在野のクイズ好きの自分語り
この記事は「ゆる民俗学・音楽学ラジオ 非公式Advent Calendar 2024」の21日目の記事です。
昨日の記事は保衣すやさんの『おしゃべりが異常に上手な2人組【ゆる民音非公式アドカレ2024】』、明日の記事はあずきの山さんの「Nothing much happens in...」です。
クイズへの興味
近年「競技クイズ」という概念が人口に膾炙している。
一説では、クイズ王として名高い古川洋平さんがこの言葉を広めたとされ、最近ではテレビで放送されるクイズ番組や、クイズを生業とするYouTuberの活躍も影響して、クイズ界隈を飛び出してお茶の間にも知られるようになった。いまや「競技クイズ」という言葉に馴染みのある人も少なくないだろう。
この記事の筆者であるがーさんは、幼い頃から『ヘキサゴン』や『IQサプリ』といったクイズ番組を家族と一緒に食い入るように見ていた記憶がある。そうした幼少期の影響もあってか、現在でも『ミラクルナイン』や『ネプリーグ』といったエンタメ性の高いクイズ番組に親しみを持ち、視聴する機会が多い。
近年では、エンタメ性を重視した番組に加え、『Qさま!!』『東大王』『タイムショック』といった本格派のクイズ番組も台頭し、その存在感を強めている。特に『東大王』は惜しまれつつ終了したものの、知識の深さや反射神経が試される内容は視聴者に強烈なインパクトを与えた。「誰もわからない超難問」や「矢継ぎ早に出題される問題」を次々と解いていくクイズプレイヤーや芸能人の姿は、多くの視聴者にとって新鮮な驚きだったに違いない。
また、最近では視聴者が直接参加できる形のクイズイベントや、オンラインで楽しめるクイズの機会も増え、クイズの楽しみ方はますます多様化している。例えば、スマートフォンアプリを使ったリアルタイム対戦型クイズや、ZoomやDiscordを活用したオンラインクイズ大会など、場所や時間にとらわれずクイズを楽しめる機会が広がっている。
こうした番組を通じて、「競技クイズ」は単なる知識の披露にとどまらず、知恵や瞬発力、さらにはプレイヤー同士の駆け引きが求められる奥深いエンターテインメントであることが、多くの人に知られるようになった。
そして、クイズを通じて新たなコミュニケーションの場が生まれ、多くの人々を結びつけるツールとしても機能していることが、今の時代の特徴と言えるだろう。
クイズプレイヤーがーさんの矜持
テレビでクイズ番組を見て楽しむだけでは飽き足らなくなった私は、オンライン対戦型の早押しクイズアプリ「みんなで早押しクイズ(みんはや)」に手を出した。その名の通り、全国のプレイヤーとオンラインで早押しクイズを楽しめるこのアプリでは、顔の見えない相手との対戦や、自分で作成した問題を出題するなど、多彩な遊び方が用意されている。その奥深い魅力にすっかりハマった私は、日々自分なりの楽しみ方に興じていた。
しかし、「みんはや」を極める道は決して平坦ではない。ランダムマッチでのランクが上がるにつれて次第に勝てなくなってくるのが「みんはや」の世界だ。ランクが上がるにつれ対戦相手はますます手強くなり、特にSランクに到達すると圧倒的な強者たちが待ち構えている。上位帯には問題文を丸暗記しているプレイヤーもいるという話もあり、そうした中で「クイズとは何か?」を考えさせられることもしばしばあった。
私自身、早押しクイズの醍醐味は「知識・体験 × 技術」の掛け算にあるという持論がある。自分の知識や経験を総動員して問題文の続きを推測し、絶妙なタイミングで早押しボタンを押す、そして早押しに押し勝ち正解する、その瞬間がたまらないのだ。だからこそ、問題文を丸暗記するアプローチにはどこか違和感を覚える。もちろんそれを否定するつもりはないが、自分自身がその境地に達するくらいなら、「みんはや」を引退しても良い。
一方で、問題文を記憶することが「みんはやの知識であり体験だ」と言われてしまったらぐうの音も出ない。とはいえ、私はこれからも自分のやり方で「クイズ」を楽しんでいきたいと思う。
クイズ界隈の民俗学(?)
「みんはや」だけでは満足できなかった私は、新たなクイズ環境を求めていた。幸運にも、「ゆる言語学ラジオ」をはじめとする「ゆる学徒界隈」にクイズ好きのファンが多かったこともあり、その縁でクイズサークル「QuLiSe (クリシェ)」が立ち上がった。このサークルでは、オンラインで自由に早押しを楽しむ「フリバ」が日常的に開催され、個性豊かなメンバーたちがそれぞれのやり方でクイズを楽しんでいる。
今年(2024年)の春頃に立ち上がったQuLiSeには、実に多彩なバックグラウンドを持つメンバーが集結している。クイ研出身者やクイズ大会の運営経験者、某カフェの店員、某バーの店長、衒学杯出演者、高校生クイズ出演経験者、現役高校生、普段着和服マン——もともとゆる学徒界隈には多種多様な人が所属していることもあり、さながら「知の百花繚乱」とでも言うべき趣だ。
当然ながら育ってきた環境が違うので、特撮ならこの人、生き物ならこの人、ディズニーならこの人、のように、専売特許よろしく「得意ジャンル」を持っている人も多い。企画や問題セットによっては「なぜそんな知識があるの…?」とか「全然この人に敵わねぇ!!!」と驚愕することもしばしば。時折、圧倒的な強さを見せる“無双プレイヤー”が登場するのも、クイズの醍醐味の一つだ。こうしたメンバー間の多様性が、クイズをより奥深く、刺激的なものにしている。
この「どうにも敵わない人がいる現象」に名前つけたい。「育ってきた環境が違うから好き嫌いは否めない」から「セロリ現象」とかどう?
