
ジャパンカップ特別考察 ~オーギュストロダンは18年連続外国馬未勝利の壁を破れるか~
ジャパンカップ特別考察
~オーギュストロダンは18年連続外国馬未勝利の壁を破れるか~
今年は海外からビッグネームの馬が参戦。
海外G1を6勝のオーギュストロダン・現在ワールドレーティング4位タイのゴリアット・ドイツのG1を2勝のファンタスティックムーン
外国馬のジャパンカップ勝利は2005年のアルカセット以降なく、ディープインパクトが勝った2006年に牝馬のウィジャボードが3着となって以降は馬券内すらありません。
ジャパンカップで外国馬が勝てない要因の一つに、日本と海外の馬場の違い(一般的に軽いと言われる日本の馬場)があるといわれています。
しっかり整備された日本の芝コースは走破時計も海外に比べ速くなりがちで、求められる要素が欧州と違うのは、近年ジャパンカップで好走馬がいない要因の一つであることは間違いないと思います。
ですが、ジャパンカップで外国馬の結果が出ていない要因は、馬場だけのものでしょうか?
たしかに、血統や育成などの背景からなる馬場の違いで、海外馬が好走しにくい一因はあると思いますが、18年間ジャパンカップの勝利がない要因は、馬場以外に3つあるのではと仮説を立てました。
① 日本馬のレベル向上
② 検疫による影響
③ 本当に強い馬がきていない
この3点を少し深堀してみます。
① 日本馬のレベル向上
イクイノックスが2023年に日本歴代最高レーティングとなる【135】を記録したのは記憶に新しいですが、それ以外の日本馬もレベルが上がっていることを顕著に示したのが昨年のジャパンカップ。
2023年のレースレーティングは、ジャパンカップが(126.75)を記録して「ロンジン・ワールドベストホースレース」を受賞。
ドバイシーマクラシックで(126.50)、3位の凱旋門賞(124.75)、4位のキングジョージ6世&クイーンエリザベスステークス(124.50)まで世界に名だたる中距離レースが上位を占めるなか、日本馬が上位を独占したジャパンカップが選ばれた。
レースレーティングは上位4頭の平均値によって算出されるもので、ジャパンカップの上位はレーティングの高い日本馬で上位が構成されたことによるもの。
イクイノックス1頭の数字が突出していただけではトップの数字になるわけではなく、中距離路線において国際的にも日本馬のレベルが高くなっていることの証明になっていると思います。
日本の中距離レースでハイレベルになりやすい、日本ダービー・オークス・天皇賞秋の上位馬が、賞金面からも秋の最大目標に定めて出走してくる傾向の強いジャパンカップは、海外勢にとっても簡単に勝てる舞台ではなくなっているというのが最初のポイント。
② 検疫による影響
ジャパンカップに海外の強い馬が出走しにくくなっていた背景の一つに、検疫による馬への負担を海外勢が考慮していた面は否めない。
香港やドバイの国際競走の場合、開催競馬場に直接入って検疫を行っていて、複数の施設を経由することなく直接入ることができますが、日本では2022年10月に東京競馬場に新設された国際厩舎ができるまで、外国馬が日本の国際レースに出走する場合、空港到着後にJRA競馬学校(千葉県白井市)などの輸入検疫施設に移動して7日間の検疫を終えた後、改めて開催競馬場に移動する必要があり、輸送と環境の変化という負担が二重にかかっていました。
それが、ジャパンカップの行われる東京のレースなら、この新設された国際厩舎によって外国馬が空港到着後、東京競馬場に直接入ることができるようになったのは海外勢にとって本当に大きな改革。
この新設された国際厩舎を紹介する動画(矢作調教師と坂井騎手が紹介している)を拝見しましたが、日本らしい配慮が行き届いた素晴らしい施設で、検疫期間もストレスを最小限に抑え、調整がしっかりできるであろう環境で、さらにはスタッフたちにも配慮された施設は、素人の自分が見てもきっと海外のトップトレーナーたちも満足され挑戦しやすい環境だと思えるのでは?と思えるような国際厩舎でした。
