多汗症
YouTubeでおすすめに出てきたこの動画を涙ぐみながら見た木曜日の夜。
実は私も手掌多汗症持ちです。
私の場合、手のひらだけでなく、足の裏と脇にも汗をかいてしまう。足の裏に関しては床に水溜りが出来るほど、手と脇に関しては滴るほどです。
さらに精神性発汗もひどくもはや全身から大量に汗が出る体質で、たとえば脱毛サロンに行ったときやマッサージを受けたときなど、「今汗をかいたらまずい」と思えば思うほど尋常じゃないほどの汗をかいてしまい、いつも作業を中断させてしまいます…。(そのせいでもう行かなくなりました)
私が特につらかったのは中学生の頃。
わたしに対して若干嫌がらせをしてきたり、あからさまにあなたのことが嫌いだという態度をとってくる同じ部活の友人がいました。
あるときみんなで手を繋いで円になりスクワットをするという日があって、そのときその友人と私は運悪く隣同士になってしまい、手汗がひどいことに対して信じられないほど嫌な顔をされたのをよく覚えています。
話がそれますが、みんなで輪になって楽しくお喋りしている中に私が入れないようにわざと隙間をなくし、あげく私に「ああ、いたんだ。びっくりした(笑)」みたいなことを言ってくるそんな友人でした。これを何度もされたし陰口なんてどれほど言われたかわからない。15年ほど経った今でも思い出すだけで心が痛くなる。
(とはいえ当時の私も色々と黒歴史だらけなので自分にも原因はありました。こういうのもいずれ書けたら。)
とにかくこの体質が泣くほどつらく、母にも相談して漢方薬を飲んだりしてみましたが効果は得られず。
変化があったのは高校生の時。同じ悩みを持つ友だちができたことで、私の気持ちは大きく変わりました。
その友だちは自分の体質を隠すどころかまわりに面白おかしく話し、「笑い話」にしていました。私は恥ずかしくて知られたくないと思っていたのに、こんな風に笑って話すことが出来るなんて と心底驚いた。
思い切って実は私もそうなんだと言ってみると、仲間だね!○○ちゃんとか○○ちゃんもそうなんだよ!となんだか嬉しそうにしていて。
この悩みを持つのが私だけじゃないことにも救われたけれど、そうか自分で笑い話にしてしまえばいいんだと気付かされた瞬間でした。
それ以降、手汗がひどいときに手が触れ合うような場面では隠さず言うようにして、するとみんな「いつものね(笑)」と笑ってくれるようになりました。でもそれは決して嫌な笑いではなかった。
大学に入ってからも、私はこの体質を「笑い話」にすることにしました。このときもやはりまわりに恵まれた。みんないじってくれました。本来であればいじられるのは好きではないのですが、笑
これに関しては本当にありがたかった。
そしてこの時期、生まれて初めて出来た彼氏にも手汗がひどくて手が繋げないと打ち明けました。
すると彼は「俺実はね…手汗かく子がタイプなの」と冗談混じりに言って無理やりにでも手を取って歩いてくれたのです。「いいの?気持ち悪くないの?」と聞いても、「全然」と当たり前のように答えて更にぎゅっと強く手を握りしめてくれた。ちなみに今の旦那さんです。あぁこの人を選んでよかったと心から思いました。感謝してもしきれません。
社会人になってからは、そういう気持ちの変化のおかげか悩む回数は減りました。けれどこれは当時の上司に体質のことを話す機会があり知ってもらったというのが大きかったかもしれない。上司は笑ったり引いたりすることなく真剣に考えてくれました。
職業柄、数百万するような高価な物を扱っていたために物を触るときも手汗には気をつけなければならなかったのですが、一度品物に影響を及ぼしてしまったことがあったのです。(このときも怒られることはなく体質なら仕方ないよと励ましてくれました…)
白手袋1枚では汗が染み込んでしまうから、蒸れてしまうかもしれないけれど次からは薄いゴム手袋をして二重にしてみたらどうかな、とわざわざゴム手袋を取り寄せてくれたり。
そんなこんなで、手掌多汗症に対して笑ってくれたり 平気だよと言葉で態度で示してくれたり 一緒に悩んでくれたり、そういう人たちとの関わりを経て、この体質はもしかすると知ってもらうことに意味があったのかもしれないと、すこしずつ分かり始めました。
私は中学生のときに嫌な顔をされた経験から、そういう反応をされるのが当然だと思い込んでしまっていたようで。でも私が思うより世の中の人々はあたたかくて優しくて、出会った人のほとんどが私の体質を受け入れてくれました。
人に知られたくなくて恥ずかしくて、必死で隠していたあの頃の私に、大丈夫だよと言ってあげられたらな なんて思います。
31になった今でも完治はしていませんが、手汗をかく頻度は明らかに減りました。きっと心が強く関わっているのでしょうね。治療にはまわりの理解と協力が一番有効なのではないかと思うのです。
これを読んでくれているあなたにも何かが伝われば幸いです。
長々と失礼しました。