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友情小説|男性同士
「おはよう、帰ってくるのが、遅くなってしまって。ところでさ、想介、寝てる?おでん買ってきた、はい。一花」会社帰りの深夜0時、三月葉は、バタバタと足音を鳴らしながら、玄関先のオートロックの鍵を外して、一花に、上着のジャケットを渡す。どうやら、きょうは、三月葉にとって、良い知らせが入ったらしい。小さく眠る、想介の、部屋のドアを少し開けて「相変わらず、寝相悪ッ」、そう言いながらも、微笑む三月葉。一花は、ごはん出来てますよ、と、言わんばかりに、食器をテーブルの上へと、並べてゆく。一花は、家事担当がだいたいで、想介と、帰宅するまで後片付けなども、している。一花は、少し恥ずかしそうに、言葉を並べると。
テーマ:「僕達、ルームシェアなんですよ」
3人で、御風呂に入ることはないが、3人で、食卓を囲む。一花と、想介は、朝ごはんを作りながら、三月葉が、起床してくるだろう、6時までには、三月葉用の、お弁当も作り終わっている。想介が、無理矢理、三月葉を叩き起こして、三月葉は「未だ、あさじゃないだろ。あともう少し寝かせろ」と、布団のなかにこもりはじめる。想介は、三月葉の、ベッドのなかに忍び込み、悪戯をしかけている。三月葉は「あー!もう、おまえのしつこさには参るよ」想介は、むぎゅ。と、三月葉の、背中に貼りつき「ね、一花待ってるから。早く朝ごはん食べよ?ね?」三月葉は、嫌々ながらベッドから起き上がり、朝ごはんのテーブルに着く。椅子に座り、新聞紙を取り出し、あさの朝刊を読みはじめる。あたたかいコーヒーを、一花から渡され「ん。ありがとう、一花」と、会話をしながら、想介は、もじもじとしながら、ダイニングキッチンのテーブルの椅子に座った「どうしたの?想介?」想介は、なにも言わずに、もじもじもぞもぞ。している。二人は、お互いに目を合わせながら「?????」と、会話をしている。一花は、優しく、想介に、声を掛けてそっと頭と肩をぽんぽんと、優しく撫でた。あのさ、と、表情に出ていたので、ふう~。と、深呼吸して、想介は、二人に声をかけた「三月葉と、一花は、お付き合いしてるの?」三月葉は、飲みかけのコーヒーを吹き出した。一花は、背中に戦慄が走った。三月葉と、一花は、お互いに「(なんで、こいつと、俺達付き合ってんだよ!)」と、言わんばかりだ。そして、想介の、疑問符の発想の仕方も、これまた、不思議で或る。一花は、そっと、想介の、瞳を見ながら「ん?、想介、僕にはそんな趣味はないよ」一花からの、懇親の優しい言葉で締め括った。三月葉は、ただ、新聞を置いて「あのさ。俺達、みんな男。想介、言うの遅くなったけど、ルームシェアの住人」三月葉は、顔を見ずに、またコーヒーを淹れながら、そっと呟いた。「ルームシェアだけど、おまえのことも、一花のことも、たいせつにしてる」一花も、同じく「三月葉も、想介も、同じ気持ちだよ」そして、想介は、そっと、三月葉の、タオルケットと、一花の、タオルケットを取り出して、自分の部屋へと戻る。しかしながら、想介は、部屋に戻るなり「二人が仲が良くてよかった」、安心しきったかのように、少し横になった。二人きりのテーブルで、一花は「ルームシェアなのに」と、しょげながら。三月葉は「誤解したんだろ、恐らく」、と、短く。一花は、キッチンで、茶碗洗いをしながら「想介、起こさないでよ?」と、言いながら。そっと、良きルームシェアとして、三月葉が、お仕事に行く後ろ姿を見送った。一花は、そっと、想介の、部屋の扉を開けて、窓の換気をしながら、そっと、うとうとと眠っている、想介の、頭を撫でた。ルームシェアなのに、兄弟のような関係になった。ひとりでいる日よりも、今を大切にしたい、と、思った。ひとりで居るよりも___、
「(3人で居たい)」そう、強く願っていたら、想介の、鼾が聞こえはじめた。僕達は、ルームシェアなのに、兄弟であり家族の橋に繋がった。
〆 富士喜想介