国を作る。歴史が始まる。【創界神イザナギ&イザナミ】
新年になりました。今年もよろしくお願いいたします。くノ一ジョロウです。
さて、睦月の日本には初詣と言う行事があります。神様に1年の感謝を伝えたり、新年の無事をお祈りしたり……1年の中で最も神道に触れる人が多い行事ではないでしょうか。
日本には神様がわんさかいますが、全国的に知られているのは『古事記』や『日本書紀』の神々。あなたの近所で祀られているのも、そのメンバーが多いと思います。今回は、記紀(古事記や日本書紀をまとめてこう呼びます)にある神々で(バトスピに出ている創界神の中では)最も始祖である、「イザナギ」と「イザナミ」についてお伝えしたいと思います。
※『古事記』や『日本書紀』には、神様の名前などは全部漢字で書いてあります。不便なことに、読み方は書いてくれていません。ゆえに読み方の解釈が幅広いです。ここで出てくる読み方はあくまで一説となります。バトスピにカードがある場合はそれを採用しています。
◆ イザナギ&イザナミの誕生
記紀においては、神々の起こりは天地が創造されたあとから始まります(どうやって作られたかは書かれていません)。基本的に『古事記』に沿ってご紹介して行きます。
まず、アメノミナカヌシとタカミムスビとカミムスビの三柱が産まれました。
いっちばん最初の神々です。彼らは今回はここにしか出ないので、名前とかは覚えてなくても大丈夫です。
でも場所は大事で、高天原という場所で産まれました。そう、バトスピにおける系統【アマハラ】の元ネタです。記紀で神々が基本的に住んでいる場所くらいに思っていてください。
次に、ウマシアシカビヒコヂとアメノトコタチが産まれました。二柱合わせて別天津神と呼ばれます。彼らは後で、イザナギとイザナミに「大地まとめといて」と命じたり、お産がうまく行かない二人にアドバイスしたりします。
そしてその後に産まれたのが、イザナギやイザナミを含む神世七代と呼ばれる神様たちです。
※説明のために○代目という書き方をしますが、別に代替わりしているわけではなく、あくまで『古事記』に出てくる順番というだけです(3代目以降は男神女神セットで1代カウントなので、七代紹介には名前の列挙だけではわかりづらいと思いました)。
1代目はクニノトコタチ。
「国之常立」と書かれ、国土が永久に立ち続けることを表しているようです。バトスピで、大地に関わりがある植物である樹魔なのも納得です。なんと『日本書紀』では、アメノミナカヌシではなく、このクニノトコタチが一番最初の神様として登場します。故に一部の神道で重要視されているようです。
2代目はトヨクモノ。
「豊雲野」と書かれ、豊かな雲の神様です。バトスピのカードイラストでもモクモクしています。系統が、ガスや煙系が多い霊獣なのも頷けます。
(ちなみに、『日本書紀』では、クニノトコタチの後、トヨクモノの前にクニノサツチという神様が産まれるのですが、バトスピには出てこないので、バンダイは『古事記』の方を参考にカードを考えているのではないかなと思います。故に、基本的に『古事記』に沿ってお話ししていこうと思いました)
3代目はウヒヂニとスヒヂニ。
4代目はツノグイとイクグイ。
5代目はオホトノジとオホトノベ。
6代目はオモダルとアヤカシコネ。オモダルは、天魔王のときにちょっと出てきました。ゴッドゼクスはイザイザと同家系だった……?
お待たせしました。7代目に満を持してやっと出てきます。イザナギとイザナミです。
おそらく手に持っているのは、後で紹介する天沼矛。ブレイヴで出てくる可能性は……神託条件に無いのでなさそうですね。
イザナギとイザナミは「国産み」や「神産み」をしました。日本の基礎となる国土を作り神を産む大仕事です。今回は長くなってしまうので、国産みだけご紹介していこうと思います。神産みは次回で。
◆イザナギとイザナミの仕事〜国産み〜
記紀の世界では国土というものができる前、大地は水に浮いた脂のようで、海をくらげみたいに漂っていました。こってり系ラーメンの麺や具を食べた後、スープに浮いてる脂身とかがわかりやすいかもしれません。
イザナギとイザナミ(長いので以降イザイザと略します)は別天津神たちに「大地散らかってるからまとめといて」と命じられて、渡された天沼矛で天浮橋(天と地をつなぐ浮橋)から海をかき回しました。スープに浮いてる脂身を箸一本でいじくってまとめてる感じです。
……お行儀が悪いのでこの例えは終わります。
海をかき混ぜていくうちに矛から滴り落ちたものが積もっていき、やがて島ができました。その島を「オノゴロシマ」と呼びます。
オノゴロウはこれが元ネタだと思われます。
オノゴロシマを作った後、イザイザはその島に降りて夫婦の契りを交わすことになります。
まず天御柱という柱と八尋殿という御殿を建てます。次にイザナギは左回りに、イザナミは右回りに天御柱の周りを歩き、両者が出会ったところでイザナミから誘ってまぐわいます。しかし、その後産まれたのはヒルコという不具の子でした。
バトスピのフレーバーテキストにも「初めての子」とあります。
イラストではしっかりとした形をしていますが、古事記においては「水蛭子」と書かれ、いわゆるヒルのようなグニャグニャとした子どもであったようです(詳しい形状の記述はないので本当に一説ですが)。
不具の子であったために、ヒルコは葦船に乗せられ流されてしまいますが、流れた先でえびす神という七福神の一柱になったという伝承もあります(これが、えびすを「蛭子」と書くことがある理由です)。流されっぱなしは悲しいので、願わくば幸せになっていてほしいです。いいカードなのでみんな使ってあげてください。゚(゚´ω`゚)゚。
次にイザイザはアワシマを生みますが、またしても不具の子であり、葦船に乗せて流してしまいます。
あまりにうまく行かないので、イザイザは別天津神に原因を聞いてみたところ、「女から誘うのが良くないかも」と占いによるアドバイスをされました。
今度はイザナギ側から誘う形でまぐわったところうまく行き、8つの島々を生み出すことになります。
淡道之穂之狭別島(淡路島)
伊予之二名島(四国)
隠伎之三子島(隠岐島)
筑紫島(九州)
伊伎島(壱岐島)
津島(対馬)
佐度島(佐渡島)
大倭豊秋津島(本州)
これら8つの島々をまとめてオオヤシマ(大八島)と呼びます。
島の名前の隣に、現在の場所を記載しておきました。島を産むなんて、鼻からスイカ出すどころの痛みじゃなさそうですね……。
ちなみに北海道と沖縄が日本になるのはまだまだ先のことなので、当時の日本の島々はこうした構成になっています。
オオヤシマを産んだあと、続けてイザイザは
吉備児島(児島半島)
小豆島(小豆島)
大島(屋代島)
女島(姫島)
知訶島(五島列島)
両児島(男女群島)
を産み、日本の国土は完成されました。
◆まとめ
今回はイザナギ&イザナミの生まれや国産みについてお話しました。クニノトコタチやトヨクモノの後に生まれ、オノゴロシマを作った後にヒルコやオオヤシマを産み、ようやく日本の国土が形作られました。
日本神話は、神様の名前はたくさん出てくるのですが、あんまりそれらについて描写しないがゆえにまだまだ謎が多いです。
次回は神産みについて書いていこうと思います。
↓↓次回↓↓
最後までお読みいただき、ありがとうございました!