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【アンケート調査】「プロジェクト推進・実行における課題アンケート」結果まとめ

こんにちは、Good Project Associationです。本記事では、2024年12月19日〜2025年1月10日にかけて実施したアンケートの結果をもとに、プロジェクト推進・実行の現場が抱える課題についてまとめたレポートをお届けします。


1. 調査の目的

私たちGood Project Associationは、「プロジェクト」を世の中に価値ある変化を生み出す集団的な創造行為と定義し、そこで培われる“現場知”の共有・普及を通じて、より多くの“よいプロジェクト”を生み出すために活動を行う団体です。

今回、その活動に先立ち、プロジェクトの推進や実行に携わる方々を対象にアンケートを実施し、現状の課題やストレス要因、必要とされているサポートの把握を試みました。

▼アンケート回答者数
100名

▼アンケート対象
広義の「プロジェクト」で複数人のチームを率いたり動かしたりする役割を担う方。具体的には、プロジェクト全体の進め方の策定や進行管理、予算管理、人材・リソース管理などに責任を持っている方。
職種例:新規事業担当者、プロデューサー、プロジェクトマネージャー、クリエイティブディレクター、編集者、自治体などでの企画・実行担当者 等(業界不問)

職種例
新規事業担当者、プロデューサー、プロジェクトマネージャー、クリエイティブディレクター、編集者、自治体などでの企画・実行担当者 等(業界不問)

▼アンケート実施期間
2024年12月19日〜2025年1月10日

短い実施期間に業種、職種をまたいで100名もの方に回答いただきました。ご協力いただいた皆さまに御礼申し上げます。


2. アンケートの概観 〜主な項目と回答傾向〜

アンケートでは、以下のような項目を中心に伺いました。

  1. 回答者の基本情報

    • 主に関わるプロジェクトの業種

    • プロジェクト内で担務する役割

    • 実務経験年数

  2. プロジェクトを振り返って感じること

    • 「よいプロジェクト」だった割合

    • どんなプロジェクトを「よい」と思うか

    • 課題感の有無、課題と思うトピック、特に深刻に感じる課題

  3. ストレス要因や不足しているもの

    • どんなときにストレスを感じるか

    • 特に深刻なシーン

    • 今不足していると感じるサポートやリソース

参考:質問票

今回の回答者は新規事業開発/創出複数組織が参加する共創プロジェクトWeb制作・映像制作など、多岐にわたるプロジェクトに関わる方々から集まりました。

幅広い業種の方から回答にご協力いただきました。

また、回答者のうち約95%が「大いに課題がある」または「課題を感じることがある」と回答しました。

本記事では、回答内容のうち、特に有意に見られた特徴・傾向をご紹介します。


3. 特徴の分析と示唆

3-1. 実務経験年数による、課題に思うポイントの傾向

若手(〜3年)の層
「忙しい(人手不足、役割の偏り)」や「プロジェクトに対する知識不足」への言及が目立ちました。一方で、予算や人間関係での課題は感じにくい(責任範囲ではない)ことがうかがえます。

 中堅(4〜6年)の層
企画、要件定義など上流工程に深く入り始める一方、「スコープのトラブル」「スケジュール管理の煩雑さ」「予算トラブル」といった、いわゆるプロジェクトマネジメントの基本スキル領域に課題感が集中しています。

ベテランor経営者(7年以上)の層
コンプライアンスや予算獲得、渉外関連、または決裁フロー、発注体制の不備など、上流かつ構造的な課題を挙げる人が多く見られました。

基礎的なプロジェクトマネジメントスキルは実務経験の中で身につけていくため、年次が上がるほどプロジェクトに対する課題感が事業創出や経営課題と近づいていきます。言い換えれば、基礎的なプロジェクトマネジメントスキルを年次の早い段階で身につけることで、早い段階から視座の高いプロジェクト推進人材を育成できる可能性があります。


3-2. 「大いに課題がある」層 vs. 「あまり課題を感じない」層

「大いに課題がある」と回答した方のみに絞って集計すると、新規事業や共創プロジェクトなど、不確実性が高く“構造的にトラブルが起こりやすい”案件で苦労している様子が伺えます。

