上振れ と 下振れ
「上振れ」と「下振れ」。これらの言葉は僕がよく遊んだり動画を見たりする『Shadowverse』を初めとするカードゲーム界隈でよく用いられる言葉の一つです。
カードゲームは一般的にカードを複数枚組み合わせた、デッキというカードのセットを扱ってプレイヤー同士で対戦します。一重にカードゲームといっても様々ありますが、基本的にはデッキを駆使して対戦相手のライフを削ったり、攻撃したり、一定の条件を満たせば勝利となります。さらに、カードゲームには何千種類ものカードが存在しており、それぞれ効果が違ったり、パワーが違ったりイラストが違ったりするのです。その中からプレイヤーは好きなカードを選んでデッキを組むのです。デッキ、それはカード達の集約。すなわち、ある種のコミュニティなのです。
そこで登場するのが「上振れ」と「下振れ」。デッキを使って対戦をしていると
・ほしいカードが引けない!
・今ここであのカードを使えば逆転できる!
・今回は相手に何もさせずに勝つことができた!
・ぎりぎりの勝負だったけど惜しくも負けてしまった…。
など、こういったシーンを体験したり目撃することが多かれ少なかれあります。デッキそのもののパワーが高いとか低いとかもありますけど、いったんそこは置いておきましょう。さて、これらが起こる要因として何が考えられるでしょうか。
大きく分けて二つの要因があると考えています。それが「運」と「実力」です。「上振れと下振れちゃうんかーい」そう思った方もいらっしゃるかもしれません。ご安心ください。これから説明します。
『勝負は時の運』という言葉もあれば『運も実力のうち』という言葉もあります。これらは賭け事や部活動の試合や大会、まあ勝負事になら基本的に当てはまるでしょう。勿論、カードゲームも例外ではありません。デッキの使い方が上手い人が弱いデッキを使って勝つこともあるし、下手な人が強いデッキを使って勝つこともあります。
「その通り!運と実力が勝負を左右するんですねぇ!(cv:池上彰)」
格ゲーや将棋といったゲームと違って、誰にでも勝利や敗北の可能性がある点がカードゲームの醍醐味とも言えるでしょう。
前置きが長くて面倒くさくなってきたので上振れと下振れについて解説します。
「上振れ」は自分のデッキが理想的な動きをすることができて、対戦相手がどんな動きをしてきても勝ててしまうような状況を指します。
「下振れ」はその逆です。自分のしたい動きがずっとできなくて、そのままゲームに敗北したり絶望的な状況に追い込まれることです。
まあ要するにデッキの振れ幅、とでも言っておきましょうかね。要するに、先ほど挙げた「運」です。引きたいカードを既に引いていたり引けなかったり、山札から持ってこれたり持ってこれなかったり、運ですよ運。ちなみに上振れ同士が対戦するとプレイヤーの実力が試されます。それもまたカードゲームの醍醐味ですよね。
涼しい風が曇天を駆け抜けていた。つい先月まで怒りを覚えるほど感じていた暑さは今は見る影もない。
まだタオルケット1枚で寝ている私にこの気温は少々荷が重かったのかもしれない。あまりの寒さにすっかり目が覚めてしまった。時刻はまだ8時。折角の休日を無駄にはしまいと、モーニングでもキメることにした。
「早起きは三文の得」とはよくいったものだ。
「お腹がすいたンゴねぇ」
まるでTwitterに投稿しているかのように1人で呟き、大学卒業前に買ったユニクロの長袖Tシャツを持って駅前の喫茶店に向かった。マンションのエレベータを下り、さあ最高の休日を始めようじゃないか。
いや、マンションの外に出られない。小降りの雨が風と共に去りぬと言わんばかりに辺りを駆け回っている。窓から見た景色は灰色だったのに、寒さのことだけを考えて傘すら持っていなかった。全く、困ったもんだ。折角のスタートダッシュだったのに。
自分の阿呆さ加減に半ば笑いながら、考えた。
あぁ、この天気は「下振れ」を引いているなと。