心の奥にしまい込んだ宝物。
久しぶりに感情が大きく動いたから、色褪せないように書き留めておこうと思う。
約2年前。
私は、尊敬する人との仕事を自ら手放した。
K先生と働きたいと願って、せっかく叶ったのに。
関係が近くなればなるほど、すれ違って、ぶつかって、何もかもうまくいかなくて。
苦しくてたまらなかった。
自分の考えや気持ちを伝えることを諦めて、口論の勢いのままにK先生の元を去った。
当時の私は、余計な負い目や意地を手放すことができなくて、逃げることしかできなかった。
でも、そのことがずっと心の片隅に引っ掛かっていて。
K先生のお店は、ずっと通い続けたいくらい素敵なお店だから、いつか・・・いつかきっと、お客さんとして行って謝ろう・・・と思っていた。
私の気持ちも含めて、すべてのタイミングが合って、義務感じゃなく素直な気持ちで会いに行ける日がきっと来る。
漠然と、そんなことを思い続けて2年。
やっと、その日が来た。
2年ぶりに訪れる店内は、懐かしい香りがして、変わらずにその人が迎えてくれた。
少しのぎこちなさと、気恥ずかしさと。
それでも、以前と変わらず、K先生が作り出す空間はとても心地良くて。
ただただ・・・心から、やっぱりこの人に出逢えて良かったと思えた。
K先生には師匠がいて、私が褒めるといつも「師匠がすごいんですよ」なんて言っていたけれど、師匠の技術を使うのがK先生だから、私は惹かれるんだと思う。
実は、K先生の元を去った時、長文のLINEをもらっていたんだけれど、当時は内容を受け止めるのが怖くて、流し読みしたまま非表示にしていた。
そのままずっと、今まで読み返すこともできなかった。
今思えば、出逢えて良かったと心から思えるほど大切な人だったのに、大切にできなかった自分の情けなさを認めたくなかったんだと思う。
でも、2年ぶりにお店に行った日の夜、読み返したくなって、ドキドキしながらLINEを開いた。
厳しい言葉も並んでいたけれど、そのLINEは、間違いなく優しさに溢れていて。
「また一緒に働ける機会があれば、考えてもらえたら嬉しいです」
そんな一言と、感謝の言葉がたくさん綴ってあって。
涙が溢れて溢れて、止まらなかった。
2年前、間違いなく、私は全力を尽くした。
当時の私は、それ以上のことはできなかった。
どうしようもなかった・・・頭ではわかってる。
でも、どうして、私はこんなにも未熟で無力なのか・・・。
何があっても、自分からは離れない。
そう決めたはずなのに。
私は、K先生を裏切った。
後悔、とも少し違う。
行き場のない申し訳なさと、やっぱりこの人で間違いなかったという、嬉しさのような温かい気持ち。
とにかく、胸が締め付けられた。
当時に戻りたいわけじゃない。
でも、もしまたご縁があるなら・・・と、またK先生の元で働ける日のことを自分勝手にほんの少しだけ想像した。
・・・今さらだ。
わかっている。
でも、一緒に働くという形じゃなくても、K先生の人生と私の人生がどこかで重なったら嬉しいなと思う。
いや、お互いの人生が重ならなかったとしても、K先生に恥ずかしくない自分でいよう。
間違いなく、K先生と過ごした時間とあの時の感情は私の宝物だ。
この気持ちを味わい尽くせて良かった。