「共生した地域作り」とは何だろう!? ~我が町「グループウェア化」計画~
私「福祉の現場と社会がつながりを持ち共生した地域作り」の実現を目指しているものの一人です。
〇はじめに
最近ふと疑問に思います。「共生した地域ってどんなものだろう?」
福祉施設と地域が共生しているひとつの事例として、第一次産業(農業、林業、漁業、水産業)を中心に地域住民(健常者、老人、障害者など)が協調して取り組むことで、お互いの存在を認識し良好な地域コミュニティを築くといったモデルがあります。しかし、これはごく一部の地域で、特に都心部では実現することは難しいです。
その他には、市町村の取り組みとして「高齢者」「障害者」「子供子育て家庭」「生活困窮者」などの同じ地域に住む人が行政、地域の企業・商店、福祉施設、町内コミュニティ、学校関係などとつながりを持ち、各々が「他人事」でなく「我が事」として考える地域づくりを目指すなど、各市町村ごとにビジョンを持ち地域共生の実現に向けて動いています。
各市町村ごとに努力していますが私は一人の住民として疑問に思います。「自分の町についてどれだけ知っているのだろう?」自分の町では「何が行われていて」「どういう課題を抱えていて」「どういう人が住んでいるのか」知らない事の方が多いと思います。私が無関心なのもありますが、そもそも地域の情報を受信できていないのです。
それでは「地域の情報はどのように発信されているのだろう?」まず市町村ごとの情報誌、各自治体ごとの地域だより、公民館や町の掲示板への掲示物などが挙げられます。その他には各コミュニティが情報をFAX、Mail、SNSなどを通して関係機関(者)に連絡するなどが一般的かと思います。
「他人事」でなく「我が事」として地域を考えさせるには情報発信ツールが機能していないのではと疑問に思う。また、他にも課題に感じることがいくつかあります。
〇私が思う地域共生課題
1.地域情報が地域住民に共有されていない
2.どのような地域コミュニティがあるのか周知できていない
3.新規が地域コミュニティに参加する時の窓口が狭い、または入りづらい
4.そもそも実際に足を運んで地域の会合に参加するのは億劫、または参加したくとも体が不自由で参加できない
5.ご近所さんがどのような人か知らない、関係性が希薄
6.若者、親世代は地域とつながることに積極的ではない(動機が薄い)
〇課題を解決するために必要なこと
1.地域情報を受信、発信できるツールが必要
2.手軽に地域コミュニティ、会合に参加できるようになることが必要
(精神的にも物理的にも)
3.同じ悩みを共有できるご近所さんとつながることが必要
4.老人、障害者、子供・子育て家庭、生活困窮者など各々に地域とつながる動機作りが必要
〇地域共生改善案「我が町グループウェア化」
グループウェアとは組織の内部でのスケジュールやタスクなどの共有やコミュニケーションを目的としたソフトウェアです。
グループウェアの機能の例としては、社内SNSや電子メール、スケジュール管理、ドキュメント共有、ワークフロー、勤怠管理、テレビ会議といったものが挙げられます。
多くの会社で導入されているグループウェアを町単位(最大で小学校校区内)で導入したらどうなると思います。グルーウェアの内容はその地域にとって必要最低限のものにして情報量の膨張を防ぐことが必要だと思います。多くの方がピンとこない、または犯罪に利用されることを懸念すると思います。
〇町単位でグループウェア化した時に考えられる課題
1.多くて1万人を超える規模でグループとなる時情報統制が難しい
2.グループウェアを一般化するための仕組み
3.犯罪への対応
等様々な課題がが考えられます。
課題を解決するためには
1.グループウェアの内容を大きく5つに選別する。
〇町内情報ページ
〇町内コミュニティページ
〇町民相談・雑談ページ
〇企業・商店ページ
〇緊急ニュース(上記の4つのページから選定された)ページ
・各ページの中に町内SNSや電子メール、スケジュール管理、ドキュメン
ト共有、テレビ会議などの機能を付ける。
・緊急ニュースについて管理者が情報を管理し緊急性が高い内容を選定し
発信する。
「地域住民が必要な情報を受信し、自ら発信源となれるツールを作る」
2.グループウェアを一般化するための方略
〇目的(動機)に合わせた地域コミュニティのマッチングシステム
例1:「駅前の景観を新しく作り変えよう」という企業から提案
地域の景観を守る会、建設関係企業、地域開発の研究会(大学)等
それぞれの団体が目的(動機)によって集合し、地域開発に取り組む
例2:町民相談・雑談ページから町の課題、生活の課題を共有し、同じ悩
みを持つ方をコミュニティ化する。課題に対して管理者が仲介し解決でき
るコミュニティ(企業)を斡旋し、課題解決に向けて地域で取り組む
〇町民にとってメリットのある情報を受信できるツールとなる
例1:企業・商店からお得な広告、または情報提供(簡単に言えば電子
クーポン、新商品入荷情報など消費者が欲しい情報)
例2:暮らしの悩みを同じ地域住民に相談できる掲示板を作る
〇時間、場所、身体の健康状態など、普段それぞれの理由で町内会に参加
できない人が気軽に参加できる、あるいは閲覧できるツール
例1:町内会をテレビ会議(生放送・録画共に)で実施
例2:町のイベントをテレビ放送
例3:町内コミュニティへの相談・依頼できる町内SNS開設
「地域住民がそれぞれの目的に合わせて繋がりを持てるツールとなる」
3.犯罪抑止の為、アカウントでは身分(名前)を証明する。
身分を明かすだけでグループウェア内の犯罪抑止につながる。(ネットを
通すと証拠が残りやすくなる。また、犯罪だけでなくイタズラなどもしに
くい)
「地域住民が安心して近隣住民とコミュニケーションが取れるきっかけ作りをサポートする」
このような機能を持ったグループウェアを搭載したタブレットを家庭に一台配布します。そのタブレットから町の情報が流れてきます。「今日は○○公園で清掃サークルの活動があります。」「タブレットを持参したら商店街の買い物が5%オフになります。」
町民の中にはあらゆる専門家がいます。生活の悩みも町全体で共有することで解決できるかもしれません。「家から高齢の祖母が出ていきました。見かけたらご連絡お願いします。」「夜中に子供が高熱を出しました。症状はこのような状態です。どのように対応したらいいでしょう?」
そのタブレットを通して同じ動機を持った仲間を募ります。あるコミュニティでは「町に住む独居老人を地域で見守る」活動を始めます。あるコミュニティでは「地域の祭りの実行委員」が組織されます。あるコミュニティでは「子育て世代の親が緊急で預けられる託児所」を作りました。見守るのは老人ホームで生活する高齢者です。
地域の情報を共有することが難しくなり、地域とのつながりが希薄になった現代に、一つのタブレットがその地域に緩やかなつながりを結んでいったらおもしろい。
〇おわりに
今回は私の妄想近未来社会の話です。現実的に実行しようとするとコストの問題、高齢者向けのタブレット作成などあらゆる課題を感じます。また、私の妄想のように善意のつながりができるかどうかもやってみなければわかりません。
今回この記事を作成し感じたことは共生した地域づくりは難しい。それでも実現した時の地域のパワーは計り知れない。今回の町や行政を巻き込んだ大きな案だけでなく、日々の小さな気づきから福祉の現場と社会を少しづつ繋げていく事、そして今ある繋がりを強固にしていく事がひとりの住民としての私の仕事だと思います。