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安心な老後は自分で作れる

 「終活のセミナーをするから来て」と言うと、「まだ死にたくないから終活はしない」と言う人がいます。誰しも、意味なく早死にをしたいとは思わないでしょう。また、「終活」と言うネーミングも余り良い響きではありません。しかし、終活することと死ぬことは論理的に関連性があるのでしょうか? 「写真を撮ると魂が抜かれる」のと同じでは? 老後の対策をきちんとしておかないと、いずれ困るのは自分自身です。
 所詮、この世に生まれ落ちたということは、確実に「死」に向かって歩き出したという事です。100%逃れられず、かつ、いつ突然くるか分からないものを、「まだ死にたくないから考えない」などと思考停止している方が滑稽というものでしょう。
 そもそも、「終活」とは何をすることなのでしょうか? 終活をしないとどうなるのでしょうか?
 終活とは、(1) 自分が認知症や寝たきりになったときの「不安を払拭する」準備であり、(2) 残された家族が揉めたり困らないようにする準備であり、(3) やりたかったのに、今まで我慢してきたことなど、これから先どう生きたいか、何をして欲しいのかを棚卸しすることであり、(4) 会社や社員を守るために、会社を誰に託すのかを決め育成する準備の全てを指します。
 つまり、一言で言うと、「現在感じている不安を払拭し、自分の望む未来を自分で設計すること」が終活なのです。
 自分で調べたり動ける今だからこそ、安心できる自分の未来を自分で作ることができます。 認知症になってしまったら、他人に搾取されても、搾取されていることさえわからない、生存だけの人生です。それが嫌なら、自身で判断出来る今が、正しく、終活の時なのです。
 では、 終活では、具体的に何をしていけば良いのでしょうか?      
 まずは、(1)不安払拭対策としては、①認知症などの時に被害に遭わないように、自分の《財産を管理》して貰う任意後見人を決める、②自由に動けなくなった時のために《身体の世話》をして貰う看護師や介護士に依頼する、③終の住処として、施設入居か在宅医療かなどの方向性を決める、こういった事を、信頼できる人や業者などと、委任、負担付贈与、家族信託などの形で契約します。
 次に、(2)財産の処分方法としては、①残された家族が争ったり困らないように配分を決める、②相続情報を明確にするために、相続人の明確化、債務の有無などを記録しておく、③自身の契約に要する費用や施設入居費用などを計算して、遺産を残すのか残さないのか、残すなら誰にどれくらい残すのかを決める、決めた内容を公正証書遺言、第三者への贈与、寄付などの書面にして残します。
 そして、(3) 残りの人生を楽しむための対策としては、①したいことして欲しいことを整理し、②やりたいことを共有できる多くの人と繋がり、③不安なことを話せる仲間を作る、また、④そう言う人と繋がれるところを探します。人間関係が面倒なところは避けて、ストレスフリーに生きましょう。
 また、(4) 会社を経営している場合は、①債権・債務や取引先や融資先を棚卸しし、②事業承継人を育成し、③株式譲渡、債務保証、事業承継信託などで承継がスムーズにいくように整理していきます。
こう言ったことを、出来るところから1つずつ始めて行くのです。
 一度に全部しようとすると、あれもこれも気になって気持ちが焦り、結局進まないと言うことがあります。まずは一番気になることから、一つずつ始めると言う気持ちが大切です。1つ上手く行くと、他のことも要領が分かって弾みがつきます。
 必要な費用の捻出方法についても、ローンや保険の見直しだけでなく、実現するための様々な方法(詳しくは「おひとり様に必要な準備」の投稿記事をご覧ください)があります。
 また、上記よりさらに細かいことまで決めることもできます。例えば、施設や病院への寄付、墓じまい、葬送、法要、ペットの行先、自宅の処分方法、死後事務の委任などです。さらに、おひとり様の場合は、身元引受人や身元保証人を契約しておくことも必要になってきます。
 終活にあたって、大事な考え方は、子供に遺産を残すために節約することではなく、自分の不安がなくなり、気持ちが楽になり、楽しく生きるためにお金を使うと言う考え方です。
 そして、その考え方は、案外、子供の介護の負担を減らすことにつながったりします。なぜなら、今は、少子高齢化になり、夫婦が4人の親の面倒を見たり、生涯独身率が増え、働きながら両親の介護もしないといけない時代だからです。親の遺産がなくなっても、介護の負担がなくなる方が介護離職をせずに済むためありがたいと思う子供は少なくないはずです。
 やりたいことを遠慮なくしてこそ人生100年の意味があります。その結果、親がいくつになっても生き生きと暮らしてくれたり、介護の負担もないとなれば、子供も安心して好きなことができるのではないでしょうか。第一、遺産がなければ、相続が「争族」になる心配もありません。
 当事務所では、通り一遍の形式的な書面作成ではなく、安心な老後づくりのためのご支援を、依頼者のご希望を丁寧にお伺いしつつ、幅広い知識と経験を活かして、フルサポートさせて頂いています。

©️2023ようてんとなーたん

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