熱帯夜③
ちょうど1年前くらいの熱帯夜を、今でも思い出す。
その1度の熱帯夜があってから、何度も仕事終わりに会って、飲んで、朝まで一緒に寝ることを繰り返した。
今週末、遊びに行こう。
彼は不意に3033を誘い出した。2人きりで昼間からどこかに行くなんて初めてだった。
車で迎えに来てくれた彼は、隣町の雪景色がライトアップされた場所に連れて行ってくれた。
季節は真冬。
週末だからか人も多く、その気温と裏腹に活気があった。
今まで何とも思ったことのなかった雪や氷が、特別に美しく輝いて見えた。
通路が人で溢れていて、彼の少し後ろを歩いていた3033は置いていかれそうになって思わず袖を掴んだ。
すると彼は振り返って手を差し出した。
好きなんだ。
どうしようもなく。
寒い中でも、冷たくなった手を握っていたいほどには、彼のことが好きなんだ。
帰り道、夜遅くなってしまったのもあり、適当に夜ごはんを済ませた。
何時までいられるの?って聞くから、いつまででもって答えて。
その言葉を忘れることはないだろうと思った。
そしてその言葉通りに3033はいつまででも、と答えたんだ。
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