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自分勝手のかたまりだった

 私は母と離れて暮らしているといっても距離にすると3kmもなく、車だったら10分ほどで会える。ただお互いの職場はもっと離れているし、まあ色んな事情でそうしょっちゅうは会えないことが多い。

 そろそろ会って世間話をしたいなとおもいつつ、会わないでいる期間が2か月ほどもあいてしまった。もう限界である。

 やっとお互いの都合を合わせて約束をした。前日にどこか行きたいところや買い物の用事などがないか訊いたら、母はパフェを食べに行きたいと言った。
 私たちの行動範囲で素敵なパフェを出すお店というのは少ない。青果店が展開する、ランチとフルーツをふんだんに使ったデザート類を出すお店が浮かんだ。きっと母もここに行きたいんだろうとおもう。母が好きな桃のおいしい時季はすぎているかもしれないけれど、よかろうか。

 このお店の開店は10時半で、11時から店内飲食ができるというのでその時間をめがけて向かう。お昼を過ぎると待たなければならないことが多い店です。ランチとパフェの両方は入らないことをお互い確認して、目的のお店も一致した。

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フルーツ&カフェ ハマツ/長崎市浜町

 桃のパフェもまだメニューにあったけれど、ふたりであれこれ悩んでやっと決めたのは赤肉メロン(母)と洋梨(私)のパフェ。洋梨は今季はじめて食べるのでうれしくなる。運ばれてきたパフェにふたりではしゃいで写真を撮る(許可をもらいました)。
 ここのパフェは使っているアイスクリームやシャーベットもおいしいし、コーンフレークなんかも使わず、最後のひと匙まで飽きずに食べられる。自家製なのか、香ばしいクッキーが間に入っていて母はこれを気に入っていた。

 私は果物がとても好き。こんな風に季節の果物を使って見た目も味もすてきに仕上げてあるパフェは気分があがる。でも、それがケーキやタルトになるとあまり惹かれない。ジャムやコンポートなんかにも惹かれない。むしろ立派な果物にあれこれ余計なことしないで! なんておもってしまう。
 果物はそのままがいい。

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 久しぶりに会う母とまだ喋り足りないから、この店を後にして、今度はいくら喋っていても気が咎めないように、フランチャイズのカフェに移動してコーヒーを頼む。

 うちの母は、甘いものが好きだ。食事のバランスはそう心配ないのだけど(私の方がよっぽど偏食だ)、食べものに関して私みたいにうるさくないので、手軽な菓子パンなんかも食べるし、調味料もそんなにかまわないし、ジャンクフードも平気で食べる。寝る前にアイスクリームを食べたりもする。
 私は母に元気でいてほしい。これは私の自覚する自分勝手。だって母がいなくなったら私が悲しいから、いつまでもそばにいてほしいから、元気でいてほしいから。でもこれは私の目線での話。自分勝手はわかっているつもりでいた。
 だけど、菓子パンやアイスクリームの回数を減らさないといかんよなどと何度も言う私に、母が小さな声で(娘ふたりからあれこれ言われてストレスの溜まる~)と言った。娘ふたりといううちもう一人は姉を指していて、姉から言われるのは先日書いたけれどテレビのことである。私は母のことを「気の毒だ」と書いた。
 母の自由にさせてあげない姉を優しくないとおもっていた。私は母の身体のことを思って言っているんだから、無意識に”姉とは違う”と考えていたのか。だけど、母からしたら姉だって私だってどちらも同じくらいうっとおしいのだった。母がそんなふうに感じているのを知って、一瞬傷つきかけたけれど、考えてみれば母の言うとおりだ。母の人生だから、今までいっぱいガマンしてきたから、好きにさせるのがいちばんしあわせなのだ。

 それでも私はワガママだから、自分勝手のかたまりだから、母には元気でいてほしいのだ。母にゴメンと謝り、でも私は元気でいてほしいからこれからも言うよと伝えた。母は苦笑いをしながら聞いてくれた。
 いらないと言われるかもしれないし、受け取っても面倒がって食べてくれないかもしれないけれど、栄養補助をしてくれるおいしくて続けやすい(はずの)自然食品を週末に持っていくつもりでいる。

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 また一緒に行こうね。

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片山 緑紗(かたやま つかさ)
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