初恋の人と成人式マジックにかかった話①
私には小学校5年生から中学2年生まで片思いしていた男の子がいた。
幼いながらに、好きで好きでどうしようもなく、中学2年生の時思い立ってメールで告白して振られた。
彼は誰にでも優しい人で、噂が立ったら嫌だから告白したことを口止めしたら
「大丈夫!言わないよ!ありがとう」と可愛い動く絵文字を添えて返信をしてくれて、本当に誰にも言わないでいてくれた。
振られてからはケジメがついて、他の人を好きになり恋人もできた。
しかし私は本当に彼が好きだったし、こんなにも好きになった相手が彼で良かったと、高校生活でも大学生活でも時々思い出していた。
そして大学2年生の1月、成人式があった。
可愛いくなったと思われたい、という一心で自分磨きを頑張った。
当日、会場で彼の事をすぐ見つけ、私はさりげなく友人を誘導し、彼のいる席へと向かった。
例えると『逃走中』のハンターがターゲットをロックオンした瞬間と並ぶくらいの行動の速さだった。
「え~!〇〇君じゃん!久しぶり~!気づかなかった!」
もちろん嘘。50m先から認知していた。
彼はハンターにロックオンされ、捕まったのだ。絶対に逃げられない。
平静を装い、彼と会話を交わしたが中学3年生ぶりの再会で心の中は祭り騒ぎだった。
私は後で連絡を取るために、自分のスマホで彼と写真を撮った。
彼のことは完全に吹っ切れ、好きではなかったが昔の気持ちを思い出し、会話中の自分の声のトーンが2つくらい上がっていて気持ち悪かったのを覚えている。
成人式の後は学年全体で行われる同窓会があった。
そこでも私はさりげなく彼のいるグループへ行き楽しくお酒を飲んだ。
同窓会が終わりその後はクラス会。
クラス会の前に、私は式で撮った写真を彼に送りクラス会へ行った。
彼とはクラスが違い、私のクラスはカラオケだった。そろそろ抜けたいと思っていた矢先に、彼からDMの返信があり、10分ほどあけてやり取りをした。
「写真ありがとう!クラス会どう?」
「カラオケだけどそろそろ抜けようかなって思ってる~」
「俺のところももう解散するけどタイミング同じだったら一緒に帰る?」
キタコレ!!!!!!
タイミングは合わせるものだ。
あの時の私は、例えカラオケで「アーティスト本人サプライズ登場!」があっても見向きもせず帰っただろう。
「そうしよ!公園で呑みなおす?」
「いいよ👍帰る時言うね」
私はトイレでメイクを直して、カラオケを抜けた。
歩きながら彼からの返信を待ち、何回も手鏡をみて身だしなみを整えた。
「終わったからそっち行くね~」
と彼から連絡がきた。
心臓はバクバクだった。
と、ここまで少女漫画のような初恋の人との再会を綴ってきたが、驚くべきことに彼には彼女がいるのである。
私はインスタで彼女の存在を知っていた。投稿を見た時、私がなりたくて仕方がなかった彼女の座を獲った彼女が心底羨ましかった。
しかし私は彼に会いたかった。どうしても。
待ち合わせをして近くの公園で呑んだ。
中学卒業してから今までのこと、将来のことをお互いに話した。
夢みたいで楽しかった。
この時にはもう一度彼を好きになっていた。
「彼女いるよね?(笑)いいの?」
と聞いてみた。
「いいの?」ときいて自分の非を棚に上げる卑怯な女
「俺の彼女、すごい遊んでるんだよね。今も元彼とクラス会で一緒らしくて何してるか分からない」
自分の彼女の愚痴を他の女にこぼす卑怯な男
けど今はそんなのどうでもよかった。
「そうなんだ~大変だね」
無言の時間が続き、私たちはベンチに座りながらもジリジリと距離が近くなっていく。
「中学生の時告白してくれたじゃん、俺も小6のとき好きだったよ。けど中学に入って話さなくなったから…」彼が零した。
新年早々、今年言われて嬉しかった言葉大賞にノミネートされた。
「そうだったの。私、あの告白が人生初だし今までも他の人にした事ないんだよ。」
彼が嬉しそうにはにかむ。
そのあとも思い出話に花が咲いた。
一通り話し終わって、沈黙のあとに彼は
「ほんとに可愛いくなっててびっくりした」といって顔を近づけてくる。
おでこを付けてきて「キスしていい?」
私は「ダメだよ」と言いつつ彼の方を向いてる。
気づいたら唇が触れあっていた。
もうどうでもいい。公園のベンチのでキスをした。
ほんとに今までしたキスとは比にならないくらい気持ちよくて溶けそうだった。
明け方まで寒い公園にいたが、全然寒さを感じなかった。
同窓会後も連絡をとっていて彼の彼女の愚痴を聞いたりしていた。
私も彼もいつの間にか、醜い卑怯な人に成り下がっていた。
彼は昔と変わらず誰に対しても優しい人。
だから私との連絡を切る事が出来なかった。
私はその八方美人の彼につけ込んでこの関係を終わらせなかった。
時々会ってドライブしたりする関係。
身体の関係は持っていない。
そんな感じで2月に入った頃、目を覚ます時がきた。
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