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千二百文字小説(10/8)

 好きと言う気持ちが僕にはわからない。
 あーでもないこーでもないと模索し続ける日々、考えすぎてしまう。嫌われるのが怖い、独りになりたい。でも、独りはとても寂しい。
 何もわからない。何が正解で何が不正解で、今僕がどうするべきなのかすらわからなくなってきて、独りになった時、僕はもういいやって思ってしまった。
 君と君と君のためにモバイル充電器を持っていく。
 
「大好き」「大好き」「かわいい」「一緒に行こう」「ずっと一緒にいよう」
 一度でも言ってみたかった。言われてみたかった。
 周りにはカップルがたくさんいて、関心よりも憤りを感じてしまう。好きになることだけでも難しい僕にとって、彼らが眩しくて羨ましかったんだ。
 人を好きになることを諦めよう、そう考えた。でも、できない。そうしたら、いつか僕は本当に独りになって、おいて行かれてしまうかもしれないって考えてしまうから。
 僕の心に雪も積もっていく、不満も。シンシンと暗闇に包まれていく。冷たい空気にさらされ、心はまた細くなっていく。
 わからないんだ、誰も教えてくれない。
 教えてよ。僕を解き明かして、理解して、好きの意味を教えてよ。そしたら、僕はあなたを好きになる。僕は僕を理解して包んでくれる人が欲しいんだ。僕の雪になって、暖かく包んでほしい。
 簡単に片付けないで。結論を出さないでいて。ただ束縛してほしいんじゃない。一途になってほしいわけじゃない。でも……軽くみられるのも確かに嫌だ。
 わからない。知らないんだ。
 わからない。見つからないんだ。
「君はーーーーの?人とーーーー大切ーー」
 納得させて欲しかった。頭じゃなくて心に落ちる言葉をかけて欲しかった。その言葉は、洗練された条件に適する言葉じゃないといけない。じゃないと、頭にすら入ってくれない。心にまで届かない。

「僕を見つけてよ!」
 子供のように無邪気になって、安心できるような場所をいつの間にか探している。
 君が僕に話しかけてきてくれて、一瞬僕は変な人だなって思う。でも僕はいつの間にか君に心を開いてて、僕が抱えている不安だとか、本当は寂しかった時の話を君にだけは話してしまったりする。気づけば、とんでもなく深い話をしていて、それを笑い合う。
「僕を見つけてくれる人がいい」

 僕はどこか自分が間違った方へ進んでいるんじゃないかって不安だった。 みんなとは違った恋をしていたからだと思う。だけど、違った恋をしていることが寂しくて、いつの間にか恋の仕方があやうやになってた。
 そして隠して、無理して、溜め込んで……自分に嘘までついて。みんなのために必死に偽り続けてきた。僕は執着する人生から変わって、自立してみせたかったんだ。
「でも、でも……この無理が、本当は、苦しかった。すごく、すごく苦しかったんだ。長い時間がかかってでも、ありのままの僕を見つけてくれる人が現れてくれるだけで、それだけでいいんだ」


タイトル『スノーアウト』

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