相違
凍った路面を懸命に踏み付けながら歩くのも昨年が最後だった。突然決まった引越しは、わたしの生活をガラリと変えた。
大阪在住の今と比べればわたしの地元は田舎だけど、田舎すぎない中途半端な田舎だった。もちろん夏の田んぼはカエルの大合唱が聞けるし、池で牛蛙は鳴いている。コンビニへは徒歩7分という近いようで遠い距離だし、最寄り駅という概念は存在しない。公共の交通機関を使う人が少ないため、バスの運賃があまりにも高い。中心部へ行こうとすると、往復で野口英世が飛ぶ。運転免許を取らないと選択したわたしにとっては、少し不自由な町だった。それでも夜は静かで、好きだった。
比べて大阪は、一人になれない場所だと感じる。
いつなん時も外に出ると人がいる。誰かと話している人がいる。静けさがどこにもない。平日の梅田さえ人が多いと感じる。リフレッシュをしに外へ出ても、常に人々が忙しなく動いているため心が落ち着かない。地元にいる時より時間の流れが早くなったように思える。
ほぼ毎日晴れる大阪に魅力を感じつつ、星がひとつふたつしか見えないことに不満を抱く。少し電車に揺られるだけで素敵な場所に辿り着くのは良いけれど、駅を出て街を歩けば排気ガスと歩きタバコの煙が肺いっぱいに取り込まれることに嫌気が差す。
このように様々なことで感情を揺さぶられてはいるが、地元とのギャップに慣れていくしかないことを頭では分かっているつもりだ。