「かかってこい虫けら」第六天魔王より。【天魔王ゴッド・ゼクス】2
信長にこんなこと言われたら泣いちゃう。ぴえん。
こんにちは、くノ一ジョロウです。
前回の続きというかおまけっぽい話ですが、主に信長についてやっていきます。
◆信長と天魔王
烈火魂のラスボス、天魔信長。
主人公にとって、兄のような師のような存在。日本のバトスピ界を憂いて自ら悪役となり、日本のバトラーのレベルを上げようとしました。
そのとき名乗ったのが大六天魔王です。
どちらも創界神ネクサスになっていて、キースピリットの天魔王ゴッド・ゼクスと一緒です。
天魔信長の元ネタはもちろん、皆さんご存知織田信長。
キリスト教や舶来品を受け入れる一方で、迷信や常識とされていることに対しては懐疑的。幼少期からゴーイングマイウェイすぎて「うつけ者」と言われてしまうほど。何やってんだコイツ……と思われても、自分が正しいと思った道を突き進みます。
そしてその道を邪魔する者は容赦なく排除します。「鳴かぬなら 殺してしまえ ホトトギス」ってヤツです。
大六天魔王はほぼそのまま、前回解説した第六天魔王。織田信長が自らをそう名乗ったとされており、ゲームなどで「我は第六天魔王、織田信長である!」みたいなことをよく言っているイメージがあるかと思います。
しかし実は、信長が自分を第六天魔王と名乗ったという日本の文献は見つかっていません。なんてこった。
でも火のないところに煙は立たないので、そういわれる何かがあったはずです。
信長が第六天魔王を名乗ったという話は、一体どこから来たのでしょうか。
◆後世に残ってしまったレスバ
そもそもどういう流れで、信長が第六天魔王を名乗ったとされているかについてお話します。
※本物の方の人物像だとバトスピの記事っぽくなくなっちゃうので&せっかく烈火魂にキャラがいるのでそっち使って説明します。
織田信長が、比叡山延暦寺という天台宗のめっちゃ偉いお寺を焼き討ちした上に復興も許さなかったので、それを見かねた武田信玄が天台宗の一番偉い人(天台座主)を保護して、
というお手紙を信長に出します。
その時のお手紙に、信玄は「天台座主沙門信玄」という署名を使いました。沙門は出家して修行する人を指すので信玄が名乗っても合ってますが、天台座主は保護してるだけで信玄自体は天台座主でも何でもないです。
でも、
と、敵対をわかりやすくするためにこんな書き方をしたといわれています。
それに対して信長は
と、返書で自分のことを「第六天魔王」と署名します。
これが、信長が第六天魔王と名乗った流れです。
そしてこれらが記録されているのが、『耶蘇会士日本通信(ポルトガル語: Cartas do Japão)』という書籍です。
この本は、日本で布教活動をしたイエズス会の宣教師や修道士たちの報告をまとめたもので、他国から見た日本が記録されている貴重な史料です。その中で、ルイス・フロイスという宣教師が「なんか信玄と信長がこんな手紙のやり取りしてたよ」と報告しているわけです。
信長がポルトガルの文化をたくさん受け入れてくれた上に仏敵まで名乗ったので、「この人ならキリスト教広めてくれそう……」と思って報告したのかもしれません。
逆に言えば、これ以外では残っていないので本当か嘘かはイマイチわかりません。
でも、
みたいな言い合いがあったのはなんか面白いですよね。現代でいう掲示板やTwitterでのレスバみたいな感じだと勝手に思ってます。
ハンドルネームに天台座主とか第六天魔王とか入れちゃう感じです。そのログが後世まで残っちゃったのもすごい。
そういえば、第六天魔王がモチーフのカードはありますが、天台座主がモチーフのカードってあるんでしょうか。流石に宗派指定の名前は色々まずいのかもしれません。
武田信玄がモチーフなら「戦国六武将ムドウ」がいるんですけどね……。
ムドウデッキVSゴッド・ゼクスデッキとか、誰か現代バトスピでやって動画出してください。私が面白がるので。
◆信長の装備
ちなみに、織田信長モチーフのスピリットは、ゴッドゼクス以外にも
木星神竜ノブナガード・ゼウシス
木星魔龍ノブナガード・ゼクスト
がいます。カード画像が全然見当たらない……
ゼウシスはギリシャ神話の主神ゼウス、ゼクストはゴッド・ゼクス同様、6のドイツ語sechs(ゼクス)だと思われます。
ゼクストはゼウシスの強化体なので金ピカになっちゃってますが、ゼウシスとゴッド・ゼクスの共通点として、黒甲冑であることが挙げられます。
これらは、信長が所用していた紺糸威胴丸具足の色に基づくものと思われます。
この装備だと、兜の形状がゴッド・ゼクスとそっくりです。イラストレーターさんは、この辺のデザインを落とし込んだのかもしれません。
この甲冑は、鉄と革を重ねて漆で強化したパーツをいっぱいつけています。その漆が黒漆だから黒くなるんですね。テカテカでカチカチです。
魔王のイメージと所用甲冑が黒であった結果、信長イメージのスピリットたちは黒色を基調としているのでしょう。
また、信長はよくマントを羽織っているイメージがあるかと思います。大六天魔王もノブナガード・ゼウシス/ゼクストもマントを羽織っています。
これらは、信長が日常的にマントや襞襟を着用していたとされることに由来します。『信長公記』や『長篠合戦図屏風』に、現在は残っていませんが、山高帽や南蛮帽子のような兜を使っていたことが記録されています。
しかし、ゴッド・ゼクスにはマントを羽織った型が見当たりません。
名前に信長がないあたり、信長の要素よりも、やはり天魔王の要素のほうが強いのでしょう。
◆オワリに
今回は織田信長からゴッド・ゼクスや天魔信長を見てみました。
信玄とジョークというかウィットに富んだやりとりがあったこと。
そのログは一つしかないにもかかわらず、信長の残虐性と魔王のイメージが合致して後世にがっつり残ったこと。
これらがバトスピに落とし込まれるとこうなるんですね。
めちゃくちゃ悪そうだけど、悪のカリスマ性のようなものも感じます。「お屋形様」と呼ばれて畏れられているようですし。
皆様も、現代バトスピ戦国時代を彼らとともに支配してはいかがでしょうか。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。