過去ジャパンカップに出走した馬は、検疫による二回の移動や環境変化のハンデを背負いながら、レベルが上がった日本のトップホースと対戦してきたのであれば、それは想像以上に厳しい戦いだったであろうとの推察が二つ目のポイント。
③ 本当に強い外国馬がきていない
そして、外国馬に勝ち馬が出ていないのは、これが一番大きいのではと思うのが、【本当に強い外国馬がきていない】のではないか?という仮説。
アルカセットが勝利した2005年以降、外国馬はウィジャボード1頭しか馬券になっていませんが、着順以上に好走した馬には以下のような特徴がみられます。
G1勝利が複数回ある
2006年 ウィジャボード 0.4秒差 3着(G1 8勝)
2009年 コンデュイット 0.4秒差 4着(G1 4勝)
2011年 デインドリーム 0.5秒差 6着(G1 4勝)
2013年 ドゥーナデン 0.2秒差 5着(G1 3勝)
2017年 ギニョール 1.3秒差 9着(G1 3勝)
2013年 ジョシュアツリー 1.9秒差 17着(G1 3勝)※カナダのG1のみ
調べをして改めて気づくのは、馬券になるチャンスがあった馬は想像より多くいました。
記憶というのは怖いもので、自分の感覚としては外国馬は日本馬に全く歯が立っていないように感じていましたが、改めて成績やレース映像を見てみると、G1を3勝以上の実績を残しているような馬は、馬券内であればかなり際どい勝負になっていたという事実。
この好走した馬たちをもう少し深く掘り下げてみると、
コンデュイット:アメリカのBCターフを連覇し、イギリスのキングジョージに勝利と日本馬にも実績がある場所で勝利。
デインドリーム:ドイツ・フランス・イギリスと異なる国で、凱旋門賞・キングジョージ含む権威あるG1を4勝。
ドゥーナデン:オーストラリア・香港など日本馬が活躍しやすい舞台でG1を3勝。
と、G1を8勝と圧倒的な実績を残していたウィジャボード以外の好走した3頭には、G1を3勝以上の実績に加え、日本馬が活躍しやすい舞台での勝利実績や、異なる国のハイレベルなG1での勝利実績があったりと、ジャパンカップで好走できる裏付けを感じるバックボーンがありました。
以前の厳しい検疫システムを乗り越えてこれだけ少差に走っていた海外馬がいたことを考えれば、先述した好走馬と同じような背景を持つ馬が国際厩舎を利用してレース当日に挑めれば、ジャパンカップで勝ち負けできるチャンスがあるのではと思わせる検証結果でした。
これらの前提を踏まえて、今一度、今年の出走予定の外国馬3頭を検証してみると、、、
最も魅力を感じるのはやはり【オーギュストロダン】です。
海外G1を6勝の実績は、ウィジャボードのG1 8勝に次ぐ2番目のG1勝利数。
イギリス&アイルランドのダービー制覇に加え、アメリカのBCターフを勝利と複数の国のビッグレースを勝利し、日本馬の活躍馬も出ているアメリカの芝でもG1勝利があるのは、先に記した好走馬の傾向に合致。
これだけ実績や条件が揃った強豪が来日するのは、近年で初めてと言っても過言ではなく、近年の海外馬と比べても今年のオーギュストロダンには魅了がたっぷり。
更に、xのポストでアンケートを取った際に、今年のジャパンカップも【日本馬が馬券内独占】と考える方が6割以上のシェアを占めている結果を考えると、蓋を開けてみれば海外勢は実力以上に甘いオッズになる可能性もあると思える今年のジャパンカップ。
18年間馬券内のない海外馬ですが、今年はオーギュストロダン、ゴリアット、ファンタスティックムーンの三頭がこの未勝利、馬券外の壁を破れるのか?
自分はチャンスがあって良いと考える一人です。
今年のジャパンカップ、今からレースが待ち遠しいですね😊
最後までご覧いただきありがとうございました。
ジャパンカップ楽しみましょう!
※最終的なレース考察と予想印・買い目は、日曜日の予想note、サラブレモバイル内の記事で配信します。よろしければご覧ください😌