつもより距離が近いというだけで脳内は大変な騒ぎだった。「陽はまた昇るさ」でパカッと開く大きな瞳、ワンストロークごとに気持ちが籠った厚みのあるギターの音色、ウウ…もうダメかもしれない…と顔を手で覆った。

シンプル
シンプルで初めて目が合ってシンプルに照れた。一瞬で脈拍がおかしなことになった。目が、真っ黒で大きくて、いやもう全部知ってるのに。吸い込まれそうだった。なんなら少し吸い込まれたかもしれない。むちゃくちゃよく見てたけど分かりやすく息吸ってるようなモーションが少なくて高まった。

クラクション
なにが始まったのかしばらく理解出来ず、「クラクションだ!」と認識した瞬間の身体中の沸騰具合と言ったらない。一瞬で大脳皮質が全開になった。初めてライブで聞いた。この曲、なんでこんな日常の中に〈戦争〉が出てくるんだろうと思ってたのだけれどそうえば戦争って日常の中に起こるんだった、と気付かされた。平和ボケ馬鹿野郎で恥ずかしくなった。〈間違ってる 間違ってる 戦争を正義と悪なんかで括りたくない 〉この時代のこのセトリの中に存在してこそ一層光って刺さる歌詞であるように思えた。

誰がために鐘は鳴る
何も覚えてない、耐えられなくて幽体離脱してたのかもしれない。

同じ空の下
お客さんがウォーイェーって歌う度にそれを聴こうと左側にヒョイッ、ヒョイッと身体を横に動かして耳を向ける仕草がなんだかとっても愛おしかった。ウォーイェーが聴こえるたびに目がへの字になってとっても嬉しそうだった。

~MC~
打首獄門同好会の会長にオススメされた静岡駅から片道80キロの浜松までうなぎを食べに行きました、そのお店の箸袋がコチラです。と、笑顔で箸袋を見せてくれた。ゴミ…と思ってごめん大切な思い出ですね。「まあ、これはここに入れて」と箸袋は胸ポケットにしまっていた。あと日本平動物園に行ってきました、家族連れで溢れていました。ハイエナ見てたら来る人来る人全員「悪者だよ」とか「ライオンのごはん横取りするんだよ」とか悪いことばかり言われてて、そんなハイエナにシンパシー感じちゃって。〈ハイエナ〉って曲作ろうかな!?なんてね!!!いや作ってくれ聴きたいわ。「悪者だよォ」って言う顔がめちゃくちゃ面白かった。表情筋多いのかな豊かすぎるな。

Spotlight
栃木のオタマトーン演奏、千葉の夢の国トークによってイマイチきちんと聴ききれていなかったSpotlightをやっとしっかり聴けたような気がした。静岡のトークが面白くなかった訳では無く私に耐性がついたのだ。わたしの中の〈高橋優〉みたいな曲のひとつ。この世界を生きてく意味を教えてくれる曲、2023年に一番聞いた曲、これからも生きてる限りずっと聴くからね。

靴紐
ギターに目線を落とす回数が多く見えた。それ以外なにも思い出せない。また幽体離脱してたのかもしれない。

微笑みのリズム
めちゃくちゃ笑顔、本当にずっとめちゃくちゃ笑顔だった。こっちまで笑顔になった。グエヘヘヘって気持ち悪い声が出そうになるくらい楽しくなってしまった。ちょっと高い音も気持ち良く出てきててこんな事言ったらとても失礼だけど、心底、安心した。

HIGH FIVE
暗闇から少しづつ光が集まって来てその中心で会場いっぱいに響き渡るシンガロングを聴きながら「ウンウン」と嬉しそうに頷く顔でまた胸がいっぱいになってしまった。もう、しょぼい感情がすぐ溢れてしまって仕方ない。高橋優はずっとこの声が聴きたくて、わたしはずっとこの顔が見たくて、あの数年間を過ごしたんだ。これから先も何回も見たいし見せたい、見せよう、見せるぞ。

