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【読書記録#1】伊坂幸太郎『ペッパーズ・ゴースト』

※私個人の主観による感想です。
※ネタバレを含みます。


中学教師の檀は、猫を愛する妙な二人組の小説原稿を生徒から渡される。さらに他人の未来を観る力を持つことから謎の集団とも関わり始め……。苦い過去を乗り越えて檀先生は、世界を、自分を救えるのか!?

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私が読み始めて最初に思った感想は、「怖い」だった。

猫たちを虐待してそれを配信する「ネコジゴ(猫を地獄に送る会)」の話は、大の猫好きの私にとって、例えフィクションであっても耳を(本なので目を?)塞ぎたくなった。

伊坂幸太郎さんの作品は、何作品か読んだことがあったが、初めてこれは読めないかもしれないと思った。

しかし読み進めていくと不思議とするする読めてしまうのが伊坂さんのすごいところなのだなと思った。


『そのネコジゴを支援していた者たちに、猫が味わった苦痛を同じようにお見舞いする「ネコジゴ」ハンターたちの話』の小説を書いているのが、中学教師である主人公・壇先生の生徒であった。


本を読み進めていくと、生徒が書いている『小説の中の話(ネコジゴハンターの話)』と『檀先生の現実の話』が交互に進められていく。

あらすじにもある檀先生の未来を見る力があることによって、どんどん事件に巻き込まれてしまい、しまいには監禁されてしまう。

それを助けたのがなんと檀先生の生徒が書いていた『小説の中の話』に出てくるネコジゴハンターの2人(ロシアンブルとアメショー)なのであった。


なんで小説の中の2人が現実に出てきたの!?とパニックになりながらも、展開が面白すぎてここからは読むのが止まらなかった。

どっちが現実?実は檀先生も小説の中の人?まぁ実際は小説の中の人かぁ。といろいろな思考・考察を自分の中で繰り広げながら読むのが本当に面白かった。

また、ネコジゴハンターの2人の発言が、読んでいる私自身を覗かれている感覚になってかなりドキッとした場面が何か所かある。

自分は、誰かが書いているお話、たとえば小説か何かの一登場人物に過ぎない、そう思うことがあるんですよ。

伊坂 幸太郎. ペッパーズ・ゴースト (朝日文庫) (p.87)

登場人物表を入れるべきだよ。簡単な説明だけでいいから。というか、たぶんすでに用意されているかもしれないね。僕たちの名前と説明の載った一覧が

伊坂 幸太郎. ペッパーズ・ゴースト (朝日文庫) (p.334)

あなた僕たちの話を読んでますよね?みたいに言われているようで、個人的にこれが有名すぎるインディーズゲーム『UNDERTALE(アンダーテール)』をプレイした感覚に似ていて、かなり鳥肌が立った。

そしてタイトルの意味がわかったとき、うわぁぁぁぁってなる感覚が忘れられない。

また、この話はニーチェの作品、『ツァラトゥストラ』という話も頻りに出てくる。
あとがきを読むと、伊坂さんが学生の頃に『ツァラトゥストラ』を読み、30年近く経ってから再読した際に伊坂さんの作品の登場人物にその思いを反映させたのが『ペッパーズ・ゴースト』なんだとか。

私はまだ読んだことがないので、ぜひ読んでみようと思った。(なかなか難しいらしい・・・)


この読書記録の最後に、私が心に残った文章をご紹介したいと思う。

アメショーの言葉(p.333)
タイトルに繋がる言葉。最後の展開がわかったとき、鳥肌が止まらない。(p.380)

今回Kindleでこの作品を読んだのだが、Kindleの機能でこんな画像を作成できることを初めて知った。(だいぶ終盤でこの機能に気づいたので引用したところも終盤・・・)


以上、ペッパーズ・ゴーストの読書記録とする。





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