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千二百文字小説(10/21)
退屈な波は、まるで僕の彼への想いのようにどうでもいい。高校2年生後半、飛空艇の影の下でお前とお前は言った。
「関係なさすぎて言うことじゃないから」
「ほんともうあっち行っといて」
いきなり怖くなった?恥ずかしくなった?僕に散々ああ言っていたのにね。いきなり僕に反発するようなことするんだ。
何かこう、心を抉るような寂しい気持ちになった。影の外へと出て、僕は冷たい風にふかれる。彼らと一緒にいると、またこの抉られるような気持ちが再起し、気分が落ち込むので僕は一人になることにした。
なのに次の日からの君は何?平常運転なんだね。まだ、強がるんだ。僕がせっかく一人でいると言うのに、白々しい。まだ認めないんだね。きっといいお嫁さんができるよ。
僕だけが知らされていなかった。だからただ、確かめたかっただけだったのに。彼も、彼女も、あの子も、この子も、みんな知っていた。ねえ教えてよ友達って何?って思ったね。
今日は発着場の灯台のてっぺんまで登って夜風を数えていた。風は僕のうるさい心を静かにしてくれる。
大嫌いには3種類あると思う。本当は大好きで、彼が妬ましいから大嫌いなのと、「きも」まじで近づかないでほしいから大嫌い。僕は断然後者だと思うようにしているんだ。
彼と一緒にいると冷める。楽しい気持ちが消えて、また苦しくなる。なんだろう、彼の図々しさには腹が立ってる。本当はやっぱり3つ目の大嫌い。僕にもあるのかな、人に無関心になられる恐怖心が。まあ、どちらにしろ、図々しいのは腹がたつし、よくないことでしょ?
愚痴を放った後僕は彼に会いに行き、いつもそれを直接言うことにしてる。こういった無関心な人間にはなりたくないのでね。僕に放った暴言の数々、彼には恥が残る。それから逃げる彼の首を180度回して見せつけてやるのさ。いいだろ?
さあ行こう。飛空艇へ向かおう。地面の上ではどうも居心地が悪い。どうせならある場所に行けば誰であっても平等にやってくる風にふかれていたい。ある場所に行けば誰であってもみることができる広い世界を見に行きたい。
確かに僕は僕の勘だけで、君はこうであると問い詰めた。でも、その勘は確かにあっていたし、必要以上に僕に散々暴言を吐いて、僕の人格否定までして、それで済むと思ったの?僕のこの抉られた心はこのまま?
そしてさらに僕をのけもの扱いか。しかも理由は本当は僕の勘が当たっていてそれを認めたくないから。どこまで愚かで最低なんだ。でも気持ちはわかる。知られたくなかったんだもんな、否定したかったんだよな。だったら、最初否定じゃなくて秘密にしていればよかったね。そして今君は開き直るんじゃねぇんだよ!
腹立たしいけど、どうでもいい。どうでもいいけど、腹立たしい。ならば、風に従って進み続けよう。風であれば信用できる。時々おかしな動きをするけれど、またそれがいい。
僕にはどうだっていい。
タイトル『飛空艇』