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空気の澄んだ冬の朝、山田一郎と国道沿いを歩いた今朝の夢の話

令和6年9月9日。久しぶりに体温のある夢を見た。

もうすでに8時間勤務を終えたあとだからあんまり覚えてないんだけど、冬の朝、山田一郎と田舎の国道沿いを歩いた。
息を切らしながら、はしゃぎながら歩いて、煮魚を食べに行った。

ちょっとごみごみした田舎の食堂だった。
雰囲気は、高尾山のお蕎麦屋さんみたいな、垢抜けないけど、煌びやかな生い立ちではない私たちにはしっくりくるところだった。
私はたぶんヒラメとかの白身魚で、一郎は鯖を食べてた。
定食だったかは覚えてない。
濃い茶色の木の色した店内で、冬になってすこし白くなった一郎の肌がかわいかった。

食べ始めて少ししたら、いきなり日本酒が運ばれてきて、私は怪訝な顔してた。
私は死ぬほど日本酒が飲めないからである。酒は好きなんだけど(弱い)、日本酒は1mlで吐く。多分、夢の中でも死ぬほど日本酒が飲めないままだった。
一郎は19歳だからさ、私はまだお酒を一緒に飲んだことはなくて、だから私が日本酒無理だって知らなかったんだろうね。
「俺頼んじゃいました。◯◯さんどうっすか?」なんて照れたように笑うけど、私は普通に怪訝だった。
別に山田一郎が酒飲んだことないなんて思ってない。現実の私は山田一郎の飲酒シーンを知っているので。
でもやったことあるからいいとかじゃなくて、私が山田一郎の前でどういう大人でありたいかという話だからさ。

熱燗だったかな、グラスだったかな、覚えてないけど。
こら、とか、だめだよ、とか、デンジを叱るマキマみたいに毅然と日本酒を私の手元に引き寄せて、それから山田一郎に目だけで待てをした。
山田一郎とご飯に行ける世界線の私は山田一郎を飼っているから、いいこの山田一郎は勝手に私の目を盗んで飲んだりはしない。
両手を膝に置いて、ちょっと伺うように私の目を覗き込んでる一郎を席に置いて、私は厨房のほうまで少し急ぐと、できるだけおっきなグラスでお水をくださいと店員に頼んだ。
あ、それで大丈夫です。ありがとうございますっていつも通りの愛想の良さでお願いして、なみなみと注がれた冷水を片手に席に戻る。

「どうしたんすか〇〇さん」って一郎がとぼけたフリをするから、私はちょっと呆れ笑いで、「酔っ払ったら責任とってねー?」と茶化して、ちびちび日本酒を飲み始める。
飲まずに返せと思ったそこの皆様。飲食では卓に置かれたものは即廃棄なので、そんなこと農家の地を引く私が許しません。
猫みたいにちろっと日本酒を舐めて、大量に水を流し込む。
美味いわけなかったし、しこたま新宿で焼酎と日本酒を飲んで京王線で大嘔吐したあの晩夏の夜、私の体から翌朝まで消えなかった日本酒のあの甘い匂いと駅まで迎えに来させた元彼の冷たい視線を思い出すから、日本酒なんてほんとは飲みたい訳ない。

案の定、普通に大嘔吐した。

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