[Switch] リーガルダンジョン 感想メモ📝
警察官となり、様々な事件に関して書類や凡例を読み込んで起訴or不起訴の意見書を提出するゲーム。
雑に説明すると逆転裁判のようなシステムで、相手の主張に対して書類からキーワードを突きつけるようなイメージ。
自分が出来ることはあくまで意見書を作成・提出することであり、相手を直接処断することはできない。
他人の道徳・集団の道徳・組織の制度・社会の制度・既存の権力に板挟みになりながら自分の道徳と解釈という名の底が見えないダンジョンを彷徨うことになる。
(できるだけ)ネタバレなし感想
ルート分岐あり
ただし最終章に入る前にエンディングを迎えるルートも多くあって、最後まで辿り着くには作者の想定通りに進まないといけない
ゲーム性も相まって、個人の自由意志を阻害する社会や制度からくる外圧などと重なるような体験
過去のルート分岐についてはどの選択を取ったかの結果を切り替える事が出来て、その結果で未埋めルートもすぐ開くことがあるのでルートは埋めやすい
画面上を動くキャラクターである「あおい」(Windowsのイルカみたいな)がチュートリアルを兼ねつつも、組織制度に基づいた合理的な道徳を刷り込んでくる
こわい
意見書を作成後、起訴・不起訴を決めるダンジョン(議論)パートに入る
ここが逆転裁判的なところ
実際には主人公の脳内で行われる被疑者との議論(たしか)なので、相手の名前の付け方や二人称、台詞に至るまで序盤〜終盤で心情や意識が変わっていくのを見てなんともいえない感情がわいてくる
相手のことも最初は被疑者と呼んでいた気がするけど、途中で敵と呼ぶ章があって主人公も経緯とか読んで自分の正義に照らし合わせて判断している感
ルートの右下にアルファベット?が書いてある
あと先のルートを見ると点線で囲まれているルートがある
この2点が最後までプレイしてもわからずだった、そのうち考えてみよう
UNDERTALE感のあるステータスの変動
起訴するとHP(議論で指摘に失敗できる回数)・防御(指摘に失敗した時にHPが減らない確率)・コイン(コンティニューやUIの模様替えに使う)が増え、不起訴だと減る
しかし純粋な「モンスター」を倒している訳ではないモヤっと感
裁判員制度をやっているみたい
事件のケースによって、概要を読んだ段階で自分は起訴(不起訴)だなあなどと考えてしまう
正義は自分・他人・社会とあらゆる立ち位置で全く違うことを実感する
ゲームの特性である、主体=プレイヤーがあらゆることを「決定」することを最大限に活用していてすごい、この作品の媒体がゲームである必然性を感じる
2度ハマる時があったので1時間くらい悩んでわからなかった時は以下のnoteを参照した (ありがとうございます)
2度とも考え方は合っているけど選択するキーワードが異なるというケースで、ヒントを見てあ〜〜〜なるほど!となってすぐ解けた
思考が凝り固まるとそれしか見えなくなるな〜と思うと同時に、この状態が作品のテーマにも嵌まっているようでまんまとしてやられた感がある
ゲームシステムのイメージは逆転裁判だけどストーリーは最後まで重い
未解決事件〜の発生がリーガルダンジョンから約4-5年後、そしていつかの時点で退職してから12年後が未解決事件を思い返す時期と作品間でのリンクがあり、思いを馳せる
といったところで、プラットフォームにゲームを選択した意義をひしひしと感じられた。作者がプレイヤーに伝えたい・体験させたいことがうまく融合して個性を持った独自の作品になっている感。
ゲームをクリアして、ただおもしろかった〜!で終わらず、心に棘を残して今後も尾を引いていくような体験だった。
以下はそれほど量がないけどネタバレかなと思ったので隔離した感想です。
ネタバレあり感想
1章の、適用する罪が想定されたものじゃないと修正させようとする「あおい」にうわっとなった
情状酌量の余地を認めようとする人間の道徳心に拠る判断を廃して、全て機械が断じる世界というディストピアを迎えるオチか?と思った
今後は保存された書類から自動で送検する機能が導入される予定とか言われるし
罪状ごとに点数が設定され、点数を稼ぐことで給与・評価が上がるという作中の組織文化なので、己の道徳・正義感を優先すると、点数稼いで「ちゃんと」仕事したい仲間の足を引っ張るやるせなさ、無力感
この組織文化なので
点数を稼ぐことと犯罪を起訴することは別問題とわかっているけど点数を稼ぐために犯罪が起こってほしいという感情が沸き起こる世界
再犯率が高いと減点されるルールなので、性犯罪の再犯は起訴しないという警察官の役割としての秩序維持との矛盾
どうしようもできなかったPSYCHO-PASSのような空気感