薬とサプリメントの鉄の違い
みなさん、こんにちは!
薬剤師のめいベジです🌿
前回の記事では栄養素の鉄についてお話しました。
今回は、それを踏まえた上で薬とサプリメントの鉄の違いについてお話していきます!
サプリメントと薬の鉄の違い
まず最初に、鉄サプリメントと薬の鉄剤の違いについてお伝えします。
薬としては市販薬と処方箋医薬品があるので、サプリメント、市販薬、処方箋医薬品の3つに分けて表にしてみました。
では、それぞれについて詳しくお話していきます!
ヘム鉄と非ヘム鉄について
サプリメントにはヘム鉄が、薬には非ヘム鉄が使われています。
では、このヘム鉄と非ヘム鉄とは一体何者なのでしょうか?
ヘム鉄とは
ヘム鉄は主に動物性食品に含まれており、特に赤身の肉(牛肉、豚肉、羊肉)や内臓(肝臓)に豊富に存在します。
非ヘム鉄よりも体内での吸収率が高いのが特徴です。
非ヘム鉄とは
非ヘム鉄は植物性食品に多く含まれており、ほうれん草や豆類などに存在します。
非ヘム鉄の吸収率はヘム鉄よりも低く、食事内容や栄養素との相互作用を受けやすいのが特徴です。
ビタミンCや銅などの栄養素との同時摂取が、非ヘム鉄の吸収を増加させることが知られています。
鉄サプリメントの特徴
鉄サプリメントにはヘム鉄、非ヘム鉄の両方が使われていますが、一般的には吸収率が高いヘム鉄が使われていることが多いです。
使われている鉄の量は、一日量として約3〜10mg。
鉄サプリメントの特徴は、ビタミン類やミネラル類が配合されていること。
そして、摂取しやすいように様々な剤型があります。
ビタミン類などが配合されていることで、鉄の吸収を促したり、鉄の働きを高めることが期待されます。
また、剤型としては錠剤の他カプセルや液体、グミキャンディなどがあります。
個人の好みや摂取のしやすさで形を選ぶことができるのは嬉しいポイントですね。
鉄剤の特徴
市販薬
市販薬の鉄剤には非ヘム鉄が使われています。
非ヘム鉄はヘム鉄に比べて吸収率が低いですが、非ヘム鉄でも吸収されやすい形となっています。
市販薬の鉄剤は、鉄サプリメントと同様にビタミン類などの成分が配合されています。
剤型としては、錠剤や液体があります。
使われている鉄の量は、一日量として3〜29.6mgと幅広いです。
市販薬の鉄剤と鉄サプリメントでは、含まれている鉄の量や配合されている成分が似ているものがありますが、鉄サプリメントはあくまで鉄を補給する目的のものであって貧血を治すものではありません。
それに対して市販薬は効能として【貧血】の記載があるため、貧血を治す目的で使用することができます。
また、サプリメントは薬と異なり、品質や安全性の保証が不十分な場合があります。
サプリメントまたは市販薬を購入するときには、上記の違いと価格を考慮した上で選ぶといいと思います。
処方箋医薬品
処方箋医薬品に使われている鉄は、市販薬と同じく非ヘム鉄です。
市販薬との違いは、
・処方箋医薬品であるため、医師の処方箋が必要
・市販薬よりも鉄の量が多い(一日量の鉄として100〜200mg)
・鉄欠乏性貧血の治療に用いられる
つまり、処方箋医薬品の鉄剤は医師によって鉄欠乏性貧血の治療に必要と判断された場合に処方されるもの。
市販薬よりも含まれている鉄の量が多いため、定期的に血液検査を行った上で飲むことが大切です。
鉄の過剰摂取に注意
口から鉄を摂ったとき、十二指腸から吸収される鉄の量は体内にある鉄の量を考慮した上で決まります。
つまり、体内に鉄が不足していればその分吸収され、体内に十分鉄があれば吸収されずに体外に排泄され、体内の鉄が過剰にならないように調節されているのです。
しかし、サプリメントや薬を漫然と飲み続けていると、この調節機構が十分に働かなくなってしまうのです。
その結果、体内に鉄が十分にあったとしても必要以上に鉄が体内に入ることになります。
また、前回の記事で体は鉄を能動的に排泄する機構をもたないとお話しました。
つまり、必要以上に体内に鉄があってもそれを排泄することができないため、容易に鉄過剰の状態に陥ってしまうことになるのです。
鉄過剰になると、腹痛や消化不良といった消化器症状や倦怠感、免疫力の低下など体の不調に繋がります。
鉄過剰に陥らないためにも、サプリメントや薬を漫然と使用することを控え、生活の中で貧血による不調を緩和できるような体作りをしていきましょう!
必要なときに上手に活用しよう
鉄不足による体の不調を一時的に和らげるために、薬やサプリメントに頼ることも大切です。
しかし、同時に食事や生活を見直さなければ、ずっと薬やサプリメントに頼り続けることになってしまいます。
それでは根本から改善されることはなく、いつまで経っても不調から抜け出すことができません。
そして、いつの間にかたくさんのお金を費やしてしまうことに‥。
そんな悪循環を作らないために、日頃の生活で体の土台を整えながら、必要なときには上手に活用したいですね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
めいべじ🍀