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Hanaito喫茶 朝の珈琲 #10
おはようございます。
朝の珈琲も10回目。いつも読んでくださってありがとうございます。
「喉が痛いんです」とレッスン前に伝えてくださる生徒さんが増えてきました。乾燥、花粉、一日の温度差と喉にダメージを与える要因がいっぱいの時期。喉の調子が悪い時でもできる練習方法があります。
せっかくなら気持ちよく歌っていただきたいので、調子が悪い時は遠慮なくおっしゃってくださいね。その日にできる方法でレッスンを楽しみましょう!
今日の曲は朝の景色がはっきりと描かれた、斉藤和義 さんの『やわらかな日』です。少しセンシティブ(?)な歌詞が含まれますので、聞かれる際はご注意ください。
斉藤和義さんは1993年にデビューしたシンガーソングライターです。有名な曲は「歌うたいのバラッド」や「ずっと好きだった」、「やさしくなりたい」など。一度は耳にしたことがあるでしょう。
レーズン入りのコーンフレーク
カーテンを開ければサンシャイン
二人分のコーヒーが沸いた
器にコーンフレークを入れるシャラシャラという音、カーテンをジャっと開ける音、コーヒーが入るコポコポという音、部屋に広がるコーヒーの匂い、牛乳を含んでも少しねっちりとして歯にくっつくような甘いレーズンの味。歌い出しから情景がはっきりと思い描けるため、一気にこの曲の世界に引き込まれます。
そんなやわらかな日常から、次にくるのは尖った歌詞です。
事故で亡くした夫の身体から取り出した精子で受精成功
彼女は言った すごい愛だと思わない
いや尖ってる。この話題を朝から出す彼女はかなり尖ってる。
そう言いつつ朝のおすすめとしてこの曲をあげちゃう私も尖ってる!?
ちらっと検索してみただけですが、実際にあるみたいですよ。興味がある方は調べてみてください。
斉藤和義さんの曲を多く聞いたわけではありませんが、私の出会ってきた彼の曲は女性がカバーしても表現しきれないものが多い印象です。ほんわかふわふわというものが混ざらないほうがいい。どっしりとした重さがほしい。例えるなら刃物でしっかりと削ったピンピンの4Bの鉛筆(鉛筆削りじゃないのがミソ)(あと芯が柔らかくて濃くかけちゃうのもミソ)のようなイメージでした。
歌い出しを聞いて、「芯が丸くなってるよー!?」と驚いていたのですが、彼女が尖った話題を出してきて「やっぱ尖ってたな」と安心するやら急カーブで驚くやら。やはり重量感はあって、よりリアルに登場人物が生きているように感じます。
主人公は「僕」ですが、彼女のセリフも出てきます。歌い手一人で「僕」と「彼女」の会話を歌わないといけません。
「ねえものすごい愛だってあなたは思わないの」
「まだ何も言ってないだろ」
「じゃどうなの」
「うんそうだね」
「もうつまんない人」
この会話のはじめと終わりは彼女の言葉です。なんだか少し甘えたような、「んねぇ」「んもう」という歌い方をされています。女性では歌いにくい男性の声なのに、そこにはしっかりお姉さんがいます。短い言葉の会話で歌い分けされていて、2人の人物を想像させてくれます。すごいですね。
「つまんない人」と言われているのに、そんな君との朝(2番は夜)が好きって考えてる「僕」。「それでいいのか!?」と思うけれども、私は所詮赤の他人。登場人物2人の関係はそれでいいのです。それが愛おしい日常なのです。
あなたにとっていつもの景色、いつもの朝が少し愛おしく感じられるといいなと思います。
今日も気をつけて、いってらっしゃい。