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成人女性、19歳男子に罪悪感を覚える。〜おっさんが20代と付き合える訳ないだろ〜

夏前のこと、ひょんなことで19歳の男の子Aを中央線で泣かせてから妙に懐かれてしまった。

泣かせたA君は大学の後輩で、私の言うこと全てにケラケラと笑ってくれる、ひょろっとして神経質そうな顔をした(友達には、顔好きでしょ? お嬢は神経質そうな男が好きだから付き合っちゃえと言われるが、生憎A君には彼女がいる。人の男取るのは自分の男取られてええやつだけやねん)可愛いボーイである。

気の強い女が好き〜とか、僕mなんですよね……とかジャブを大胆にも彼は打ってきているので、私のツラとセクシーお姉さんキャラに惹かれているだけと分かってるから、私はあんまりA君のことは気にしていない。

でもそんなA君に懐かれて悪い気はしない。また私も19歳の山田一郎にうつつを抜かしていた下劣なものだから。
それで私はいい気になって何度か学食や軽食などを奢っていた間にまた19歳組との交流が少し広がって、別の少年B君ともお知り合いになった。

その19歳少年Bくんが、とんでもなく素敵な子で、私は一つ彼の言葉を聞いた瞬間から、彼の聡明かつ繊細な語り口と、フラットに、愛情深く、しかしどこか距離を保って世界と接する姿に片想いしかけている。

何回か学食行かない?とかおやつ奢るよ〜とか声をかけても、「ありがとうございます‼️でも今課題めちゃやばくて😭お誘い本当にありがとうございます‼️またよろしくお願いします‼️」とヒラヒラ躱わされているから、多分脈なしである。
勝ち戦しかしない私が悪いんだけど、いい大人なのに狙った男がすぐに落とせないのが初めてで、だいぶ傷心である。

そんなB君と、今日たまたま大学で遭遇して、ちょっとお話しした。
19時過ぎ、帰り際、構内のガラス越しにびたっと目があって、ドッと胸が騒いだのを覚えてる。
こんなのは久しぶりの感覚かもしれない。
お互いビックリした顔で、ガラス越しに指を差し合って、そして私はB君を見た途端大人気もなく彼のところまで走って行った。
今思えばだいぶ恥ずかしい行動なんだけど、あの時はなんかこう、ただ会えたのが嬉しくて成人女性異常爆走してた。

Bくんはお化粧とファッションとアニメが好きな、山田一郎と同じくらいデカい、髪の毛のツヤッツヤした、柔らかくてハイテンションなのにどこか距離を感じさせる語り口のたまらない不思議ボーイで……やばい、結構好きかもしれない。
今日は1限からあったからジャージで行こうかと思ったんだけど、流石に新学期だし綺麗にしていくかと思って黒いオフショルを着ていた。よかった。いや、Bくんジャージも好きだと思うけど、お姉さんアピできてよかった。

いろんなたわいの無い話をしたけど、B君の前だと視界がぼんやりしてきて、頭がうまく働かなくて、私はまだまだ乙女だな〜とふんわりと思った。
結局、またご飯行こうねとかしか「センパイ」として不思議じゃ無いくらいのことしか言えなくって、お前さぁとなっている。童貞かよ。
本当に好きな人には自分からいけないの、結局どれだけ経験積んでも変わらないなーと帰り道思ったけど、今回のは、それだけじゃ無いかもしれない。

19歳の彼の、これから待っているキラキラの学生生活を考えると、彼の一瞬を私が独占していいわけがないと、私は今日思ってしまった。

学祭の準備に没頭して、同期と楽しそうに話して、私より随分おぼこくて、ナチュラルメイクの、細くて小さくて、間違っても授業にオフショルなんて着てこない可愛い女の子たちに囲まれてるB君を遠目で見ていると、私がとんでもなく汚れたバケモノのように思えてくる。

彼のこれからの青春の日々を、私が一瞬たりとも奪っちゃいけない。

もちろん、私が圧倒的に害悪で異常者ということもあるけど、すでに19の時を過ごした年長者として、あの時期を彼の手から少しでも奪うようなことはできないと思った。
同時に、私の青春か再生産労働とセックスにあてがわれ利用され続けてきたこと、私の若さの瞬きや前途洋々とした進路へ心配りをしてくれた「大人」が私にはいなかったことにも思い及んで、少し暗澹とした気持ちになったけど。

二、三歳差でこの罪悪感と申し訳なさである。
50代のおっさんが若い女と付き合える訳ないだろ。

年長者は、若者の健全な成長のために全てを捧げないといけないし、それが社会に生きるということでしょう。
年上に憧れる気持ちも、年下が可愛くてしょうがない気持ちもわかる。どちらも自己顕示欲と自己保存の本能と性欲がぐちゃぐちゃに混ざり合った汚い感情だけど、私はそれが感覚的にわかる。

けれども、その分別がつけられる「大人」たちは、誤っても年下に手を出そうなんてしちゃいけないし、少なくとも私はそういう感覚の持ち主だ。
百歩譲って、お互いが人間性に真に惹かれあっていたとしても、年長者はいかなる欲求と誘惑に耐えて、何一つ年下から搾取することがないように自分を律し続けなければいけないし、だから、性欲にかまけて20代の青ガキを食いもんにしたがるオッサンは全員死ねばいい。

私は相当容姿に自信があるし、B君もよく私のことを褒めるようなことを言ってくれるけど、それでも普通におばさんだし……気を遣ってくれてるだけだし……と卑屈(謙虚)になる。
なのにお前らおっさんらと来たらさぁ。馬鹿なの?
風俗嬢ならともかく、素人の若くて可愛い女がお前ら好きになる訳ないだろ。
若くて可愛い女でさえ19歳男子落とせてないんだから。

わきまえようぜ、お互い。

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