「弾き語りだし一人だけど色んな音も出せるんやで」とツリーチャイムをチャラチャラ鳴らしまくる手つきがなんかあの詳しくは言えないけれどすごく指がアレしてて気持ち悪くて(語弊)最高だった。自分で勝手に始めて自分で「ウヒヒ」ってウケちゃうの、本当におもろい。歯が乾くくらい笑った。

サンドイッチ
どうしてあんな終始目が死んでいるのだろうか?どうしてずっと舌打ちされた顔してるのだろうか?このセトリの中にあるサンドイッチの立ち位置とは一体なんなのだろうか?そんなことはともかく、カズーをプッピッピーと吹く口がとにかく、可愛い。わざとなのですか?それにしても可愛い。可愛いとか思ってごめんでも無理very kawaii

誰かの望みが叶う頃
…ついさっきまでコンビニに居たのに。歌詞と音でもういっぱいなのにそこに表情が加わると、持ちきれないくらい色んなものが伝わってきた。〈楽器と防弾チョッキはどっちが欲しい?〉の目とか〈叫んで叫んで君に会いを届けさせて欲しいだけ〉の表情とか最後のシャウトとか。ああ、もう、この人の願う世界に少しでも近付いてくれよと思う。真反対な事ばかりが起きすぎている。この人が苦しむことばかりで、必要以上に心を痛めてばかりなのでは無いかと要らない心配をしてしまうくらいだ。高橋優、この世界の誰よりも幸せであれ。健やかであれ。

友へ
一言つづ、一音づつ、丁寧に優しく語り掛けるように歌うその顔がとても優しくて柔らかくて余計に泣けてしまった。歌いきったところで少し上を見つめて、手元に目線を落として微笑みながら最後の音符を見送っていた。〈忘れられぬ過去 数え切れぬ傷 全て生きていくしかないから〉 いつか、その涙が夜空の星に変わって君を照らしますように。

「今年の元旦に大きな災害もあって、去年の夏に僕の地元の秋田県でも水害があって。そこで生きる人、生きようとしている人の背中を実際見させてもらって僕にできることってなんだろう、と思って書いた曲です。」

はなうた
こんなに笑顔で歌ってたんだ…ほぼ毎回泣いてるけど今回はなんだか、ウッウッて嗚咽に近いものを漏らしながらボロボロ泣いてしまった。ほんとにほんとに、本当に、この曲を聞く度に高橋優に会えてよかったなと強く思うし高橋優がこの世界の誰よりも幸せでありますようにと心の底から願わずには居られなくなる。「ねえ、ほら。僕と君が生きてる世界はこんなに広くて綺麗なんだよ、見て!」って俯いてる自分の視線を前に向けて視界を大きく広げてくれるような感覚になる。素直に「わ、ほんとだ、こんなに綺麗だったんだ」って思える。〈生きたいか?生きたいよな 死にたいか?死にたいよな〉を全く同じ笑顔で歌う高橋優、「「大丈夫さ」それが〈普通〉だから」って笑って肯定してくれる高橋優。〈多分また笑えるさ だけどもし耐えられない時は 会いに行くよ シャララ 唄いながら〉この人に対するこの自分の気持ちをなんて表現するのがいいんだろう、一体どういう言葉で表したら一番近いんだろう。今この世に存在する言葉全部掻き集めても難しい、なんだろうなんだろう、尊敬とか憧れとか安心とか信頼とか…全部ちょっと違うなぁって無駄なこと考えながら聴いてた。

勿忘草
柔らかい陽の当たる縁側とか、ふかふかのソファとか、そういう気持ちのいいところに二人並んで話してるみたいな優しくて暖かい歌い方でふわ、ふわ、と言葉を紡いでいく。「悲しみの中にほんの少しの愛」から一気に感情が動き出すようで、身構えていてもどうしたって「ひとりじゃないよ」で揺さぶられて涙が出る。ねえ、そんなに辛そうで苦しそうな顔して歌っていたんだね。

