理科系の作文技術 | 誰でも使える文章作成のエッセンス【読書メモ】
はじめに
背景
「理科系の作文ってなに?」と思い興味本位で読んでみたら意外と仕事で活用できる内容だったので、共有します!
目的
理科系の人向けの作文方法を知る
理科系の人向けの作文方法を仕事で活用する
読むべき理由
この記事では、理科系の人向けに特化した「正確で明快な文章」を書く技術を紹介します。専門的なテーマをわかりやすく伝えることは、現代のどの業界でも重要なスキルです。この記事を読むことで、論理的な文章構成や簡潔で伝わりやすい表現方法を習得し、仕事や研究に役立つ実践的な知識を得られます。
想定読者
専門知識を一般の読者にわかりやすく伝えたい理系の研究者や技術者
報告書や論文執筆で困っている大学生や大学院生
簡潔で説得力のある文章を書きたいすべてのビジネスパーソン
書籍概要
タイトル
理科系の作文技術
発行日
1981/9/22
著者
お知らせ
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内容
序章 チャーチルのメモ
1940年、潰滅の危機に瀕した英国の宰相の座についたウィンストン・チャーチルは、政府各部局の長に送ったメモ。
本書でもこの<簡潔>を第8章の主題の一つとし、重要視している。
理科系の人が仕事のために書くもの
自分だけが読むもの
メモ、手帳の類
実験ノート, 野帳 (野外観察用の記録帳)、 仕事日記の類
講義や講演を聞いてつくるノート。文献のぬき書き
カード類
講義や講演をするためのノート
他人に読んでもらうもの(仕事の文書)
用件の手紙やメモの類
(所属機関内の)調査報告, 出張報告, 技術報告の類
仕様書の類
答案、レポート
研究計画などの申請書
(学会誌などへの)原著論文, 総合報告
その他の論説、解説、著書の類
構造説明書、使用の手引
自分だけが読むのものはどんな書き方をしてもいい。
自分自身が読み返すときに誤解するおそれがなければ、
「この分析法は精度が十分でない」と書く代わりに「△」としても差支えないし、文法を無視したことば遣いをしてもかまわない。
しかし、他人に読んでもらう類のものは、相手が正しく理解してくれなければ役に立たない。間違いなく相手に通じるように 表現しなければならない。
表現上の制約は上記1,2, ...... と番号が進むに従って強くなる。
個人あての手紙 (1) ではその特定の相手だけに通じる隠語を使っても差支えない。
社内報告 (2) ではその会社の中だけで通じる符号や略名をことわりなく使ってもいい。
しかし、学会誌に投稿する論文 (6) では 「圧力をp、体積をVとすると……」ということわりなしに記号p,Vを使うことは許されず、これは(4)の答案やレポートに関しても同様。
(8)に属するトースターの使用の手引では「つぎつぎにパンを焼くときには、移動ツマミがすぐ下方にロックされない場合がありますので......」などと書いてはいけない。「下方にロック」の意味を即座に理解できる人は少ない。
理科系の仕事の文書の特徴
読者につたえるべき内容が事実(状況を含む)と意見(判断や予測を含む)にかぎられていて、心情的要素を含まないこと。
(他人に読んでもらうことを目的として書くものの例としては、詩, 小説, 曲などの文学作品があるが、それらは理科系の仕事の文書とは分けられる。)
事実や状況について人につたえる知識、 または人からつたえられる知識が情報。理科系の仕事の文書は情報と意見だけの伝達を使命とするといってもいい。
理科系の仕事の文書を書くときの心得は
(a) 主題について述べるべき事実と意見を十分に精選し、
(b) それらを, 事実と意見とを峻別しながら, 順序よく, 明快・簡潔に記述する ことである。
内容の精選必要なことは洩れなく記述し、必要でないことは一つも書かないのが仕事の文書を書くときの第一の原則である。
何が必要かは目的や用件により, また相手の要求や予備知識による。 その判断に、書く人の力量があらわれる。
事実と意見(判断)との区別を明確にすること
何でもなさそうにみえるが実はそれほど容易なことでない。
第1文で意見として書かれていることが、 第2文では事実として扱われている。
技術報告や科学論文のなかでこの種のスリカエがおこなわれると、論理の組立てが不安定で、不当な結論がみちびきだされる。
記述の順序
文章全体が論理的な順序にしたがって組み立てられていなければならない。
一つの文と次の文とがきちんと連結されていて、その流れをたどっていくと自然に結論に導かれるように書くのが理想。
もう一つは相手(読者)はまっさきに何を知りたがるか、情報をどういう順序にならべれば読者の期待にそえるか配慮すること。
気短かな上司はまっさき結論を知りたがる。
カメラの使用説明書は、新しいカメラを手にした人は最初にどんなことをしてみるかを調べた上で書く。
簡潔かつ明快な文章の第一の要件は、
論理の流れがはっきりしていること
一つの文と次の文との結びつき方が明瞭なこと
*文章=文(センテンス)をならべてつくるもの。
明快に書くためのその他の心得
一文を書くたびに、その表現が一義的に読めるかどうか、ほかの意味にとられる心配はないか、を吟味すること
はっきり言えることはスパリと言い切り、ぼかした表現を避けること(…といったふうな、月曜日ぐらいに、…ではないかと思われる、等々)
できるだけ普通の用語、日常用語を使い、またなるべく短い文で文章を構成すること
簡潔な表現は、忙しい現代生活の要求にこたえるためだけに必要なのではない。チャーチルも言っているが、不要なことばは一語でも削ろうと努力するうちに、言いたいことが明確に浮彫りになってくる。
以上、著者が思い描く<いい文章>
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