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ディグ・モードvol.82「グムホ(GOOMHEO)」

グムホ(GOOMHEO)は、韓国出身デザイナーのグム・ホ(Goom Heo)が設立したブランド。2020年2月、ロンドン ファッション ウィークでファッション イーストの一環として、最初のコレクションを発表。自身のデザインを「フェミニンな要素が混ざった男らしさ」と表現するデザイナーは、作品を通してメンズウェアの新しいビジョンを示したいと考えている。


韓国の高校を中退し、CSMに進学

2022年春夏コレクション(Courtesy of GOOMHEO)

グム・ホが生まれ育った韓国の晋州は山に囲まれ、誰もが農業を営む小さな町だ。彼女の家族も同様で、父は農家、母はオンラインマーケットで野菜を販売している。彼女は小学校に入る前、少しおとなしいボーイッシュな少女で、スカートをはいたことも、髪を長くしたこともなかった。学生時代は西洋文化に夢中で、幼い頃からずっと通訳者になりたいと思っていた。

18歳のとき、グム・ホは交換留学生としてアメリカに1年間滞在し、故郷よりも小さなイリノイ州のスプリングフィールドに住んだ。ある日テレビを見ていると、世界で最も有名なファッション学校のドキュメンタリーが放送されており、それを見た彼女は、番組内で紹介されていたセントラル セント マーチンズ(Central Saint Martins以下、CSM)に進みたいと考えた。

韓国の学校教育を終えるためには一学期ほど戻らなければならなかったが、彼女はそうしなかった。高校を中退し、ファウンデーション コースのポートフォリオ作りをスタート。アメリカで1年間生活した後、韓国に戻ってきた翌年に、彼女はロンドンに移った。それは今までで最高の決断だったとデザイナーは振り返っている。

ウィメンズからメンズウェアに変更

2020年秋冬コレクション バックステージ(Photography Simone Steenberg)

CSMの学士課程(BA)に進学したグム・ホは、ファッション・プリント科に所属し、モリー ゴダード(MOLLY GODDARD)やケンゾー(KENZO)でインターンとして経験を培った。最終学年でウィメンズからメンズウェアのデザインに転向し、2017年の卒業コレクションでロレアル プロフェッショナル ヤング タレント アワードを受賞した。

BAの最終学年が始まったときは修士課程(MA)に進む予定はなかったが、最後のコレクションに取り組んでいる間、彼女はファッション コースを継続して、さらに勉強を進めたいと考えた。彼女にとってCSMのMAはデザイナーとして発展するための最適な学び場だったからだ。MAに進んだ彼女は、在学中にロサンゼルスのショップH. Lorenzoで卒業コレクションを商品化した。

2019年のMA卒業コレクションでロレアル プロフェッショナル クリエイティブ アワードを受賞。2020年2月、ロンドン ファッション ウィークでルル・ケネディ(Lulu Kennedy)が率いるインキュベーター、ファッション イースト(Fashion East)の一環として、最初のコレクションを発表した。

フェミニンな要素が混ざった男らしさ

2023年春夏コレクション(Courtesy of GOOMHEO)

グム・ホは自身のデザインについて、「フェミニンな要素が混ざった男らしさ」と表現し、メンズウェアの新しいビジョンを示したいと考えている。ブランドをユニセックスやウィメンズウェアではなく、メンズウェアに分類するのかと尋ねられることもあるが、デザイナーにとって重要なのは性別ではなく、自身の作品を着た人が自分らしくいられることだ。

「コレクションを通して私が作り出す感情やムードは、私の服を着ている人々と組み合わされて、コレクションに命を吹き込みます。それが可能なのは特定の性別である必要はありません。だからこそ、性別ではなく、人やそれを身に着けている人が重要なのです」と彼女は『The Fashiongraphy』のインタビューで語っている。

コレクションは最後に生き生きする

2022年春夏コレクション(Courtesy of GOOMHEO)

彼女はさまざまな方法でインスピレーションを得ているが、主にストリートや自分で撮影した場所、本で収集したイメージが多い。自身のリサーチやインスピレーションはかなり個人的なものであり、作品から見受けられることもあるが、常にではないとデザイナーは説明している。

コレクションを作り始めるとき、彼女はいつもその雰囲気について考えている。ひとたび撮影が始まるとスタイリング、靴、ヘアメイク、またはキャットウォークの音楽が合わさり、デザイナーにとってコレクションのストーリーテリングが非常にリアルになるのだ。

グム・ホ(Photography by Raphaelle Moore)

「衣服自体は、私が夢中になったことやリサーチ、インスピレーションを確実に反映することができますが、コレクションのムードやストーリーは最終的にすべてがまとめられたときに生き生きとします」とグム・ホは『Something Curated』で語っている。

この記事は、フリーランスで翻訳や海外アパレルブランドの日本向けPRをしている𝐡𝐢𝐫𝐨𝐤𝐨が、自身のファッション業界に対する見識を広める目的で書いたものです。

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