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#10「オペレーション・ミンスミート ナチを欺いた死体」
今年度最後は、公開中の映画「オペレーション・ミンスミート」をご紹介。
「キングスマン」「英国王のスピーチ」でお馴染みのコリン・ファース主演、実話をもとにした頭脳派スパイ・サスペンスです。
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本作は、よくある兵士の勇気ある姿を映した戦争映画とは違い、映画「イミテーションゲーム」のような頭脳戦、いわゆる戦争における”影”の部分に光を当てた作品。
私は戦闘シーン盛りだくさんの映画も大好きですが、静かな頭脳戦を描く「オペレーション・ミンスミート」も非常に大好きな内容でした。
指し示す方向によって、非常に多くの命や戦況を左右する作戦たち。それらは暗く狭い部屋で、少数精鋭の諜報員によって作られています。そして作戦が一度実行されると、結果の行方は神頼みというのがなんとも言えないです・・・笑
私はこれを観ていて、なんだか制作の仕事にも似ているような気がする〜と考えていました。作戦に使用する死体探しに苦戦するのは、イメージ似合う俳優探しと似ていますし、それに、撮影前の"なるようになるよね"っていう流れに身を委ねる感覚も・・・。
あらすじ
あなたは、第二次世界大戦の行方を変えた奇想天外な欺瞞作戦を知っているだろうか?英国諜報部(MI5)は、ある奇策をチャーチル首相に提案する。高級将校に仕立てた“死体”にニセの機密文書を持たせ地中海に放出、ナチス、ヒトラーを騙そうというのだ。この極秘作戦は、各国間の駆け引き、策略、そして裏切り合戦へと発展していく——。
1943年、打倒ナチスに燃えるイギリス軍はドイツ軍の防備に固められたイタリア・シチリア島を攻略する計画を立てていた。そこで英国諜報部のモンタギュー少佐(コリン・ファース)、チャムリー大尉(マシュー・マクファディン)、イアン・フレミング少佐(ジョニー・フリン)らが練り上げたのが、欺瞞作戦“オペレーション・ミンスミート”だ。“イギリス軍のギリシャ上陸計画”を示す偽造文書を持たせた死体を地中海に流し、ヒトラーを騙そうとする奇策だ。彼らは秘かに入手した死体を名付け、100%嘘のプロフィールをでっち上げていく。こうしてヨーロッパ各国の二重三重スパイたちを巻き込む、一大騙し合い作戦が始まるが——。
戦後長らく極秘扱いされていた驚愕の作戦の全容がいま明らかに——。
鑑賞中、迷子にならないために、押さえておきたいポイント2つ
すこし難しそうな内容かもしれませんが、①歴史と②登場人物さえ抑えれば怖いものはないはず・・・!
①歴史的背景
本作は様々な名称、各国の情勢などが流れるように出てくるため、歴史的背景を事前に頭に入れていくことを強くお勧めします。
ここでもすこーしだけ書いておきますね。
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『007』シリーズに登場するMのモデルとして知られる。
舞台は1943年、第二次世界大戦中のイギリス。
ナチス・ドイツと激しい攻防戦を繰り広げ、戦況は少しずつ連合国軍(英米仏ソ)が優位になってきました。
ソ連軍は総反撃を開始し、1943年2月にスターリングラードでドイツ軍を降伏させ、同時期にアメリカ・イギリス連合軍は北アフリカに上陸し、ドイツ軍に勝利しています。
その流れを受けて、連合国軍は本格的にナチス・ドイツへの反撃を開始します。その足掛かりとして、イタリア・シチリア島への上陸作戦「ハスキー作戦」を計画していました。この作戦は、後の連合国軍のイタリア本土上陸、イタリア国内のクーデター、イタリア軍の事実上の降伏を導く非常に重要なものでした。
シチリアは地理的にもチュニジア・マルタからの航空支援も受けやすいため、最適な上陸ポイントなのは明白。しかし、ナチス・ドイツもそれをちゃんと認識して守備を固めていたので、このまま連合国軍が攻めたとて、返り討ちにあうだけ・・・。
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そこで、(簡単にいうと)連合軍が攻めやすいようにシチリアに駐屯するナチス・ドイツ軍を別のもっと遠い場所に動かそう、という目的を達成するために「ミンスミート作戦」が行われたのです。これは、高級将校に仕立てた“死体”に、連合国軍の上陸先はギリシャであると記したニセの機密文書を持たせるという奇策でした。
この諜報作戦は大きな非常な成功を収め、ナチス・ドイツの上層部に”連合国軍の反攻予定地はギリシャを計画している”と思い込ませることができました。
その「ミンスミート作戦」を描いたのが本作です。
②登場人物はこの人たちを覚えればOK
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登場回数が多く、物語の本筋に絡む重要な人物は以下の6人。
・モンタギュー(コリン・ファース)
・チャムリー(マシュー・マクファディン)
・フレミング少佐(ジョニー・フリン)
・ジーン(ケリー・マクドナルド)
・秘書ヘスター(ペネロープ・ウィルトン)
・提督ゴドフリー / M(ジェイソン・アイザックス)
公式HPを見てから映画館にチラッと覗いてみてくださいね。
ジーンをめぐる三角関係
この作戦の実行者であるモンタギューとチャムリー、そして死体の恋人「パム」として自分の写真を提供するジーン。本作では三角関係が本筋に並行して描かれています。(あまりチャムリーからジーンへの動きが少ないのでなんとも言えないです。)
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架空の将校ウィリアム・マーティン少佐も恋人パムも実在しませんが、ナチスが偽資料を調査するにあたって必ず2人について調べることでしょう。
そこで、この作戦を練るにあたっては、2人の過去・現在を創作していく必要がありました。
その役割を担ったのが、モンタギューとジーン。それぞれがマーティンとパムを重ねながら一緒に時間を過ごしていくうちに、2人の距離は急速に縮まります。ただ、冒頭のシーンでモンタギューにはアメリカに渡った妻子がいることが示されており、この関係がどうなるのかは実際に映画館で確かめてください。
*映画の本筋ではないので少し中途半端な気もしますが、多めにみてあげてください。
***
いかがだったでしょうか?
WW2の諜報作戦を題材にした本タイトルを発見した時、昨今の情報戦とも言われる世界情勢を考えると今観なくては!と思わずにはいられませんでした。
しばらく映画館でも公開されていると思うので、お時間ある方はぜひ映画館で観てください。