小説で「アクションシーン」を書く
Q.戦闘シーンの書き方で悩んでいます。せっかく書いた推しの戦闘描写がへなちょこなんじゃないか、読み手の方は何が起こっているのかよくわからないんじゃないか、と不安です。書きたい武器は大剣やナイフ、弓等です。一番書きたい、大剣が得物の推しは、まるで重さを感じていないように軽々と剣を扱うので、どういうものを参考にしたらいいのか困っています。アクションシーンの書き方を教えてください。
A.アクションの前に、「動き」の描写を読者に分かりやすく書けていますか?
そもそもアクションを書くとは「人間の動きを書く」ということである。早速だが例文をご覧頂こう。
○○は××に手を伸ばした。
どこにでもある文章のように見えるが、これもまた「キャラクターの動きを書く」という小説の描写のひとつだ。小説のアクションとは、極論を言えば「動きの描写を複雑化しただけのもの」である。日常であれ戦闘であれ、どのようにキャラの体や持ち物が動いたか、ということを連続的に描写していくのに変わりはない。ただアクションの場合は、時に普通の生活では体験し得ないような特殊な動きを書かねばならなくなる。また、ほんの数秒の作中時間で非常に多くの動きを描写せねばならない。よって「読みやすく内容が伝わりやすい文章を書く力」や「書かないものを切り捨てる取捨選択能力」などが試されることになる。
これらの力は、アクションに限らず「小説」を書く上で必要な様々な技術の一端であり、長い時間をかけて鍛え上げていくものだ。webで他人の話しているコツや記事を読んだだけで身につくようなものではない。筋トレのコツ動画を見ただけでムキムキになれる人類はいない。筋肉を付けたければ己の肉体を動かすしかない。しかも、継続的に何ヶ月、何年と続けていく必要がある。筋肉を鍛えるのであれば体脂肪計などで体の変化を計測するが、小説の場合は書き上げた作品を実際に公開し、「読み手」に計測してもらうしかない。質問者さんは「読み手の方は何が起こっているのかよくわからないんじゃないか、と不安です」と言っている。ならば何故、その「読み手」の方に聞かず、こんな名もないゴリラに尋ねているのか。もしくはゴリラにその小説を見せてほしい。見てもいないのに伝わるかどうかは判断出来ない。質問者さんがどの程度の「動き」をどの程度「分かりやすく」書けているのかは、質問者さんの作品を読んだ人にしか分からないのだ。友人や周りのオタクたちにその文章を読んでもらい、分かりにくいところがあれば教えてほしい、と頼むのが一番の近道だろう。出来れば自分よりも小説の上手い人に依頼して、改善例もセットで教えてもらえれば最高だ。
完成させ、他人に見てもらい、他人の反応を取り入れる。
これはどんな分野であっても、技術を高める一番の早道である。創作の場合は特に、鑑賞者がいることを想定して作品づくりをすることがほとんどだ。よって、見てもらって反応を自分の中に取り入れ、反省点として次回に活かすことはほぼ必須である。というと難しいことのようだが、何のことはない。ゴリラたちがいつもやっている、投稿サイトや○○メーカーなどを使ってSNSに作品を流し、他人の反応を見る、ということがそれに当たる。質問者さんも、創作を始めたばかりでまだ他人に見せたことがない! という方でなければ、やったことがあるだろう。ただ、インターネット上で「改善点の指摘」を直接貰うのはとても難しい。作者がそれを求めていない場合も多いからだ。これについては以下の記事に書いているので、まだ読んでいない方は是非目を通して頂きたい。
質問者さんが「今すぐ改善出来る場所が知りたい! 手元のこの小説がすぐいい感じになる魔法の何かが欲しい!」というのであれば、こんなゴリラの記事を読んでいる場合ではない。なんとかして友人に作品を見せに行き、分かりにくいところがないか教えて! と頼み込むのだ。もしくは有償の校正依頼などを利用してみよう。
もしそうでないなら、この先長年かけてアクション筋を鍛えることを視野に入れてみよう。その場合は、この記事の続きを是非読んで頂きたい。小説は書いてるけどまだアクションシーンを書いたことがない、というアクション初心者の方にも伝わるよう、ゴリラも精一杯努力しよう。
しかし残念ながら、「そもそも小説を書くこと自体に慣れてない!」「アクションどころか日本語が怪しい!」という、創作そのものを始めたばかりの初心者さんには、ゴリラの記事は不向きである。先程も申し上げた通り、アクションとはキャラの体や持ち物がどう動いたか、ということを連続的に描写していく行為の超スピードアップバージョンだ。「速度を上げる」ということはそれだけ処理する情報量が上がるということだ。従ってアクションを書くということは、まず「小説の文章を書く」ことに慣れていない方にはちんぷんかんぷんになってしまうだろう。あらかじめご了承頂きたい。
さて、「動き」を書くということについて考えてみたいという意欲的なゴリラの方にはバナナを配るのでそこに座ってほしい。
動きを複雑にしてみよう
○○は××に手を伸ばした。
先程の例文をもう一度ご覧頂こう。小説を読んでいれば、皆さん一度は必ず目にしたことのある文章ではないだろうか。それだけこの「動きの書き方」は完成されており、誰にでも伝わり分かりやすく、誰が使っても違和感にはならないということだ。
手を伸ばす、という単純な動作であれば、創作を始めたばかりの初心者の方でもこのように、誰にでも伝わる書き方が出来るだろう。では、もう少し複雑な動作になるとどうだろうか。
たとえば、「キャラがスカートをつまんで一回転する」という動作を文章に書くとしよう。
○○はスカートをつまんで一回転した。
これでキャラの動きは伝わる。しかし、あえて文章を短く収めなくてはならない状況以外では、この文では物足りないということもあるだろう。そのような場合、何を付け足せば良いだろうか。作例を見てみよう。
○○はワンピースの裾をつまむとにっこり笑い、その場でくるりと回って見せた。
これで場面の想像がつきやすくなる。想像しやすいということは、読者に具体的な細部が伝わりやすいということだ。ただしその分、文字数は増えてしまう。全ての文章で詳細な描写ばかりをしていたら、読者にとっては間延びしたように見えて退屈な場面もあるものだ。とはいっても初心者さんの場合は、じゃあどんな時にどのくらい細かく書けばいいの? という疑問で困ってしまうことだろう。どのような基準で、描写の細かさや文章量を決めれば良いのか。答えはシンプルだ。
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