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2022.7.21 オランダ絵画とピーター・ラビット
労働で心を病み、週4にお仕事を短縮して数ヶ月。上司が変わり、労働環境が改善されたとはいえ、心身にたまる疲労はあまり軽くならない。けれどその日はどうしても見たい展示があったから、重い身体を起こして出かけた。そう、『フェルメールと17世紀オランダ絵画展』だ。フェルメールの初期の作品『窓辺で手紙を読む女』が修復されて、ドレスデン国立古典絵画館から日本へやって来た。当時に近い姿を目にすることができるのは、修復されたばかりのダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を見て以来。
音声ガイドがどうにも理解できなくて、ヘッドフォンを装着して立ち止まる人混みと距離を取りながら、なんとかすべての作品を目にすることができた。
わたしは、古典作品の解説は基本的に読まない。あらかじめでも事後でも、美術書などを読めば画家の生涯や手法に触れることができるから。作品だけを見られたらそれで満足なので、わたしの鑑賞は周りが驚く速度で終わるらしい。もちろんじっくり鑑賞できればそれに越したことはないけれど、いかんせん日本の美術館は狭いところが多いからね。どうしてもゆっくりじっくり…というのはむつかしい。今回の展示は、平日でもかなりの人がいた。
フェルメールの作品は、最後の最後。修復前の複製画とともに置かれていた。専門家ではないのでえらそうなことは書かないけれど、修復されたそれは、色鮮やかで、確かにフェルメールの作品なのだけど、今目の前にあるのが旧き時代のものだと考えたくないような、強い存在感を放っていた。修復士のお仕事は、本当に身を削るような作業だろうに、そのぶん感動してしまう。
ポストカードは、修復前と後、両方買いました。他の所蔵作品で自分が気に入った作品も、いくつか。美術館に行ったら、ポストカードは絶対買います。
オランダ絵画展の後、病院まで時間があったので、『出版120周年 ピーター・ラビット展』にも行ってきました。
お恥ずかしながら、わたしはピーター・ラビットをはじめ、ポターの作品を読んだことがありません。アンデルセンの『人魚姫』や、バリーの『ピーターとウェンディ』などには親しんでいたけど、なぜかピーター・ラビットは母の買う食器でしか目にすることはなかった。なのにどうしても展示があると見に行ってしまうのは、ひとえにポターの描く絵に、愛情や温かみを感じるからかもしれない。
ちまたで有名な、「お父さんはパイに…」の部分の貴重なイラストも目にすることができたり、ところどころに作品を再現したオブジェやぬいぐるみが出迎えてくれたり、オランダ絵画展とはまた異なる世界に足を踏み入れた気分でした。

外出が怖くて数年間、美術館へ足を運ぶことができなかったのだけど、また観に行きたい展示があれば、出かけたいな。