カラックスとビノシュ
昨日ありがたくも入手した情報の中で、いちばん嬉しかったのが、Leos Caraxと彼の最初のミューズであり元パートナーであるJuliette Binocheがいまだに繋がっていると知ったこと。
ビノシュのインスタにカラックスの写真がアップされていたとのことで早速遡って確認。
サムネの投稿を見つけて歓喜。
(ソースはこちら)
こんなことで何で喜んでるんだ、なのだが、何よりもこの2人は当時最大限にお互いにコミットしていたから、ポンヌフの恋人というマスターピースを作り上げられたはずで、その絆はやっぱり一生物だったんだ感じられたこと。
しょーもない男女のおままごとを超越した関係、人間が人間を愛する、そして男と女としても愛し合うということが、この世には存在するんだという証明のように思えて。
おそらくビノシュはポンヌフで、カラックスの異常な完璧主義とこだわりに疲れ果ててしまって、違う道(アートを突き詰め一生をカラックスに捧げるより、女優として名を馳せる)に進んだんだろうな…わかるわ…と、めちゃめちゃ勝手に共感していたのだが、彼女の中に本質的にあるものは変わっていなかった、良かった、と再確認し、謎の安心と喜びを得たのである。
この関係性と比較すると次元が違いすぎて恥ずかしいけれど、どうしてもKと私がすれ違って行った過程のことを思い出してしまう。
Kはある日「白いスニーカーが欲しい」と言い、毎週デートのたびに靴屋に行き、私は毎度毎度付き合っていたのだが、 1年経っても買わないので、私は何も言わずに、こいつもう買わないな…と見守っていた。
が、ある日とうとう白いスニーカーを本当に買ったので「うわ!とうとう買った!」とひそかに驚いた。
しかも何が彼を決心させたのか全く理解できず、他にも似たようなスニーカーをいっぱい見てきたのに…と、彼の計り知れない謎の生態を興味深く観察したものだった。
オーディオセットもそうだった。
何度ヨドバシカメラのオーディオコーナーに付き合わされたかわからないぐらい通ったが、最終的にはヤフオクで買っていた。
そして、その頃彼はいつもいつもジャズを大音量でかけるものだから、電話がかかってきた相手に「今ジャズ喫茶にいるの?」と聞かれるほどだった。
そんなところも好きだったけれど、こんなこと、些細なことが続き、自分も新たな道に向かって歩いていると、疲れてきて、付き合いきれなくなり、ダメだと分かっても、ぶつかってしまい始める。
仕事脳では彼のスーパー非効率な行動をいつまでも支持できなくなっていった。
現実問題として、スニーカーを買うのに1年もかける奴とは生活はできないということなのだろう。
こちらへの歩み寄りもないのだから。
愛しているなら耐えるべきだったのかもしれないけれど、どうしても自我が叫び出してしまうのだから。
そもそも自我のない女なんて、Kも好きではないはずなので、2人が別々の方向を向いたらもう終わりということだったのだと納得して進むしかなかったんだけれど。
ただ、あの時の強い純粋な気持ちと時間とコミットメントはたぶん本物だったんだろう、それだけでいいのかもしれない。
傷ついても、本物を得るためには、飛び込んで経験しなければいけないんだと、そんなことを学ばせてくれた、天才2人。
カラックスとビノシュ。
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