『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』ネタバレあり感想
ざっくりまとめると贅沢で良質な公式二次創作でした。
二次創作=悪い意味ではなくて、
・鬼太郎誕生以前の話は原作では描かれていない
・水木しげる先生が故人なので原作として正解となる着想やヒントは得られない
・6期の過去という位置づけ
上記を踏まえると二次創作と呼ぶのがしっくり来ると思います。
作中以外の話でこれはどうなんだと思った点は、予告や宣伝では「初めて明かされる」や「誰も知らない」といった謳い文句を使っていて完全オリジナルであることがあまり強調されていなかったこと。長年続く鬼太郎シリーズは日本で生まれ育ったなら誰にでも薄っすら根付いているキャラクターだけれど、概念的なものに近く原作を読んでいたり各期の関連性まで網羅しているファンばかりではないはず。なので水木しげる先生の原作があるアニメだと誤解される可能性がある。リスペクトこそあれど誤解されるのは本意ではないのでは?と思うのでもったいない部分だと感じた。
もともと観に行く予定だったけど公開数日で予想外に話題になっていてい驚いた。実際公開4日目に映画館に行ってパンフレットが売り切れだったほどだ。再入荷が待ち遠しい。
感想ポストを参考に予習した『墓場鬼太郎』1話と6期1話は観ておいて正解でした。
【アニメ/墓場鬼太郎1話】
【アニメ/6期1話】
【漫画/鬼太郎の誕生】映画観たあとに読んだ
以下感想
因習村を舞台に顔が良い男たちのアクションもあるバディもの。オタクが好きな要素の役漫か?
先週ゴジラマイナスワンを観たばかりなので近い時代ですね。
現代から始まり鬼太郎に忠告されても突撃していく山田、命知らず。
廃村に崩れた無数の鳥居はもう怖いでしょ。帰ろうぜ。
水木、アクセントそこなんだ。(水木しげるの”水木”ではなく”水着”)
木内さんが出るから観に行くことを前々から決めてたくらい木内さんの声が好きです。忍足侑士から入ったので腹から出してる声聞けてよかった。関口巽も好きです。
現代では考えられない列車の中でタバコの煙がもくもく、子供が咳をしていてもお構いなし。その中でタバコを吸わない水木が印象的でした。父さん!かつての目玉おやじ!!声が良い!!!あの時点でゲゲ郎が水木に話しかけてきた理由が分からなかったんですが2回目観たらわかるのかな。
思い出してみるとなぜ沙代と時弥はあそこにいたんでしょうね。
サッとハンカチを取り出し肩と足を貸しながら鼻緒を直す水木のスマートさは惚れるしかない。
出た糸目の石田彰。一族っぽくない野蛮な男たちを連れているお前は何者だ。
一族大集合シーン、視線だけ動く不気味さが雰囲気ありまくりでした。よそ者の水木を訝しみ値踏みしてる感じ。座布団に座らず頭を下げ続ける水木はこうした立ちふるまいで社長に気に入られていったんだろうな。
いやどう見ても古館。
一族同士が明らかにギクシャクしてる!因習村だ!!
情緒不安定の跡取り怖いよ。すぐ死にそう。
ほら死んだ!そして下駄のカランコロンと共に犯人に仕立て上げられる父さん登場!!
明らか犯人じゃなさそうなのに一族は誰も止めなかったり、止めた水木を迷惑そうに見ていたり負の一体感がすごい。
最初から順番に思い出そうと思ったけどだんだん怪しくなってきたから以下キャラの話メイン
【水木】
野心家だけど情を捨てきれていなかったりお人好しな部分がありますよね。
沙代に対してもずっと子供扱いというか、沙代を救いたいと思っていたかもしれないけど恋慕的な意味では応えていなかったのが好感度爆上がり。
禁域でくぐった鳥居に「呪」って書いてあって早く引き返せ〜〜〜!の気持ちだった。
キービジュで持ってたわりにぜんぜん銃使わなかったね!?
【ゲゲ郎】
そういえば目玉おやじの本名って…?と思っていたらいい感じの呼び方がついた。ゲゲ郎。
妻のことを心底愛しているのが随所から伝わってくる。人間を憎んでいたけど妻と出会って見方が変わったならそれは愛だよ。愛する人に影響されて変わっていく男は癖に刺さる。嫁じゃなくて妻って呼んでるのもいいよね。
アクションかっこよかった〜!さすが鬼太郎のお父さんだけあって強い。裏鬼道相手のシーンが特に良かった。人間相手でも普通に物理で強いのが最高。
目玉おやじはお椀のお風呂に入ってる印象があるけど元からお風呂好きだったのかもね。泣き上戸もかわいいよ。
【水木とゲゲ郎】
最高な異種族バディだった。
嘘ついた水木をきっちり座敷牢に入れてやり返すゲゲ郎よかったな…。
最初はシカトしたタバコくれもあとから1本あげててさ、そのお返しかはわからないけどちゃんちゃんこ預けるしさ。
水木に酒持ってきたゲゲ郎やばない?成り行きで利害が一致した関係にめちゃくちゃ心開いてるじゃん。
「何があっても逃げるなよ」をちゃんと守る水木と捕らえられながらそれを信じてたゲゲ郎も尊いね。
予告にあった「鬼太郎の父たちの物語」って何も知らないでみると父(ゲゲ郎)+αにも捉えれるんだけど、鬼太郎の父親はゲゲ郎と水木の二人なんだと思うと胸にくるものがあるね……
【龍賀一族】
因習村の悪いところもりだくさん。間桐とか禪院に通じるものを感じるし沙代は実質間桐桜だった。
血が濃くなりそうな表現はほとんどセリフのみでかなりマイルドに描かれていた印象。
沙代と時弥もそれで産まれた子供という理解でいいんだよね?
乙米と幻治できてるよね???
狂骨の名前が出たときにあの穴は井戸の代わりかとセリフより一歩早く思い至ったのは狂骨の夢のおかげ。
終盤で水木が桜の木を切りつけてから一気に血まみれになるの、ここがあのキービジュかと膝を打った。それまで倒れても捕らえられても血まみれにはならなかったしね。あとから気付いたことですがあのキービジュは鬼太郎だけ血を浴びてなくて、両親に守られた存在だからかなぁと思ったりしました。
命からがら逃げ出した水木が白髪になって記憶を失っているのは孝三と同じ現象だと思うけど心まで奪われずに済んだのはちゃんちゃんこの効果だよね。
クライマックスまで耐えてたけど現代に戻って時弥のシーンで限界が来て泣いた。
墓場や原作の鬼太郎誕生シーンとは違う世界線になるのかと思ってたらエンディングが……!
クレジットを見る余裕もなく絵に釘付けになった。そうかそう繋がるのか。夫婦は水木を水木とわかって頼りにしたけど水木は記憶がないんだよ。あの奮闘を覚えているのはゲゲ郎だけなんてそんな悲しいことあるかよ。でも水木が墓場みたいに鬼太郎に酷いことしなくてよかった。このあと水木に記憶が戻るかはわからない(戻ってほしい)けど鬼太郎は大切に育てられて6期の人間を助けてくれる鬼太郎に繋がるんだなぁ。
これ書いている間ずっとそばに置いていた入場特典がまた泣ける。存在しない記憶だとしてもこれは救いだ。
ゲゲ郎だったのでもう1種類は水木なんだろうなぁ。