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シャルトリューズな冒険物語

遥か昔、フランスの山奥に一人の冒険家が住んでいた。名前はルイ。
彼は薬草や植物を探して世界中を旅する、不思議な男だった。
山の風や森の音に耳を傾けながら、大地に隠された秘密を探し求めていた。

彼はいつも言っていた、
「まだ見たことがない世界を見たいんだ。」

ある日、旅の途中で古びた修道院を見つける。
静かに佇むその建物は、どこか特別な雰囲気を放っていた。
扉を叩くと修道士が現れ、「ここはシャルトリューズ修道院。何の用かね?」と尋ねる。

ルイがこの村にしかない植物を探していると話すと、修道士たちは彼を中に招き入れた。そして、一つの秘密を教えてくれた。

「これは1605年に発見された、130種類の植物を使った秘伝のレシピ。だが、それを完成させるには世界中を旅し、すべての植物を自分で探し集めなければならない。」

修道士たちは続けた。「この試練に挑むのは簡単なことではない。それでもやるか?」

ルイは即答した。
「その旅がどんなに長くても、私は挑戦します。」

こうして彼の長い旅が始まった。
地中海では柑橘を摘み、アフリカの砂漠でサフランを見つけ、ヨーロッパの森でタイムを探し出した。

嵐に遭い、飢えや寒さに苦しむ日もあったが、ルイは決して諦めなかった。

「この旅の果てに、お前だけの答えが見つかるだろう。」その言葉だけを心の支えに、彼は前へ進んだ。

数年後、ついに彼は130種類の植物を集め終え、再び修道院の扉を叩いた。
修道士たちは驚き、彼の努力を讃えた。

「よくぞここまで来た。では最後に、このレシピをお前の手で完成させよ。」

ルイは修道士たちの指導を受けながら、銅の鍋で植物を蒸留し、香りを調整した。オーク樽で熟成させている間、彼はこれまでの旅を振り返った。

困難な日々もあったが、その分だけ美しい出会いと発見があったことを思い出す。

ついに完成した液体は、深い緑色をしていた。
それを一口飲んだとき、彼は思わず涙を流した。
甘さ、苦さ、そしてどこか懐かしい香りが彼の旅路をすべて語っているようだった。

ルイは言った。
「人生もこのシャルトリューズと同じだ。苦しい時間も、楽しい時間も、すべてが混ざり合って、本当の美しさが生まれるのだ。」

そのリキュールは「シャルトリューズ」と呼ばれ、世界中の人々に愛されるようになった。

ー追記ー
シャルトリューズは、フランスのアルプス山中のグランド・シャルトルーズ修道院で製造されている薬草系リキュール。130種類のハーブやスパイスを配合しており、熟成させることで味わいが増すのが特徴。

今日、近所のバーで草間彌生みたいなおばさまが飲んでいた不思議なお酒。真似して頼んだらどこからか舞い降りた物語。


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