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[連載短編小説]『ドァーター』

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【連載小説】「ドァーター」をまとめたマガジンとなっております。 あらすじ;妻を守れなかった過去をもち、その罪悪感によって実の娘を愛することができず、守り抜くことができない主人公…
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#短編小説

[連載短編小説]『ドァーター』「最終章:許してほしかった」

※この作品は最終章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひ読んでください!『ドァーター』のマガジンリンクはこちらです↓((一章ずつが短く、読みやすくしてあります👌 _________登場人物紹介_________ 茎崎二十二……連載小説「ドァーター」の主人公。 茎崎乙枝……二十二の実の娘。茎崎家の長女。 茎崎巴枝……二十二の実の娘。茎崎家の末っ子。 茎崎鏡花……二十二の妻。 ◼︎□葉……自称二十二の遠い親戚。 _________本編_

[連載短編小説]『ドァーター』第十七章

※この小説は第十六章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひ読んでください!『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓((一章ずつが短く、読みやすくしてあります。 _________登場人物紹介_________ 一葉……自称、二十二の遠い親戚。 _________本編_________ 第十七章 いないいないばー 「初めまして、カズハ」  真っ暗の部屋で機械的な声が聞こえた。すると、3畳ぐらいの大きいモニターが光り、一面の壁

【短編小説】「ドァーター」5作品まとめ。

_________説明_________ この記事では、連載小説「ドァーター」15章を昨日投稿し忘れていたため、ルールに従い1日で5作品をお届けします。 いっぱい小説が書けるので僕としてはとても嬉しいです。🥳 ですが、罰はしっかりと受けるつもりです。これからは絶対に忘れないようにします。🙇‍♂️ 五つの作品は、どれも本作品に登場するキャラクターの日常を描いたものになっています。 _________登場人物紹介_________ 茎崎二十二……連載小説「ドァーター」の主人

[連載短編小説]『ドァーター』第十六章

※この小説は第十六章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひ読んでください!『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓((一章ずつが短く、読みやすくしてあります。 _________登場人物紹介_________ 茎崎二十二……今作、ドァーターの主人公。 茎崎乙枝……二十二の実の娘。茎崎家の長女。 茎崎巴枝……二十二の実の娘。茎崎家の末っ子。 茎崎鏡花……二十二の妻。 _________本編_________ 第十六章 あなたの

[連載短編小説]『ドァーター』第十三章

※この小説は第十三章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください!『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓((一章ずつが短く、読みやすいのでぜひ! 第十三章 毒の日  後に人々は「毒の日」そう呼ぶようになった。  僕は3日後に予告された、1300万人の毒殺を阻止するため、準備を着々と済ませている。薄暗いLEDの下でこめかみを捻り引っ張った。  解毒薬の培養は、町長と協力し、すぐに量産することができた。しかし、1300万人分

[連載短編小説]『ドァーター』第十二章

※この小説は第十一章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください!『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓((一章ずつが短く、読みやすいのでぜひ! 第十二章 抱きしめて  選べるわけがない。  娘を見殺しにすれば、街の1352万の人命が助かる。逆に、街を見捨てれば、娘を救うことができる。  どうすればいいんだ。また、僕は何もしないでのうのうと生き残るのか?  僕はあの日のことを思い出した。妻を失ったあの日、僕はただ見ている

[連載短編小説]『ドァーター』第十一章

この小説は第十一章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください!『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓((一章ずつが短く、読みやすいのでぜひ! 第十一章 愛してやまない人  少しだけ、水が電気で焼けたような匂いのする路地裏にいた。 「いったいどうしたんだ、急にこんなこと初めてさ。なあ、お前は何者なんだ?」月夜に輝く、金色の髪がなびいた。街灯の下で照らされた僕は闇に潜む一葉を見て言った。 「私はただ、二十二を守りたいだ

[連載短編小説]『ドァーター』第九章

※この小説は第九章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください! 『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓ _________本編_________ 第九章 宣戦  鉄の門をくぐるとカビの匂いが鼻をついた。  重たい空気に押しつぶされそうになりながら僕は薄暗い道を進む。  昨日、乙枝が受刑者になった。まさか、こんな形で刑務所に戻ってくることになるなんて思ってもいなかった。なぜ乙枝は実の妹である巴枝をあんなにも気に留め、愛し

[連載短編小説]『ドァーター』第八章

※この小説は第八章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください! 『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓ _________本編_________ 第八章 死人が笑う  一葉が家にやってきた。彼女は今までいつもフードを深く被り、素顔を決して表さなかったが、今回は違った。  100日間娘を守り抜くという約束期限はすでに過ぎ去っており、約一年が経過した頃だった。巴枝はまだ眠っていて、乙枝とはずっと音信不通だ。そんな中、一葉は

[連載短編小説]『ドァーター』第七章

※この小説は第六章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください! 『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓ _________本編_________ 第七章 断罪  巴枝は目覚めないまま、一年がたった。当たりどころが悪かったらしく、ずっと彼女は眠っている。君が銃で撃たれた10日後、一葉がついに会いにきた。100日の約束を達成したって、それで彼女はとても喜んでいた。「今夜にでもお祝いの食事でもしよう」  僕はどうしてもそんな

[連載短編小説]『ドァーター』第六章

※この小説は第六章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください! 『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓ _________本編_________ 第六章 制裁  高架下に雪が積もった。君が光の底に落ちたのもこんな風が次第に強くなっていく日だった。  あれから一年がたった。一葉との約束は果たされた。結局こんなことになったというのに。  君は今も病室で眠っていた。僕は未だのうのうと生きている。1年間ずっと巴枝は目を覚さない

[連載短編小説]『ドァーター』第五章

※この小説は第五章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください! 『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓ _________本編_________ 第五章 見えない愛  茎崎巴枝の最後は一人だった。ただ愛して欲しかっただけなのに、誰からも理解してもらえなかった。  母の死去後、実の父親である二十二という男に引き取られた。その男は元囚人だったが、妻を最後まで守れなかった引け目を常に感じていた。同時に、その引け目から二人

[連載短編小説]『ドァーター』第四章

※この小説は第四章です。第一章からご一読されますと、よりこの作品を楽しむことができます。ぜひお読みください! 『ドァーター』のマガジンのリンクはこちらです↓ _________本編_________ 第四章 牢獄  時たまに訪れる、夏の静けさが太鼓がポンと打つようにやってきた。  早朝から巴枝と乙枝は目覚めて、元気よく階段を降りてくる。  僕はそんな中、カレンダーに丸をつける。100日にわたる護衛のチェックだ。残り1ヶ月。すでに半日を切っていた。  長女の乙枝が、すかさず

[連載短編小説]「ドァーター」第三章

こちらは第三章です。まず、第二章以降からご一読いただいた方が、この作品をより楽しむことができます。ぜひそちらから読んでください! 第一章、第二章はこちら↓ _________本編_________ 第三章 幸せ  二人の娘たちと生活する中で、あるものを感じた。目を覚まし、階段を降りると、賑やかな光景が視界に広がる。それは紛れもない、僕が密かに閉ざしていた幸せだった。  こんな幸せは、妻が病にかかる前以来。結婚する前日まで感じたことがなかった。そしてやはり血が繋がっているか