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レズビアン目線で観た『リュズ夢』感想

彼女とのデートがてら行ってみよう、と予習も何もせずによく分からないまま2連番でチケットを取ってみたのが一番最初のリュズ夢観劇。
 
サンゴのお姫様・ミナ役の二ノ宮ゆいさん目当てで行ったその公演では主人公のトノキヨは男性でした。(さひがしさん演じるトノキヨは男性、わかばやしさん演じるトノキヨは女性)


本当に何の予習もせず観劇に臨んだのでダブルキャストの演者さんによって登場人物の性別まで変わってしまうだなんてことは知らず、「私も死後の世界で彼女と一緒に居られるならわざわざ生まれ変わろうとは思わないだろうなぁ」とか思いながら観劇しました。


多分ですが私は一般的な人よりも死について意識する頻度が高く、何をしていても頭の片隅でわりと常に「いつかは死ぬという事実」がチラついてしまう性分なのでこの舞台は物凄く刺さりました。

想像以上に好みの舞台だったのでもう一度観劇しようとまたチケットを取りましたが、その公演もまた主人公が男性の回でした。
その翌日に配信が販売されたので両バージョンとも比較してみようと思いどちらも購入しました。

「そういえば観たことがない方の主人公の演者さんは女性だよなぁ。男装して演じるってこと?」とか考えながらわかばやしさんが主演の回を再生してみると、主人公という人物の性別自体が女性に変更されていてびっくり。

ミナちゃん (サンゴの姫) から主人公への恋心は物語の根幹をなす重要なものだったけど、そのまま同性愛者として描くのか、それとも友愛等に変更されてしまうのか。それとも恋する人物自体がミナじゃない他のだれか男性キャラクターに変更される?でもそれだと台詞の変化量が尋常じゃないよなぁ……と、なんだかハラハラしながら視聴しました。




「おとなになったら、結婚してね。」




私の心配とは裏腹に、

主人公の性別に関するワード(「おじいちゃん」→「おばあちゃん」など)以外の全ての表現が『男性主人公バージョンと全てそのまま同じ』でした。

これが本当に嬉しかった。




その様子を観ていた観客の中には
「女同士なのに結婚ってどういうこと?」
「そこそのままなんだw」
などと違和感を覚えた方もきっと居たと思います。

でもあの作品の世界にはそういう価値観の人間はひとりも居なくて。


「(男性に)告白しようって決めてたの」
「(女性に)告白しようって決めてたの」
          →「なんて(伝えるの)?」

「(男性を)愛したまま消えさせてください」
「(女性を)愛したまま消えさせてください」
      →「無理心中しようってのか!」

いちいち変えていたら演出上面倒だからそうなっただけという面ももちろん大いにあるとは思いますが それでも、「えっでもあいつ女じゃん!?」とか「まぁ今は多様性って言うしな!」とか「俺は偏見無いよ!良いと思う!」とかそういうリアクションも無く、トノキヨが異性でも同性でも返答が一切変わらないことが本当に心地よく感じました。


あの世界(あるいはあのキャラクター達の中)では同性同士が恋愛したり結婚したりすることは一般的で、何もおかしいことじゃないんだ。

今の日本ではまだ無理だろうけど、こんな世界になったらどれだけ生きやすいだろう。説明するのが面倒で「友人とルームシェア」と小さな嘘を吐く、とかそういう些細なストレスも無くなるんだろうな。

私が求めていた世界ってこれだわ。


男性のトノキヨに対してミナが恋とか愛とか言っているシーンを最初に目にしたとき、私は自分に置き換えたりミナに同情したりして感動しつつも正直いつもの疎外感をちょっぴりだけ感じていました。

同性間の恋愛感情なんて無いものとされている世界で展開されるヘテロ恋物語ってもう散々目にしてきて、それにいちいち被害者意識を持ったりはしないけど。それでもあまりにも堂々と「それだけが正規ルートです」みたいな顔をされると疎外感みたいなものを多少は感じる。

でも男性主人公のリュズ夢、女性主人公のリュズ夢どちらも観て、ミナの言う「愛」に信憑性が増したというか。

「王子様とお姫様の物語だから」じゃない。
ミナは男でも女でも若くても年寄りでも、どんな姿であれ変わらず「トノキヨ」のことが好きなんだ。
家族になりたい、一緒に生きていきたいと思っていたんだ。

そう思ったら男性主人公への愛を叫ぶミナの気持ちも痛いほど分かって泣けてきた。もう全然感じ方が違う。

「それはお前が同性愛者だからだろ」「結局お前も同性愛に置き換えられるまで愛が分からなかったんだろ」って言われちゃったらそれまでなんだけど、でももし女性トノキヨ版のみだったとしてもここまでミナとトノキヨの関係性について考えることは無かったと思う。どちらのトノキヨも居たから感じられたことだなぁと思います。

こういうのはダブルキャストだからこそ出来ることですね。


千秋楽では舞台が終わってしまう寂しさとダブルキャストによってより深まった感動とで涙が止まりませんでした。

めちゃくちゃありきたりな感想だけど、いつか終わる人生だとしても素敵な舞台を観てワクワクした時間はきっと無駄じゃなかった。良い夢だったなぁ。と思いました! 感謝!!




9月11日まで配信の映像が購入出来ますので
もし良ければぜひ💖💕

👇👇👇

𓊆オンライン配信𓊇

◆8/24 (水) 13時の回
【さひがし、末原、日向野、瀬戸、大久保】
※敬称略
◆8/24 (水) 19時の回
【わかばやし、橋本、高橋、塩崎、二ノ宮】
※敬称略

販売期間】9/11 (日) 22:00まで
視聴期間】9/11 (日) 23:59まで

料金】本編のみ… 税込3500円 (+手数料200円)
   映像特典付き…税込5000円 (+手数料200円)

配信サイト

▼TELASA https://live.au.com/telasa/live/201/


▼uP!!! https://live.au.com/live/200/



2022.08.28(日)
池袋  Theater Mixa



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