ディグ・モードvol.72「ジュンテ キム(JUNTAE KIM)」
ジュンテ キム(JUNTAE KIM)は、2022年に韓国人デザイナーのジュンテ・キム(Juntae Kim)が設立したジェンダーフルイドなブランド。彼は身体を拘束することではなく緩めることに真の美があると考えており、歴史的な女性の衣装を現代のメンズウェアとして再解釈したコレクションを制作している。
CSMとリーバイスのプロジェクトに選出
セントラル セント マーチンズ(Central Saint Martins、以下CSM)修士課程1年生のとき、ジュンテはリーバイス(LEVI’S)とCSMのパートナーシップによるプロジェクトに選出され、リーバイスの不良品や返品された衣類から限定コレクションをデザインした。
ロココやバロック時代の歴史的な衣装や芸術作品にインスピレーションを得た彼は、リーバイスのアイコニックな501ジーンズを活かし、伝統と機能性を両立させたコレクションを完成させた。「歴史的なフォルムとモダンなシルエットの完璧な組み合わせを作りたかったのです」とジュンテは『1GRANARY』で語っている。
ジュンテは、ハリー・スタイルズ(Harry Styles)のスタイリングを担当する有名スタイリスト、ハリー・ランバート(Harry Lambert)の注目を集めた。そして、彼の修士号コレクションのクリエイティブ ディレクションにランバートが深く関わったことを明かしている。
ランバートは、ランウェイ ショーのスタイリングやキャスティングを手伝い、ルックブック撮影のためにさまざまなチームをまとめた。ジュンテはランバートの作品が大好きで、彼のビジョンには自身といくつかの共通点があると感じ、初期の段階からランバートを念頭に置いていたと振り返っている。
身体を緩めることが真の美しさ
「Romance From Freedom」と題された修士号コレクションは、性別、階級、体格によって定義される美の基準を打ち破ることへの頌歌である。彼は16世紀に英国宮廷服として着用されていたジャーキン(上着)や、ドイツ南部バイエル地方の民族衣装であるレーダーホーゼン(革製の半ズボン)などの歴史的な衣服を革新的に再解釈し、着る人の快適さを優先して仕上げた。
コレクションのほとんどは、持続可能なメーカーのイスコ(ISKO)社がスポンサーとなっているリサイクル デニム、そしてオフカット レザーやスエードなど、持続可能な素材から作られた点も特徴である。デニムには有害な化学添加物を使用しないレーザーウォッシュと染色が施された。
身体を拘束することではなく、緩めることが真の美であると説明するデザイナーは、ブランドのビジョンについて「歴史的な女性の衣装と現代の男性服を組み合わせて、性別に流動的な新しい美学を導入することです」と英国版『VOGUE』で語っている。
ジェンダーフルイドの新ジャンルを生み出す
「Romantic Poetry: The New Preppy」と題された2023年秋冬コレクションは、1989年のアメリカ映画『いまを生きる(Dead Poets Society)』が着想源となった。デザイナーは「二元構造を解き明かす」という精神を通じて、ジェンダーフルイドを探求し続けている。
同コレクションは、1950年代の典型的なプレッピースタイルを鮮やかな色と素材で表現されたクラシックなウェアやスリーピース スーツで再解釈した。洗いざらしにカッティングがアクセントを加え、性別、階級、体格によって定義される美の基準を打ち破るコルセットによって、流動的なファッションの新しいジャンルを生み出している。
2022年にCSMを卒業したばかりのジュンテのコレクションは、デュア・リパ(Dua Lipa)が着用するなどファッション業界にブームを起こしている。彼は業界に参入しようとしているデザイナーにアドバイスを送っており、「出身地に関係なく、文化やコミュニティから好きなものをデザインに取り入れることを恐れないことが重要です」と英国版『VOGUE』で語っている。
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