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5月12日 Schaubühne 観劇: Bucket List

Theatertreffen (ドイツ、スイス、オーストリアの今年選ばれた10作品)2024 の一作品、演出家Yael Ronen & 作詞家Shlomi Shabanによる”Bucket List”を観劇した。

詳細はリンクから。

一人で観劇するつもりだったが、友達と一緒に足を運んだ。

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昨年10月7日にこの地球上で起こったこと。
私は安全な場所で、ただそこで何が起こったか、起きているのか、情報を得ること、「なぜ」を理解しようとすることしかできなかった。

悲惨な現実から目を背けたくなった私は、私の周りの人たちは今日も悲惨な目に遭うことなく、無事生きている。反射的にその事実の有り難みを噛み締めていた。

「目には目を、歯には歯を、(またはそれ以上を)」それが見事に具現化されている世界… 

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この「Bucket List」は3人のミュージシャンによるライヴミュージックと共に進行されるミュージカル形式。
あらすじを簡潔に:
戦争経験からPTSDを患った男が「Zeitgeist」という新興企業の”治療”によって、トラウマとなった記憶を改変したり削除したりすることに同意。しかしその後、奇妙な幻の記憶に悩まされることになる…
「ごく近い将来、記憶は選択肢のひとつになる」これが「Zeitgeist」の売り文句である。

劇場の垂木から落ち続ける白い衣服の切れ端はこの作品の中心的なモチーフとして存在し、観客に様々な意味を与えている。


なんでほぼ英語なんだ?たまに出てくるドイツ語はなんの意味が?
この作品をミュージカル調にしたのはなぜ?

その疑問に対する理由を、私はとても皮肉的に捉えた。

こんな悲しい物語をなぜキャッチーなポップミュージックや肩の力の抜けるジャズに乗せて演出するのか。

だが、今世界で起きていることはまさにそんなことではないか?
矛盾だらけ、知らんぷり、責任放棄、資本主義大国がもたらした、最早先の見えない結末…


映像の効果は私は正直、今一つかな…という印象を抱いた。
なんというか、このテーマを扱うにあたって「美しさ」に焦点を当てる割合が相対的にほんの少し多かったというか… 「それっぽい」哀愁感と抽象化された残酷さを「美」に変換する必要性とは?

私はまだ勉強不足で、何が良いとされるのか、悪いとされるのか、理解する必要があるのか、実際のところ分からない。
今はとにかく、思ったこと感じたことを書くだけ。そうしているうちに何か開けてくることを願って…


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一緒に観劇した友達は、
「私は全く好きではなかった。だけど、それも決してマイナスではなく、演劇を鑑賞する醍醐味。来て良かった。」

という感想。彼女の故郷リトアニアにはたくさんの劇場があって、老若男女問わず観劇する人が多いという。かつての東ドイツと共通する背景かもしれない。


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