商用電子書籍による継承の消滅
2014年09月17日22:53
電子書籍はインターネットのストアで気軽に買えてしまいますが、色々と躊躇う理由がたくさんあります。
それはアプリに起因するインターフェイスであったりバグであったり読み込み速度であったり直感的な操作方法であったりカスタマイズの余地であったりというものがありますが、それ以外の「紙書籍とは異なる点」というのが大きな理由になっています。
先日「シャーリー(漫画/森薫)」2巻が発売された際にどのストアで買おうかと電子書籍での購入を検討していました。
ところが、実際書店で平積みにされている「シャーリー」をみると、とても大切な宝物のように惹きつけられます。
これは参った。
まず、自分がアナログな人間であることを欠陥品のように感じて、次にそれはさておき電子書籍と紙書籍について悩みはじめました。
この2か月、ずっとこんな風に悩んでます。
電子書籍導入を検討するために8月1日より色々と調べたおかげで、随分と知識が身に付き、実際にいくつかのストアで購入して実験的に導入をしています。
その過程の中で、さまざまな人が書き記している電子書籍についてのまとめを読む機会を得ていますが、その中で「電子書籍とはライセンスであって私有財産ではない」という言葉を目にしました。
その言葉を「権利関係」であるというだけのことだと軽く考えており、例えば「ストアが廃止されればデータが消える」「ストアによるアカウント停止処置で書籍が閲覧できなくなる」程度のことで、ストア選びは慎重にしないといけないなーくらいな気持ちでいました。
「来客への書籍の貸与がネック」と、以前の日記で触れましたが、これも「創意工夫すればどうにかやりようはある」と内心で軽く見ていました。
ストアのアカウントは個人に帰属します。
誰かに譲ることはできません。
至極当然のことです。
親から子へ、財産として相続させることはできません。
時代を超えて一つの本を共有することが、ストアという仲介業者を挟まなければ出来なくなります。
ストアで買い直せば済む話しですけど、そういうお話しではありません。
浪漫というか。
そんな浪漫も処分されるかもしれませんけど、「継承(相続)」という行程が失われることに甚大な喪失感を感じました。
これに気付いて、ガツンと。
ああ、ダメだ。
と、血の気が引きます。
「私有財産ではない」ということが、「自分がそこで終わってしまう」という危機感を強くしました。
本以外でも何かを残すことはできるでしょうけど、大切な本は、誰かに読んでほしいなんて思いませんけど、大切な人には読んで欲しいと思うのです。
かといって、電子書籍を導入しないというわけでもなく、価値を見出した本に関しては紙書籍として私有財産にすればいいというだけで、その価値というのは読んでみなければわからないということもありますけれども、けっきょく以前日記で書いたように「必要になったら紙の本を買えばいい」と、そういうお話しなのでしょう。
幼いころより同じ情報を共有して盛り上がるという行為をし続けてきましたので、やはり来客に気軽に貸与できないというのは、継承(相続)とまではいいませんけど、人と人との関係にひとつ溝を挟んでしまう気がしてしまいます。
つまり、ビジネスチャンスではないかと。
そう思うわけです。
もっと使いやすくなるといいなあ。