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ディグ・モードvol.94「キジュン(KIJUN)」

キジュン(KIJUN)は、2018年にキム・ヒョヌ(Hyunwoo Kim)とシン・ミョンジュン(Myungjun Shin)が設立したソウル拠点のウィメンズウェア ブランド。韓国語で「スタンダード」を意味するキジュンは、過去のオブジェクトを再構築することで新たなスタンダードを提案し、人々が新しい美を奨励することを願っている。


新しいスタンダードを提案

2022年プレフォール コレクション(Courtesy of KIJUN)

キジュンは、韓国の建国大学でファッションデザインを専攻したヒョヌと、衣装デザインを専攻したミョンジュンが立ち上げたブランドだ。ヒョヌは学校を卒業後ファッション会社に勤めていたが、自分のデザインの世界を広げたいという理由で退職。その後、親交のあったミョンジュンとパートナーシップを結び、プロジェクトをスタートさせた。

デザインに興味があったヒョヌはその部分に重点を置き、ブランディングに興味があったミョンジュンはブランド企画でキジュンのフレームワークを確立した。韓国語で「スタンダード」を意味するキジュンは、過去のオブジェクトを再構築し、サブカルチャーや映画、アートのレトロな雰囲気を復活させることによって、新しいスタンダードを提案しようとしている。

彼らにとってスタンダードとは、異質な要素を組み合わせて新しい美の基準を提示することであり、さまざまな素材を組み合わせたり開発したりすることで、新鮮さとウィットを表現している。

デビューコレクションの着想源は映画

2018年秋冬コレクション(Courtesy of KIJUN)

キジュンのデビューコレクションである2018年秋冬シーズン『LE GRAND BLUE』は、映画『インディ・ジョーンズ(Indiana Jones)』の未公開シリーズで、ビデオゲームとして制作され大ヒットした『アトランティスの運命(Fate of Atlantis)』が着想源となった。

デザイナーは同コレクションについて、その作品が映画化された場合どんなキャラクターが登場するのかを想像するコレクションだと説明している。コレクションのデザインにあたり、映画『インディ・ジョーンズ』の舞台となったハワイを背景に、銃士兼サーファーのミューズを誕生させた。

たとえば、ジョーンズ博士の探検家風の衣装には、サーファーのポップなカラーのウェットスーツをミックス。さらに、シャチやマンボウなどの海洋生物、サーフボード、インディ・ジョーンズシリーズの金銀財宝など、衣服と調和する多彩な要素が追加された。

2018年秋冬コレクション(Courtesy of KIJUN)

2018年秋冬コレクションの準備で一番大変だったことは、何より時間が足りなかったことだとデザイナーは振り返っている。手作業が必要なデザインを他のタスクと並行して作業するのは簡単ではなかった。刺繍を活かしたパンツやニットスカートなど、一針ずつ縫う作業は時間がかかったが、周りの協力により、無事コレクションは完成した。

初シーズンでデザインする際にはたくさんの葛藤や不安があるものだが、「周囲の環境に揺さぶられるのではなく、自分の内面の葛藤や不安によって成長できると信じています。問題を避けずに正面から解決しようとすれば、必ず妥協点は見つかるはずです」とデザイナーは『MAPS Magazine』のインタビューで語っている。

新たな美を奨励することを願って

2023年春夏コレクション(Courtesy of KIJUN)

彼らが拠点を置くソウルは時間の経過とともに急速に変化しているが、ふたりは毎回新しい経験をしている。光化門を歩くと、高層ビルと古宮のコントラストが彼らに多くのインスピレーションを与えている。彼らはキジュンを通して、人々が伝統的な美よりも新たな美を奨励することを願っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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