
短編集「アー・ウィー・ハッピー」📚
どんなに毎日頑張っていてもどうしてか上手くいかない。そんな自分の姿が、文章の中でならむしろ良いとさえ思えた。
私たち、楽しくやってるよね?
著 ダージリン (October) 不定期更新
「2月14日」
今年のバレンタインは会社の人にささやかながらチョコレートを渡そうと決めていた。
店頭にコーナーが出来始めたらすぐに、めぼしいものを買っておく。早すぎる気もしたけれど、これはすごく正解だった。言ってもこうした季節のイベントごとの前日、当日は大体仕事をしているので、特別なことをする余裕は無い。まずは無難なところから、個包装の袋に可愛らしい猫のイラストと何パターンかのひとことが添えられたチョコを選ぶ。27個も入っていてありがたい。日はあっという間に過ぎ、バレンタインまで数日。予定のないオフに、もう少し特別感が出るものを求めてKALDIへ足を運んでみた。入口で受け取ったコーヒーを味わいながら(貰う度に美味しくて買って帰ろうと思うのに忘れずに買えたためしがないんだから。)意外に直前までしっかり陳列されているんだなーと海外の様々なお菓子につい目移りする。うちのチームは皆 比較的甘党で、もはやどれでも喜んでもらえそうな安定の品揃え。枚数や先に買ったチョコとの組み合わせを考慮しながら、とっても満足するものが買えた。もちろん自分へのお土産(予定外)も忘れず。
買い物疲れで眠い目をこすりながら、先に買った27枚入のチョコレートや個包装のクランチなどを並べる。頭では夕飯の支度の時間を逆算している。眠気は限界だが全員分簡単なラッピングをし、手提げ袋に詰めた。これで忘れない。我ながら手際が良い。
🛌
さて今、机の上に未開封のお菓子が並んでいる。たった今KALDIの紙袋から取り出したから。
あげるつもりで買ったチョコレート、珈琲、その他少々。信じられないわねーどうしてこうなのか。一瞬、入れ直すことも考えたが普通に面倒くさい。皆 喜ぶかなーとうきうきしていた気持ちは仮眠後の寝起き頭でもしっかり思い出すのだが、それとこれとは全然別だった。
入れ直すのは面倒くさかった。
大丈夫。たぶん今タロットカードを引いたら、
自分を喜ばせましょうみたいなメッセージが出ると思うし。人を想って選んだものだから私のことも幸せにするはず。一度も食べたことがないデンマークのお菓子 急に味が気になってきた。寝足りないのか、現実の続きを始める合図か今日一番の大きなあくびをして、長方形の紙箱に手を伸ばす。
アー・ウィー・ハッピー