違う環境で育まれた知識や経験が交錯し、時に想像もつかない「味わい」を生む。クイズという文化の多層性を象徴する、ちょっとした民俗学的ネーミングなのかもしれない。
自信を持って言える得意ジャンルが欲しい
突然だが、みなさんは「ダニング=クルーガー効果」をご存知だろうか。少しの経験を積んだだけで、自分は優秀だと感じてしまう現象のことを指す。俗に「専門家はなかなか断言しないが、半可通は普通に断言する」という減少もこれで説明がつく。
ディズニー、クイズ、特撮、フラダンス、ねこ、デザインなどが好きな私は多趣味を自称している 。しかし、すべてにおいて広く浅くのため、どれも深く掘り下げて語れるほどの専門知識を持っているわけではない。
このダニング=クルーガー曲線に照らし合わせると、上記の趣味の習熟度は、ちょうど「絶望の谷」を少し超えて「啓蒙の坂」に差し掛かるあたりに感じられる。完全に主観で独断の偏見。韻踏めてるね。
趣味の内容に関わらず、QuLiSeには自分よりも圧倒的に知識が豊富な人たちが多く、私にはまだ伸び代があることを教えてくれる。彼らがどうやってクイズを勉強しているのか、非常に気になるところだ。
きっと、問題集を何周も回すだけの勉強法にはとどまらず、さまざまな体験を通じて自分の知識を深めているのだろう。そんな姿勢こそが、クイズだけでなく、人生そのものを豊かにする秘訣だと感じている。物は試し。百聞は一見に如かず。進取果敢。これに尽きる。
さらに、ゆる民俗学ラジオ&ゆる音楽学ラジオサポーターコミュニティに参加している私としては、そこで出会う壁(同ラジオのファン)もまた多彩すぎてハゲる。みんなが持つ知識は、ただの“知識”にとどまらず、まるでその分野の「魂」を感じさせるような深みがある。
そして、それが自然と会話の中で溢れ出してくるから、まさに「知の洪水」状態である。時々、自分の浅学が恥ずかしくなる瞬間もあるが、それでもサポーター同士での学びの場がとても楽しく、刺激的だ。そんな中でも、サポコミュは決して堅苦しくなく、どこか優しい雰囲気が漂っている。みんなで知識を交換し合い少しずつ自分の視野を広げていく、この温かさこそが、私がこのコミュニティに深く惹かれる理由の一つだ。サポコミュはコワクナイヨ!
そして、QuizKnockのフォロワークラブ「schole」では、いつもよりシンプルな実力勝負のクイズバトル「TOMOE」という動画コンテンツが配信されている。このTOMOEでは、動画の最初に登場メンバーが得意ジャンルを宣言しているのだが、特に伊沢さんは毎回「すべて」を得意ジャンルと仰っている。さすがクイズ大王。私もいつか「得意ジャンルはすべて」と胸を張って言えるようになりたい。
まとめ
ここまでクイズ経歴や得意ジャンルなどよくわからない話をしてきたが、結局私が言いたいことは単純に「クイズ」は楽しいということである。
クイズを通じて知識を広げるだけでなく、新たなコミュニティに出会い、さまざまな知識を共有する楽しさが、私がクイズに惹かれる最大の理由の一つだ。クイズは単なるゲームではなく、人と人を繋げ、学び合い、成長し合う素晴らしいツールであることを実感している。そしてどのような形であれ、クイズは大きな私の趣味として私の中で輝き続けるだろう。
文中に登場したQuLiSeに興味をお持ちの方がもしいらっしゃったら、ゆる言語学ラジオをはじめとしたサポーターコミュニティに参加するか、ゆる学徒カフェで開催されるクイズイベント「衒学杯」や「用例杯」(ゆる学徒カフェのイベント一覧&チケット購入はこちら)を観戦・参加していただきたい。これらのイベントはクイズ愛好家との貴重な交流の場であり、参加することで新たな視点や発見が得られるはずだ。もしイベントで私たちQuLiSeのメンバーに出会うことがあれば気軽に声をかけていただけたら嬉しい。
私たちQuLiSeは新メンバーをいつでも歓迎しています!
あとがき
先日「ゆる民俗学ラジオ&ゆる音楽学ラジオサポーターコミュニティ」で開催された公式オフ会にてクイズ企画が行われ、その中で「ゆる音民ラジオカルトクイズ」(※カルトクイズ:狭いジャンルに関するマニアックな内容を問うクイズ)が出題された。正確には出題されたというよりその問題の一部を作問させていただいた。
私は、12日目の灯篭の斧さんの記事にて言及されている音民鯖内ミーム「さすよね」と「とびうさとびうさぁ~!」が答えになるクイズも作問した。その問題が実際に出題された瞬間、会場が一気に盛り上がり、その場の熱気を肌で感じることができた。その瞬間、この問題作ってよかったなぁという喜びが込み上げてきた。この気持ちはクイズプレイヤーにとってはよく分かってもらえるだろう。作問した問題が良い評価を受けると何とも言えない嬉しさが湧き上がる。自分の作った問題が参加者にとって楽しさや驚きを提供できたときの喜びは、格別なものだ。
ミームになったご本人に無許可でイジるような問題を作ってしまったことはとても申し訳なく思っているのでここで謝罪いたします。すみませんでした!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!