「しんみりした曲が続きましたが!!!」「ここからは僕も立ち上がるのでみなさんも良かったら立ち上がってもらって!!!!」「こっからぶち上がっていきませんか静岡ァァアアアァ」ぶち上がるどころかぶち抜けました。ヨッシャァオラァァァ!!!!と勢いよく立ち上がったら高橋優との距離がさらに近く感じて、見える景色がライブハウスのそれみたいでテンションが一気にぶち上がった。いや、ぶち抜けた。目の前でエレキギターを掻き鳴らすその人が、眼鏡のレンズの向こうの眼差しが、なんににも形容しがたい格好良さで心臓が爆散しそうになるのを必死に手で押えた。

(Where's)THE SILENT MAJORITY?
大サビ前の「○○の手拍子聞かせてくれェェエ!!!!」って、言われる度に声も出させてください!!!!って気持ちで手拍子しながらオイオイオイオイ言ってる。手拍子も聞かせたいけどオイオイオイオイも言いたい。実際、脳が勝手に反応して動いてるようなものなのでよくわかってないけどそんな事どうでもいいか!!!となるくらい最高に楽しくて気持ちの良い時間。あー!私今生きてるなぁ!!って思う。「ご機嫌いかがですか?そこの!!お父さん!!!!」でお父さんでもなんでもないのに沸いてしまう、すいません、お父さん。

雪月風花
聞く度にじわりじわりと刺さってきていて静岡で完全に貫通しました、ありがとうございます。エレキギターかき鳴らし曲作ってくれてありがとう。この″高橋節″とも言える独特な日本語を疾走感溢れる音符に気持ちよく乗ってけて届いてくる音で自然と腕が上がって高揚してくる。題材としては犬と飼い主の歌なんだろうけど私の高橋優への気持ちみたいな歌にも聞こえてきて、リアルタイム現在進行形で色んな感じ方をしているところ。本当に、いつまでもそばにいてほしいものです。

こどものうた
始まった瞬間謎の言語を叫んでしまった。目が完全にイッてた。大好きな目だった。その目と目が合った瞬間息が詰まったし、もしかしたら心臓も止まったかもしれない。それから暫く心臓がヒリヒリしてた。愛という名のステージの上で怒りと苦しみと悲しみを全力で歌い弾き伝え叫ぶその姿にただただ圧倒されてしまった。〈殺せよ〉〈どうせなら 僕を生ゴミみたいにして〉〈心ゆくまでSEXしてりゃいい〉の感情乗せ方が特に。大きな目をさらに見開いて、さっきまで雪月風花歌ってた人と同じ人なのか疑うレベルの代わり様だった。出来ることなら忘れたくない。

明日はきっといい日になる
いつも書くけど苦手な部類の曲なので普段はほぼ聞かない、逆に言うとライブでしか聴かないので毎回新鮮に聴こえる。俗に言うただの”良い歌”では決してない。この曲についてはいつかしっかり向き合ってブログを描きたい。さてライブに戻ろう、もうこれまで何回も目が合って来たけれどこの曲でも目が合った。照明の明るさも相まってその表情があまりにもキラキラし過ぎて眩しすぎて思わず口を手で覆って小さく首を振ってしまった…なんなのこのオタクのキモムーブ…酷い……とにかく歌の力とキラキラが身体と心に刺さりまくってよく分からないけど涙が、泣いてばっかりだなほんと。

「本当は、明日もここに来たい。本当は毎日会いに行って、いつも隣で「あ、ほら。もうすぐ春だね」「一瞬だけ春だったけど今日は寒いね」とかそういうこと伝えたりしたいんだけど実際問題、毎日は出来ないからさぁ、こうやってライブしたりして……代わりになればと思って描いた曲です。」

キセキ
大袈裟だなぁ、暑苦しいなぁ、と言われてシッシッとされちゃうようなことを本気で思って本気で伝えようとしてくるのが高橋優なんだ。〈誰も君のことを見ていないなら 特等席で見守ってるよずっと〉のところでふわぁっと笑顔になった瞬間、視界が乱反射してなんにも見えなくなった。どうしてこの人はこんなに凄いのにこんなに近くに感じるんだろう、なんでこの人の言葉はこんなに素直に受け取れるんだろう。
「音楽に力を求めてはいけない」と言っていた高橋優が「ぼくの音楽でちょっとでも元気になってくれたら嬉しい」「歌で元気を届けられたらいい」と言っていた。その意識の変化がなんだかとても嬉しかった。ずっとずっと自身が持ってる力というか、与えている影響力というか、そういうものを全て超過小評価しているように見えるので。「そうだよ高橋!!!あなたには誰かを元気にしたり明日に希望を見出すきっかけを作り出したり出来るその力があるんだよ!!!」と声を大にして言いたい。伝えたい。あの、ほんとにね、ほんとに、いつもいつも、ありがとねの気持ちを込めて聴いて受け取って拍手で返した。