また「担務する役割」を全体の回答と比較して見ると、比較的オペレーティブな業務よりも、チーム内コミュニケーションや渉外的な動きを担うことが多いことから、人と人のコミュニケーションの中で課題を感じる場面が多く生まれていることが推測されます。

一方、「あまり課題を感じない」と回答した層は7年以上の実務経験で、経営者や事業責任者クラスが中心でした。課題そのものは認識しているが、想定内リスクとしてマネジメントし、深刻化させないだけのノウハウが確立されていると考えられます。

深刻な課題の多くが「人と人とのコミュニケーション」に帰結していることが、課題自体を一般化しにくく、単純なツールやノウハウでのソリューションで解決できない要因だと考えられます。ただし、他プロジェクト事例を共有し事前に理解しておくことで「想定内リスク」としてマネジメントが可能になり、課題の深刻度やストレスを軽減できる可能性があります。


3-3. 特に課題に感じるトピック

回答全体を通して、
「スコープのトラブル」(企画・計画が決まらない、変わる、後で変更になる)「忙しい」(人手不足、役割の偏り)が上位を占め、次いで「スケジュールのトラブル」を挙げる方が多くなっていました。
関わっているプロジェクトの業種別にもクロス集計を行いましたが、有意な差は見られませんでした。

スコープのトラブルについては内容が多岐にわたるため今後ブレイクダウンする必要がありますが、プロジェクトの計画・立案段階と、プロジェクトの進行・推進段階での認識のギャップに起因している可能性が高いと考えられます。
また、本アンケートの回答者1人あたりの担務する役割の件数は、平均して8.8個。多い人では選択肢すべてが自分の担務領域だと回答しました。プロジェクトを統合する役割ではあるものの、1人に対しての担務役割の多さが忙しさの原因となっている可能性が考えられます。

業種別のクロス集計で、課題に感じるトピックに差が見られなかったことが興味深いと感じました。これまで業種が違えばプロジェクトの課題も違うと思われてきましたが、業種を横断して共通の課題を検討できると考えられます。
*ただし、今回のアンケートはプロジェクト単位ではなく人ごとの認識調査であるため、複数回答としたことで結果が均された可能性があるため、次回以降業種別にしぼった調査も行う必要があります。


4. おわりに 〜今後の展望〜

本アンケートでは、さまざまな業種・役割・経験年数の方々から、プロジェクト推進・実行におけるリアルな課題が寄せられました。「忙しい(人手不足)」「スコープのトラブル」などは、いずれの層でも共通して多く挙げられる一方、経験年数や役割によって、感じる課題の質や深刻度に違いがあることもわかりました。

また、アンケートの最後に「今不足していると感じるもの」についてもうかがいました。

プロジェクトが完了してから振り返る機会がなかったり、事例を共有する機会が不足しているという声を多くいただきました。
また必要な予算、あるいは専門性の高いプロジェクトにおける相談相手やリソースの流動性も不足していると感じられています。

Good Project Associationではプロジェクトに関わる方のコミュニティとして過去事例の共有やプロジェクトの振り返りの場となることを目指してまいります。引き続き、みなさまのご支援・ご協力をよろしくお願いいたします。


最後までお読みいただきありがとうございました。

今回アンケート回答にご協力いただき、プロジェクトを推進・実行していく上での課題感やさまざまなエピソードを共有いただいた皆さまに、改めて感謝申し上げます。

私たちGood Project Associationは「プロジェクト」を、世の中に価値ある変化を生み出す集団的な創造行為と定義し、「現場知」としてのプロジェクト実装やプロジェクト推進の知見を共有・普及し、“よい(Good)プロジェクト”を増やす活動を行うために発足しました。

参加いただくコミュニティメンバーの皆さまと一緒に活動を広げていきます。興味を持っていただいた方は、ウェブサイトから是非ご連絡ください。


Appendix - 全設問の単純集計

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