眠り姫
閉じ込められた部屋
姫は眠っています
姫に飼われた女の子も眠りに落ちそう
7時間後、女の子は目覚めます
姫はまだ眠ったまま
窓からみえる、雲の隙間からあかりが落ちてきそうな空
女の子は音楽を聴きます
人生のメリーゴーランドを
女の子は2時間人生のメリーゴーランドを聴き続けました
姫は起きないみたい
女の子は、姫の寝顔を見ながら、もう一度大好きな人生のメリーゴーランドを聴きます
「おはよう」
「夢の中でずっと流れてた曲だ〜」
姫が起きたみたい
「おはよう」
「私、この曲好きなんだよね」
「姫もこの曲好き!えへへ、何時間も聴いてた曲がまさか現実で流れてたとはね〜!もう最高だよ!運命だよ!」
「そうだね」
「ねえ、姫はお散歩がしたいな!」
まだ日は落ちない
ふたりきりになれないふたり
「久しぶりだね!姫はカフェに行きたいな〜!」
「もっと早く起きてくれればいいのに」
「って言うけどさ!いっつも起こしてくれないよね!」
「姫の寝顔が好きだからね」
「えへへ、そんなこと言って、寝てる間にどっかいったら、怒るからね!」
「行かないよ」
「えへへ、大好きだよ」
20分だけ歩いて、部屋に戻る姫と女の子
「疲れちゃった〜!今日はいい日だ!姫、痩せちゃった!姫の体積減っちゃった!大問題だ!地球が滅亡しちゃうかもよ!」
「楽しかったね、寝る前にご飯食べて」
姫はベーコンエッグをふたくち
残したベーコンエッグの写真と、人生のメリーゴーランドをInstagramのストーリーに上げる姫
「今日は楽しかったな〜!うんと楽しかった!今度はカフェ行こうね!」
「姫と一緒なら、何でも」
「えへへ、大好き!もう眠たいから、ひとつ、お願い聞いてくれる?」
「なに?」
「姫が寝たら、人生のメリーゴーランドを流して」
「分かった、空中散歩も流すね」
「うん!ありがとう!姫、きっと好きになるよ」
「うん、好きになって」
「もう大好きだよ」
姫の食べたお皿、着替えた服、片付けに忙しい女の子
鳴り止まない姫のスマートフォン
「おやすみ、姫」
姫と女の子の、幸せな一日