好きなボカロPの話
いやー、音楽、好きだなー。
いやー、とくにー、ボカロとか好きだなー。
最近、好きな音楽の傾向というか指向が自分のなかで定まってきて、言葉にもしやすくなってきたので、わたしの好きなボカロをどうしてもみんなに紹介したい!と思いました。
ボカロは小学生のときから聴きまくりで、当時(わたしは2002年生まれ)はHoneyWorksとかDECO*27とか、歌い手だと鎖那ちゃんとめありー。が大好きで、わたしも将来は絶対に歌い手になるんだと確信していたので、お風呂場で歌った音源をnana(という音楽投稿アプリが当時流行っていた)にアップロードしていたんでした。
小学生のときに好きだったコンテンツを未だ追いつづけている、というのは結構不思議な感覚です。
たとえばわたしは、当時トレーディングカードゲーム、とくにヴァンガードとポケモンカードに大ハマりしていて、毎週末蒲田のTCGショップに通ってはショーケースの中のきらきらカードをじと目で見つめていたのですが(買えねえから)もちろん同年代の女の子でカードゲームをやる子なんてひとりもいなくて、ひとり二役で自分と対戦しながら、光るわけない腕を磨くという日々を過ごしていました。
両親はわたしが望めばいやがることなくお店まで連れてってくれたし、デッキとかパックもすこしずつ買ってくれてまじで神と思ってたけど、なんかそこはかとなくばかにされてんなーとも思ってて、それがずっとすごく悔しかったし意味がわからなかった。
当時から女の子っぽい趣味はひとつもなくて、アニメとかゲームとかオタクっぽいジャンルにばかり興味を示していたので、嫌な言い方をしますが無趣味でふつうすぎる両親にはあまり理解されなくて、「そんなのひとりでやって意味あるのー」とか(いやそれはまじでそうなんですけど)「すぐ飽きるのにー」とか言われるたびに、わたしはいちいち「ヴァンガード好きな人と結婚すんの!ずっとやんの!」とへぼい反抗をしていました。
高校生のときにハマったゴンチャのタピオカも、「すぐ流行りおわるよー」と揶揄われて「一生飲み続けるし!」と怒っていましたが、もう何年もカードゲームなんてやっていないし、タピオカも飲んではいないのです。
正しいのは両親だった!
でも音楽の趣味って、やはり蓄積だなー時間だなー歴史だなーっていうか、音楽のことを好きでいつづけていたら、大木の枝を辿るようにさまざまなジャンルに出会えて、葉脈を巡るようにいろんなアーティストと出会えて、だからわたしがいまもボカロのことを愛しているのは、過去のわたしといまのわたしが地続きで繋がっているということの証左だなーと思った。
見た目も性格も考え方も将来の展望もずいぶん変わってしまったようだけど、生きてきたのはずっと自分だったのだな、ということがわかる、てきな? てきな。
とくに、最近好きな音楽には大体
浮遊感 透明感 純粋さ
があるなと思っています。
どれかひとつにとても特化している曲(またはアーティスト)もあれば、この3つが程よいバランスで配置されているものもあって、でもすべてに共通するのはこういう 白さ です。
昔から、闇の種族よりも光の種族のカードが好きで、わたしは「悪なりの正義」とか「正義者の悪行」とか、そういう単一の属性や物事に不純物みたいに混ざる二面性みたいなものも嫌いでした。
仄暗い光とか、闇に差す光、とか、うまく伝わるかはわからないが、わたし自身がカードになるとしたら、そういう感じになると思う。光にもなれず、完全な闇にも堕ちることなく、遮光カーテンで真っ暗にされた部屋と光あふれる真昼の世界を行ったり来たり、洞窟に棲む化け物の形をしたニンゲン、あるいは中途半端な希死念慮を抱えたままいつまでも死ねないゾンビなど。
ある種の単純さが好きです。
てか裏を返せば中途半端なものが嫌いということになる。
つきつめた単純こそが、もっとも強く明るい光になることがときどきあり、その光とか光の色が、わたしは世界でいちばん美しいと思うことがあります。
① gaburyu
最近、「ウォーターマーク」以降の楽曲シリーズ『メイドサンドウィッチ』のアルバムがリリースされました。感動したーーーーーーーー
抜け感のある音と、ピュアで無垢ながらときどき非情なほど冷酷になる歌詞、MVに登場する3DCGのキャラクターたちの天才的にかわいいビジュアルとキャラ設定!だい゛ずぎ゛😭
いまわたしの憧れているものとか、ほしいものが、すべてgaburyuの世界にある。
gaburyuさんの楽曲は、あたらしさとなつかしさのバランスがすごくいいなと思っている。
