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避けた? 避けた!?


 偶には頭の良さそうな事を言って、読者からマウントを取ろう(キリッと)


 『閃光のハサウェイ』でレーン・エイムが、クスイーガンダムへの攻撃を連続で躱されて「避けた? 避けた!?」と驚愕したのを観て以来、「これ、ガンダム作品初見の人には、レーンが何であそこまで驚くのか伝わるかな? 解説しないといけないかなあ〜?」という余計なお世話が頭に過ぎりまして。

 今回、このネタだけで、書きます。


 ガンダムの作品世界の戦闘シーンには(富野監督が演出した世界観に従う作品群では)、一つの重要なルールが在りまして。


 射撃武器の攻撃は、直撃コースだと回避できない(普通のパイロットは)。


 ガンダムの世界では、様々な理由で「レーダーが使えない有視界戦闘」になっておりますので、撃つ方は「目で見て狙って撃つ」撃たれる方は「狙われないように動きまくる」のルールで戦闘しています。

 モビルスーツがスケボーの選手並みに動きまくるのは、狙撃される可能性を少しでも下げる為です。

 弾が直撃コースで放たれた場合、まず助かりません。

 諦めましょう。

 目で見てビームや砲撃を躱すなんて、常人には無理です(ヤザンを除く)。どんなに性能の良いモビルスーツに乗っていても、操縦者の反射神経が射撃の速度を上回らない限り、直撃コースの弾は躱せません。

 直撃=戦死

 これが、ガンダム世界の基本(ヤザンを除く)。

 このケースで戦死せずに済むには、盾で防げたとか、装甲が特殊なので平気だったとか、腕や脚だけで済んだとか、まだ距離があったのでギリギリ回避できたとか、監督が殺し忘れたとか、ヤザンだからとか、色々な要因を付ける必要が。

 この世界設定を逆手に取ったのが、F91のビームシールドです。が、話が長くなるので、今回は割愛。


 ここまで説明すると、冒頭でレーンが「避けた? 避けた!?」と驚愕した理由が、より深く分かってもらえたでしょうか?

 直撃コースのビームを連続でスイスイと回避するハサウェイの異常な強さが、分かってもらえたでしょうか?

 ああやって普通に直撃を回避できるのは、アムロやシャアのような、ごく一部の最強キャラだけです。

 


 ここからは例として『逆襲のシャア』を、回避の能力に絞って観てみましょう。


・アムロ&シャア

 主人公とラスボスですので、回避能力は最高クラス。お互いの攻撃を躱しまくりますので、何度戦っても決着がなかなか付きません。

 アムロは相手が撃つ前に回避するというチート性能ぶりだし、シャアは核爆発すら回避するし。

 こんな二人が戦ったら、互いに距離をゼロ距離まで縮めてから攻撃をし合うしかないですよ。

 だから、最後がモビルスーツでの殴り合いになるのは、必然です(笑)


・ギュネイ&クェス

 この二人は、直撃を回避する能力が、不得手です。攻勢に出ている時は目立ちませんけど、受け身に回ると回避しきれずに喰らってます。


・レズン・シュナイダー

 ニュータイプや強化人間でなくても、めっちゃ強いパイロットはいるという代表格。

 ケーラとの対戦では、これ見よがしに回避能力を見せ付けてケーラを大いに狼狽させ、超長距離とはいえ、アムロが放ったビームライフルの狙撃を三度も回避するという強者ぶり。

 対空砲火で撃墜されましたけど、あれはチェーンがサイコフレームで「アムロの敵は絶対に殺すマン」に変身していただけで(誇張)、話の都合上、戦死しただけです。


・ハサウェイ

 初陣は、盗んだジェガンでギラ・ドーガを撃破。

 作画枚数の少ない戦闘シーンでしたが、ギラ・ドーガの攻撃を全て避けながら、バルカンを命中させて撃破という、絶対に敵に回したくないタイプ。



 振り返ってみても、『逆襲のシャア』当時から、ハサウェイの戦闘力は異常だよね。

 回避能力って、そのキャラの戦闘力を測るパロメーターとしては、撃破数よりも参考になります。

 次に過去作を鑑賞する時は是非、回避能力にも注目して観てください。

 そこには、絶妙な強さのバランス感覚が、用いられています。


 俺のオススメは、Zガンダムの11話「大気圏突入」

 ドヤ顔で戦場を蹂躙していたシロッコが、カミーユに直撃ビームを回避された途端に真顔に戻る。

 主人公が尋常ではない強敵だと察知するラスボス、という構図。

 あの演出は、堪りませんがな。


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九情承太郎
他サイトでは小説・エッセイ等を色々と載せていますが、此処では健全記事のみとします。ご安心を。