five realities 〜統合〜 (2)

夫も順調に回復し
程なくして起業
仕事も順調に進み
都内に家を手に入れた

子供達を満たせるだけの
夫婦も満たされるだけの
生活が送れるようになっていった

家族が増えれば負担も増える

私たち家族のこと
夫の家族のこと
実家のこと

もともと人に頼る事が苦手で
他者の手を煩わすくらいなら
私がやってしまおう

無理だと思うことも
やってみれば何とかなる

そういう生き方を学んだ
結婚生活で随分と男性性を培っていった

色々なコミュニティーで
必要とされるようになっていく
そしてトップを担う

自分が女だということも忘れ
結果を出すために全力を尽くす

すると必ずと言っていいほど
ネガティブな感情や行動を
恥ずかしげもなく発する人達にふれる

そして
自分が発した負のエネルギーに
飲み込まれ消えていく人達を見送る
いつも疲れていた
倦怠感が当たり前で
分刻みのスケジュールが当たり前
それでも頑張るという言葉が当たり前だった

そんな私が恋をした

長い結婚生活で
閉じ切っていた女性性が目覚めた

五年ほど前からの知り合いで
同じ年の男性

今になると
理由を説明することが出来ない

急に気になる存在になっていた

女を捨てて生きてきた
私の胸がときめいた
メイクに時間をかけ　
綺麗に着飾り
所作に女を漂わせる

私が女であることを
思い起こさせてくれた人

互いに大切な家族がいる

細く長い指
冷たい掌
手をつなぐ機会はあったが
それ以上の関係には進まない
プラトニックのまま過ぎていった人

でも
一度目覚めた女性性は
周囲の男性から
優遇される女性へと変えていった

そんな変化に
夫が気づかないわけがない
いままでの依存という愛情が
執着となって形を表していった

夫の負のエネルギーが
生命力を吸い尽くしていく

日々の生活に疲れ
家庭でも安らげなくなっていく

改善策を考え続ける毎日
私にとって人生の大半をつぎ込んで
造り上げてきた大切な家族
絶対に
手放すことは出来ない

疑心暗鬼に摂り憑かれた夫と
もう一度向き合う
大切な家庭を守るために