悪魔の双子“ダイタク”について

お笑いが好きだ。

その中でも一番に推している芸人が、一卵性の双子漫才師“ダイタク”。一部芸人やファンの間では「悪魔の双子」と呼ばれている。

今回はその悪魔の双子について少し。


※先に断っておきます、これから先に書かれていることは芸人さんが最も嫌うであろう「素人が芸人やその芸風についてアレコレ言う」やつです。何らかの理由でこのページに飛んできたダイタクさん始め芸人さん、ダイタクのファンの方及びお笑いファンの方へ、この場を借りて先に謝っておきます。好き勝手言ってごめんなさい。
この先の閲覧は自己責任でお願いします。先に謝ったので、文句言わないでください。


そもそも私がお笑いを好きになった決定的なきっかけは友人の家で見た「M-1グランプリ2018」。この年は初めて決勝進出した霜降り明星が最年少で優勝し、その後いわゆる「お笑い第七世代」と呼ばれる若手芸人がブームになった歴史に残る年だった。
それまではM-1をちゃんと見たことがなく、どういう大会かもわかっていなかった私は、「漫才ってこんなに面白いんだ」と思った。
これがM-1グランプリ2019の3回戦くらいの時期。

芸人に興味を持った私は某動画サイトでアメトーークの過去回を見漁っていた。
入り口となった霜降り明星に加え、最初期に好きになった芸人は和牛、ミキ、四千頭身などの今をときめく売れっ子達。
「あ、ミキ出てるじゃん。」と思って見始めたアメトーークの「兄弟芸人」。

これが私とダイタクの出会いである。

その時は双子の芸人がいるんだな、程度にしか思っていなかった。
M-1グランプリ2019も予選が進み、GYAOで3回戦の映像が一斉に公開された。
上記の和牛、ミキ、四千頭身に加えて各種バラエティ番組でよく見る宮下草薙、EXIT、かまいたち、今年の注目株として名がよく挙がっていたミルクボーイ、錦鯉、ラランド、それ以外にもたくさん見た。

「ダイタクってどんな漫才するんだろう」
そう思って見始めたダイタクの漫才。

ものすごく面白かった。
3回戦でのネタは「ドッペルゲンガー」

私に刺さりまくった。とにかく最高。

最近の若手芸人はコンビ仲がとても良く、ネタは話し合って2人で完成させる、などの特徴がある。酒を好む芸人はまだいるけれど程度は抑えめ、ギャンブルをする人も喫煙者も少ない。特定の彼女を作り、それを公言する人も少なくない。
芸歴15〜20年以降になるとコンビで同じ飲みの席に行くことなんて考えられない、ネタは1人が完成させるというコンビが殆どで、プライベートは酒、ギャンブル、タバコ、女というようなザ・芸人という生き方をしている。

芸歴12年目のダイタクはそのハイブリッドなのである。これが良い。

ネタは2人で書いている。酒の付き合いは2人セットでいることが殆ど。でも2人きりでサシ飲みはもう何年も行ってないと言う。
「最後の昭和芸人」と言われるほど、ギャンブルと酒に生きている。タバコもいくらでも吸う。

芸歴は12年だが、共有してきた時間は兄の大さんが産まれてから弟の拓さんが産まれるまでの5分間と、大さんが大学に進学し拓さんが山口県で働いていた4年間以外の30年以上ある。ずっと一緒にいて、同じ夢を持って一緒に仕事をしに上京する2人はとても仲の良い兄弟である。でも、上京して2人で同じ部屋に住んでいた頃は家を出る(正確には追い出される)までの半年程は口も聞かないほど仲が悪くなったらしい。それでも解散のkの字も頭になかったような、絶妙な距離感なのである。

この絶妙な距離感がとても良い。推せる。

絶妙なのはネタの内容にも言える。双子を題材にしたネタが多いが、所謂双子あるあるを言うようなネタはない。この角度がとても良い。誰も思いつかなさそうな角度から双子を利用してくる。上のドッペルゲンガーもそうだが、双子のドッペルゲンガーについて考察しているの、世界の中でこの2人だけだと思う。

私の特に好きなネタを貼る。
「復讐」

「浮気のアリバイ」

「ハラスメント」


絶妙な角度から突いてくるのはネタだけではない。YouTubeチャンネル「ダイタクTV」に上がっている企画動画も、究極の隙間産業である。ただ、究極過ぎて内輪にしかウケない。めちゃくちゃ面白いのにバズらない。そこでついた名前が「思い出作りチャンネル」。誰にも見つからなくて良い、自分達が楽しかった思い出を記録していこうというコンセプトにシフトチェンジした。このスタンスも好き。

ジワリプチバズり動画
「勝手に代行サービス EXITりんたろー。編」

「裏KOC キングオブコーナー決勝戦」

内輪の(あくまでも内輪)芸人に激バズりした名作中の名作
「半沢直樹適役オーディション」


そして何より、2人ともとにかく賢い。立ち回りが上手い。高校卒業後就職した精肉店で20歳そこそこで主任に上り詰め、赤字だった売り上げを一転黒字にした拓さんの話はあまりにも有名だが、大さんにも大学在学中にアルバイトしていた居酒屋で異例のスピードで出世した逸話がある。
家電量販店へ営業に行った際、店員さんの言うことを無視し自己流で販促、結果売り切れというほど、仕事をさせればピカイチなのである。

ノリで言った話が大きくなることもあった。YouTubeチャンネル「ダイタクTV」を開設した際、生放送を「ダイタクのニューラジオ」とふざけて言っていた。「ニューラジオ」と言うのはお笑い芸人ニューヨークが毎週日曜に配信している生放送のタイトルで、それをパクったのである。
そのおふざけがニューヨークチャンネルの作家陣の耳に入り、「せっかくならニューラジオをオールナイトニッポンのような帯番組にしよう」と言うところまで話が発展した。現状ではニューヨーク、ダイタクに加えジェラードン、オズワルド、バビロン、そいつどいつ等、芸人が続々とYouTubeチャンネルを開設したことにより一気に輪が広がった。

容姿は良いか悪いかで分けると良いに分類されると思う。顔も悪くないし、何よりスタイルが良い。身長178センチ、足がとんでもなく長い。2人ともバスケをやっていたから筋肉が程よくついて余計な脂肪も少ない(芸人になってから体重は増えたらしいが)。おかげさまでスーツがとてもよく映える。この2人がコント師でなく漫才師で良かった。
私は紺色のスーツが好きなので、早く宣材写真変わらないかなと思っている。吉本の偉い人、よろしくお願いします。


普段はスカしてるように見えて熱心に芸人の仕事に向き合っている。昨年のM-1グランプリでは準決勝敗退。決勝戦当日に行われる敗者復活戦は地上波で放送される。それまで敗者復活戦に関して特に触れてこなかったのに、テレビに映った2人は新調したスーツを着ていた。
基本は漫才師だが、キングオブコントにもなぜか毎年出場しているし、今年のM-1グランプリのエントリーナンバーは3桁。
おまえらそういうとこやぞ。


今年は芸人にとっても異例の1年で、劇場で満足にネタを試せないままM-1グランプリが始まってしまう。
霜降り明星もミルクボーイも、かまいたちも、過去ネタをブラッシュアップしたことで結果を残してきた。ダイタクも今あるネタが充分面白いから、更に面白いネタができればそれに越したことはないと思うけど過去ネタをブラッシュアップしても良いのではないか、と個人的に思う。
去年も準決勝の出場順さえどうにかなれば決勝進出は夢ではないと思っていた。今年はどうにかゴールデンタイムにテレビで双子の漫才が見たい。

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