アンコール

プライド
曲前にハーモニカをセットしているのを見て、まさかプ…ラ…と思ってドキドキしてた。ライトを背負って全身全霊全部を出し切って歌う高橋優がただただ格好良い、むちゃくちゃ痺れた。いつもより声が厚くて太くて伸びてたように思う。……あれ?泣いてるの………?と途中ちょっと心がざわついたけれど泣いてはいなかった。多分。代わりに泣いておきましたからね、私が。

ピーナッツ
もう本当にずっと笑顔で一人一人に気持ち送ってる様が最高すぎて、終わってしまうのが悲しくてハローハローと腕上げながら二の腕で涙拭うくらい泣いてしまった。1リットルくらい泣いたんじゃないだろうか。「今後ろから殴って頭割ったら「幸せ」しか詰まってませんよ!!!」って言えるくらい、脳が幸せに支配されてた。最後の、ギターが爆発するんじゃないかってくらい音がデカくて響いてノッてて優勝だった。優勝!!!!

長すぎる深いお辞儀をしている、すぐそこにあるつむじ目掛けて力と気持ちをいっぱいに込めてバカデカ音量の拍手を送った。「ありがとう」って言ったら聞こえちゃう距離だ。それはちょっと恥ずかしい。でもいつか伝えたい、でも今は恥ずかしい…埒が明かないので全力拍手で気持ちを届けた。会場全部の拍手を全部全部受け取って受け止めた!!!、バッと顔を上げたその目がまたキラキラ輝いていて胸が鳴った。こういう表情だけしてて欲しい、その表情になる景色だけ見てて欲しい、その景色のほんの一部にでもなれたらそれただけで嬉しい。「またね~~~~!!!」の気持ちを込めて控えめに手を振って袖に戻って行くやり切った大きな背中を見送った。ああ、夢みたいな時間が終わっちゃった。

高い音出すときに見える上の歯とかカズーとかハーモニカを吹く時に上に乗ってプピプピ動く上唇とか 、ゥッアーーー!!!!ぅアーーーーー!!!!って見てた。声の圧に合わせて浮き出てくる首筋の血管とか、綺麗な形の頭蓋骨とかよく動く眼球とかよく動く口周りとか前歯とか奥歯とか指とか爪とか密度高いまつ毛とか腕の筋とかとにかく今この瞬間自分の目から見えるもの全部見た。むちゃくちゃ見た。全然好きなタイプの顔じゃないのに格好良いと思う私にとって奇跡の人、顔というかこの″造形″が、好きだ。目と鼻の間の窪みが好きだ。おでこから鼻にかけてのラインが綺麗だな、小鼻ちっちゃいな。肌白いな。オタクパリピポアゲアゲ脳内とは裏腹に、身体はものすごくじっとして椅子に埋まっていた。一生懸命見たくて、目つきは悪かったかもしれない。

名残惜しい気持ちにぎゅうぎゅうと押されながら会場を出てヨロヨロとトイレに向かって。鏡に映るほかほかに火照った顔、笑っちゃうくらいキラキラした目を見て「ああ、私、いま凄く″生きてる″をしてるな」と思った。あまりに生き生きとしていて、ひとりで笑ってしまった。ホカホカになった身体を冷たい外気にゆっくりと触れさせて、現実という名の怪物にふやけたほっぺをぶん殴ってもらう。イテェ。今のこの夢心地みたいな気持ちも確かに感じられる身体の熱も全部ギュッと抱きしめて大事にしまっておく。私、生きてるな。生きてるって楽しいな、気持ちいいな、またやりたいな。また生きたいな。 

また忘れたくない記憶が出来てしまった。




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