82話の扉絵
今回の話はstand by meってナミさんっぽい曲だよね〜というだけの話です。
こちらの扉絵。
途中までは加入順に並んでいるのに、
何故サンジがナミのすぐ下にいるのだろうか?
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有識者によれば、尾田さんは1970年代〜80年代の作品をオマージュする傾向にあるらしい。
私が注目したのは、繰り返し書かれている「standby」。
こちらの扉絵の元ネタは、
Ben E.Kingの楽曲「stand by me」
および、1986年に公開された同名の映画「STAND BY ME」ではないかと思われる。
曲自体は60年代のものだが、映画の主題歌に使われたことでリバイバルヒットした。
80年代ということで時期もちょうど当てはまるし、有名な映画なので尾田さんもご存じの筈だ。
Ben E. Kingの「stand by me 」
このフレーズには、「そばにいて」こんな意味が込められている。
stand by meには、
物理的に「隣にいる」という意味のほか、「(私が危ういときに)支えてね」といった精神的なニュアンスが強く含まれている。
まさにアーロンパーク編のナミから4人の仲間たちへ向けたメッセージとして最適だろう。
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寂しいときも不安なときも、君がそばにいてくれるなら大丈夫。
僕は怖くもないし、泣いたりすることもないんだ。
君は僕にとって大切な人。だからそばにいて。
要約すると、Ben E.Kingの「Stand By Me」はこんな感じのことを歌っている。
この「そばにいて」は、4人の仲間のほか、幼いナミやノジコからベルメールに向けられた気持ちにも当てはまる。
そして、この曲は最後に少し違う展開をする。
大切な君に何かあったときも、僕のそばにいれば良い。だから立ってそばにいて、僕の隣に。
stand by meには、「僕を1人にしないでほしい」と、「君が1人にならないでほしい」の2つの意味が重ねられている。
エニエスロビーでもアラバスタでも、空島でエースの死を知った時も、最新話でビビの心と居場所を心配するナミも、
アーロンパーク以降のナミは
「仲間がつらい時にそばにいて、寄り添ってあげたい」
物語を通してそんな姿が描かれて来たように思う。
前の記事でサンジとベルメールのリンクについて触れたが、死に際のベルメールにナミとノジコの言った言葉は「ずっと一緒にいてほしい」。
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1人でいなくなってしまったサンジに対しても、本当は「ずっと一緒にいてほしい」と思っていたのではないだろうか?
「stand by me」は、映画の主題歌としては友情の曲になるのだが、もとは恋人に向けて歌った曲だ。
82話の扉絵。
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何故かサンジがナミのすぐ下に(=隣り合って)描かれている。
つまり、すぐそばにいる。
すぐそばにいる=stand by you
このときのby は「すぐ隣」にいるイメージ。
「出番があれば」「必要ならば」すぐに手を差し伸べられる距離にいて君を支えるよ。そんなニュアンスがある。
それを表すかのように、サンジは本編でもいつもナミのそばにいた。
思い出して欲しい。
アーロンとの一件が終わった後、
ドラム王国でも空島でもTBでも、魚人島でもPHでもゾウでもずっと、
サンジだけは文字通りstandbyして来たのである。
standby=〜のそばにいる、待機する、〜を支持する、〜を守る
ナミのstand by me「そばにいて」に、
サンジのアンサーがstand by you「そばにいるよ」ならば、すごくしっくり来るなと思った話。