服に恋した日
明確な日にちは覚えていない。
子供の頃から服やおしゃれが好きだった。だけどもそれはモードでかっこよくて、自分がウキウキするような感覚ではなく「いかに他人といて恥ずかしくない格好をするか」に意識が向いていた。
小学生の高学年頃からブランドというものをみんなが意識し始めたが、当時の私はブランドってなんじゃい。ヴィトンくらいしかしらんわ。
といった具合にブランド物にまるで興味がなく、ユニクロバンザイ少女だった。
昔はユニクロ安くて今の立ち位置というよりはちょっとダサめな完全に庶民の味方だったのだ。
ブランド物を着てないからとバカにしてくる子もいたが、ブランド物だから何が素晴らしいのか全く理解が及んでいなかった私はあれよあれよと無事に中学生という制服で過ごせる年代に突入した。
有名私立校に通うセレブリティな子どもなんてものではなく、そのへんにある公立校に通っていただけだった。今考えたらブランド物を持ってるか否かで子どもが格付けし合うってやべー世界だ
中学、高校はほとんどが制服や部活着だったので私服という私服どころか遊ぶこともほとんどなかったので、服との関わり合いは最低限だった。とはいえ高校生ともなるとその貴重な試験休みに時間を割いて古着屋さんに足繁く通った。お小遣いは限られてるからね
限りあるお小遣い
限りある休み
限りある友達との遊び時間
これを最大限に活用していた時期では安く可愛く着られる服に全集中していた。
高校生ともなると友達と自分、それぞれ違っていいしブランドものに固執する人もそこまでいなかった。平和に服やおしゃれ、友達との遊びを楽しめた。
学生を経て、社会人になり数年たった2018年始、グラマーフレンドリーブランドとしてHeart closetの存在を知った。
その時に初めて服の可能性を感じたのだ。
それまでは服は買える値段で更に着られるかどうか、が大前提だった頃から180度違う視野を手に入れた
制服のブレザー13号、スカート7号が当たり前だった世界からブラウスSサイズやMサイズなのにボタンが弾けないブランドを見つけた。
これは実用性とシルエットを重視したわたしの世界のすべてだった。
胸が大きいからトップスはグラマーフレンドリーブランドじゃないととても快適には着られないと実感していたし、事実普通の衣類ブランドだと肩周り、首周りなどが恐ろしく不愉快なのだ。なんなら猫背にならないと着られない。不健康な体型なのだ。
そして2019年、2020年と度々Twitterでfoufouというとても素敵なブランドのお洋服を着た素敵な女性方の写真がわたしのTLにも流れてきた。
かわいい、とってもかわいかった。確か夏ドラと、千鳥は覚えている。ドレスシリーズは残念ながら色が同じな黒ので覚えていない。多分18とか19とか、そのあたりだった気がする。シャツワンピースが大好きだから。
どちらのときも、わたしは本家マール・コウサカさんのtwitterまで追いかけていた。
ただ着用画像を挙げられている皆さん総じてスレンダーに美しく服を着こなしていて、とっさにわたしは「あ、私は買えても着られないかもな…」と思ったことを克明に覚えている。
あとteshioniはハードルが高かった。わたしは衣類ブランドは総じて数型は売っているだろうと思っていた。だが完売だったのだ。foufouのブランドページが表示されたと思ったら、1ページ目に掲載されている商品がすべて完売。そんなことあるか?この間ここの会社はどうやって売上を計上しているんだ?と素直に思ったくらいだ。
そして何より完売がほとんどな上にいつ販売してるかわからないから完全にお手上げだった。ちょっとやそっとの気持ちで挑めるものではなかった。
そうして私は二度はfoufouで買うのを諦めた。
一度目はfoufouの着画で。
二度目はtehioniのサイトで。
それから一年以上経過していたと思う。たまたま、ドレス18の販売情報のツイートがTLに登場した。苦い思い出がある私は「3度目か〜」と思いつつも、もう一度マールさんのnoteを読み、foufouのLINEに登録しサイトを覗いた。その時に、頭の中で何かが弾けるような感覚が私を襲った。
昔見たであろう18に、あらためて再会したときにわたしは恋に落ちてしまった。
残念ながら18は胸囲的な問題で断念せざるを得なかったが、あの日からわたしはfoufouのいろんな型のお洋服に恋をしている。
今までは多少高くても「高かった〜!快適に着るぞ!」という気持ちがほとんどだったがfoufouのお洋服たちは届く前からわくわくさせてくれて、届いたとき、ハンガーにかけるときには思わず抱きしめてしまうようになってしまった。まるで恋した乙女がクッションに顔をうずめるような、そんな格好になる。
わたしはfoufouのお洋服を眺めているだけで心が躍るし幸せな気分になれる。
もちろんシルエットは胸がある分美しいとはならないかもしれない。実際着るのが精一杯なお洋服も数型ある。ウエストラインが肋骨とか胸にずり上がってくるわけだから苦しいのも実は当たり前だったりする。
だけどそれでいいのだ。
わたしはこのお洋服を着ているときはなんの不満も感じない無敵になれるのだから。
現にドレスたちを身にまとっているときのわたしはまるで映画の主人公になったんじゃないかというほどに足の動きも弾む。
一つ言いたいのはfoufouを愛しているみなさんがいたからわたしはfoufouを知ることができたし、foufouに出会えたから着たとき以外も高揚感を楽しめている。
お洋服には魔法がある
そして人を恋に引きずり込む強力な力がある
たかが服、されど服なのだ
わたしはこれからも、お洋服との恋に溺れていく。