タイ人の優しさにどこまでも甘える
タイには結構な回数来てるので今回はラオス付近の北イサーン地方に来ている。
タイ観光局におすすめされてた北イサーンのモデルコースをそのまま巡ることにした。
バンコクプチ1人旅を堪能し、再び列車に揺られドンムアン空港に戻り友達と合流、その後ルーイ空港まで行く。
ルーイ空港からその日に泊まるホテルのある町チェンカーンまでは約50kmくらい。
少し歩いたルーイ市内のバスターミナルからバスに乗るか、エアアジアの用意したシャトルバスに乗るか。
割高だが、市内ではなくホテルまで送ってくれるとのことでシャトルバスを選択した。(とはいえ1人¥750ほど、安い)
揺られること1時間、笑顔が素敵なバスの運転手さんに別れを告げ、ホテルでチェックインを済ます。そんな予約ない、と真顔で言われる。
ついにブッキングドットコムにやられたか。
予約画面を見せると、ホテルが違うと言われた。どうやらここではないらしい。
「ここはチェンカーンリバーサイドホテル。君達が予約してるのはリバーサイドホテルチェンカーンだね!ははは!」
違うと言われた時はエアアジアシャトルバスの笑顔の運転手に対し呆れたが、もはや仕方ない気がした。
「とりあえずここまでいかなきゃいけない、手段はある?」
そう聞くとわらわらと係の人が集まってきてくれた。
「10キロくらいあるからトゥクトゥクに乗るしかないね、呼んであげるよ」
貧乏旅行から始まった2人のタイ旅行はひたすらケチケチしてたから一度も乗ったことのないトゥクトゥクに乗ることになった。
待つこと十数分、トゥクトゥクが到着した。ホテルの方にお礼を言い乗り込むと、キャップをかぶったおじいちゃんドライバーが我々にタイ語で何かを言っている。全くわからん。身振り手振りから多分値段のことだと判断し、iPhoneに300と打ち込み見せると呆れた顔をされた。それを遠目に見てたホテルマンが戻ってきてくれて通訳してくれた。
「300バーツだけれどもよいか?って言ってるよ」
やっぱりそうやん、iPhoneでそれを言いたかってんて。OK、と答えトゥクトゥクは発車。バイクに無理やり荷台をつけたみたいなトゥクトゥクは大きく揺れながら時速40キロくらいで走る。窓もないから風が痛い。
ホテルに荷物を置き夕飯がわりにぷらぷらする予定だったナイトマーケットのあいだをトゥクトゥクは爆走する。すれ違う車は乗用車ばかり、ホテルまで送ってもらうともうナイトマーケットに行くのは厳しいかもなぁ……そう言いながらでもホテルに行く手段も爆走トゥクトゥクしかないので大人しく乗る。
エンストしそうになりながら山越えをし、リバーサイドホテルチェンカーンに到着。おじいちゃんに300バーツ支払い、チェックインをしていると、おじいちゃんがホテルマンにタイ語で何か言っている。
この子ら間違えとってんでぇ、そんな感じかなぁなんて言っていたらホテルマンが我々にこういう。
「ナイトマーケットまで送って行こうか?、っておじちゃん言ってるけどどうする?」
まじですが、ありがたくお願いします。
商売人やなぁおじいちゃん。
また値段が分からなくなっては困るのでホテルマンにいくらで行ってくれるって?と尋ねると
1人100バーツ、と言われる。
ホテルの部屋に荷物を置き、急いでおじいちゃんトゥクトゥクのもとに向かう。
「はい、400バーツちょうだい」
あれ??値上がりしてる?さっき1人100バーツ言ってたやん。いやでももういいわ、いかな晩ご飯食べれへんし行こう。
そう言いながらしぶしぶ400バーツ手渡すとその会話の様子を見てたおじいちゃんは何かを訴え出す。
渡した400バーツを200バーツずつ私たちに持たせ、街中の方向を指差し私たちの手から100バーツずつ抜き取る。そしてホテルを指差しもう100バーツを抜き取る。まさかの往復価格だった。どこまでも商売人なおじいちゃん、理解した私たちにご満悦な様子でバイクに乗り込む。はじめ値段すら伝えることを諦めかけてたのに、どんどん私たちに何らかの手段で伝えようと試みてくれているおじいちゃんに感謝した。
そして20:00、ナイトマーケットに着いた。
おじいちゃんは晩ご飯を食べるならここがうまい、と店まで教えてくれた。
「22:00にここに迎えに来てね」
おじいちゃんの腕時計を指差しながらお願いするとすごく嫌そうな顔をしながら、指でOKサインをするおじいちゃん。あれ、どうした。確かに2時間は待ちくたびれるか。でもお店も見たいしご飯も食べたいし。そこはお願いするよ、もう帰りの200バーツも支払ったわけだし。
おじいちゃんはタイ語で道端の人と話しながらトゥクトゥクで消えていった。21時になると多くのお土産屋さんが閉まり、ご飯も食べ終え21:30くらいには余裕ができた。小さな町なので散歩がてらコンビニやスーパーに入ったり、街中をうろうろしているとクラクションを鳴らす車にすれ違う。車道を見るとおじいちゃんが嬉しそうにこっちに手を振っている。
おじいちゃんは言う「ほらなぁゆうたやろ、この辺21時にはだいたい閉まるねん、やから30分前くらいからこの辺ぐるぐるしながらまっとったんや。あっ、そこコンビニあるで、寄る?」(タイ語)
「せやんな、しまってしもたからコンビニ寄っててん!ありがとうはよ見つけてもらって助かったわ」(日本語)と我々は返す。
おじいちゃんはニコニコしながらドヤ顔でホテルまでまたトゥクトゥクで送ってくれた。
値段すら意思疎通できなかった私たちは日本語とタイ語で意思疎通できるようになった。
ホテルまで送ってくれたおじいちゃんは
「明日も呼んでね!」と電話番号の書いたカードを渡し、颯爽と帰っていった。
ありがとう、おじいちゃん。
そうしておじいちゃんのおかげで我々は無事にチェンカーンの観光もでき、ホテルにもたどり着いた。全部合わせて2人で2100円程度だと思うと全く問題ない。
そうして1日目が終了した。
そして2日目はもっと優しさに甘えることになる。