10年代のアニソンやボカロ文脈から抽出された、オタクにはなつかしい「あの夏の爽やかさ」の出力度合いと、20年代以降の抜け感、洒脱さ、未来を想起させるビジュアルと音選びとメロディーのバランス感がすばらしく、危うさとか繊細さ、脆さを魅力のひとつに数えながら、圧倒的に揺らがない強度を感じさせる。(たぶん世界観が強固に作り込まれているからなんだろうなー)
あと「かなしさを予感させる力」みたいなものがある。
gaburyuさんの楽曲には、「魔法」とか「摩訶不思議」とか道理を外れた未知のわくわく要素が通底しているのだが、そのすべてがかなしさを纏っている、かなしい未来を予感させる。明るさがかなしさを予感させるとき、それはかなしさがかなしさのままあるときよりも、ずっとずっと強いかなしさになる。
ずるいなーと思う、こういうの。
でも、本物だから許しちゃう。嘘っぽさが1ミリもないから、信じちゃう。
gaburyuさんを知るきっかけになったのは、ボカコレ2023夏に投稿されたnu_imiさんによる「ウォーターマーク」remix ⬇️
このremixほんとにすばらしすぎる。
去年の夏は、この曲がいてくれたからなんとか、というかふつうにこの曲のおかげで楽しく生きてた。全然過言じゃない。
たくさん泣いた。
このremixってかなり、「あったかもしれない世界」を見せてくれるんですよね。
原曲に対するifアンサーというか。
もっと夏、もっと刹那的でもっと切ない、のにもっと爽やかでもっと青緑の風が吹いているテイストに…。
わたし、gaburyuの音楽、信じてます!
② 濁茶
とにかく明るく、ポップでにぎやかで楽しい曲調なのに、歌詞がなんていうか、とっても真摯だ。と思って衝撃を受けた。
濁茶さんの楽曲を聴くと、音楽のこういうところが好きだったよな、っていうのが思いだせる。
大切なことを教えてくれる、優しく諭してくれる、ずっと変わらないままでそばにいてくれる、コンテンツの消費サイクルがはやすぎて、わたしたちはよく目をまわす、ひとりで立てなくなるまで気持ち悪くなって転びそうになったとき、素直に響いてくれるのはこういう温度のやさしさなんですわあ…爆泣(ばっきゅう)
これがいちばん綺麗だってわかる。
わたしが好きな優しさって、たしかに持っていたい優しさって、強くて明るくてあたたかくて、ほんとに夕日とか朝日みたいなやつ、本物の。
たくさんの音が巧みに散らばっていて、すごく正確に再現されたなつかしいおもちゃ箱みたい。
てんでんばらばらに配置された音が星座みたいにつながって、でっかい夜空を隙間なく埋め尽くしてるみたい!
あらゆる音がわたしのために鳴っていて、わたしを応援するために響いているような気持ちになる。
Instだけでもまじたのしい。
異次元まで聞こえそうな、脈……?
でかすぎる。
⬆️ 歌声入りの曲をどこで聴けるのかわからず、主旋律を知らないままずっとInstで聴いている曲
③ 二錠
⬇️ 2023夏のボカコレで、kumaさんのremixを聴いてからずっと夢中。
二錠さんの楽曲を薬化(めずらしい)するならば、糖衣錠ではない気がする。
すごくシンプルでニュートラルなカプセル錠、表面がつやつやとしている。
なんかすごく薬に引っ張られているような気もするが、二錠さんの音楽は薬みたいに身体の中ですーっと溶けていく感覚がある、でも飲み込んだとき喉を刺激する異物感もたしかにあって、それは引っかかりの多い歌詞の言葉群から醸されている。
音楽制作に関する知識が乏しく、この感覚がどういった音のつくりに由来しているのかわからずもどかしいが、二錠さんの音楽にはどれも、広さを感じる。
窮屈さみたいなものがなくて、すごく伸び伸びと音が広がっていく感じがあり、なんだろう浸透? 浸透していく?
電子音は電子音なんだが、電子音を電子音と過剰に意識させない、自然への回帰みたいなのも感じる。宮沢賢治の詩みたいだなーとも思う。それくらいスケールが大きく、あらゆるものを包括する音楽を、インターネットのフィールドでやっていて、めちゃくちゃかっこいいなーと思っている。
(わたしにとっては)音楽はどこまでも音楽なので、薬にはならないけれど、二錠さんの音楽はわたしとかわたしのまわりを流れる空気とか時間とかそういうものにも溶け込んでくれて、そのあいだだけはだれよりもそばにいてくれる!
はーありがとう泣
④ ボカロPのみなさん、いつもほんとうにありがとうございます。
ボカロだーいすき!
一生聴き続けんの!ボカロ大好きな人と結婚すんの!
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